ベテランが気づく異常値も、新人では気付かないことも。運用者に依存しない運用品質の均一化を目指して。〜Shirofuneのアカウントスコア診断機能を活用した電通ダイレクトの品質管理の取り組み~

株式会社電通ダイレクト
株式会社電通ダイレクト 宮本祐子 様/榊久美子 様

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電通ダイレクトは、ダイレクトマーケティング領域における更なる価値提供を目指し、2021年7月にDAサーチ&リンクと電通ダイレクトマーケティングの2社が合併して誕生しました。

DAサーチ&リンクでは黎明期から運用型広告を取り扱っており、3年前からShirofuneを活用した運用の効率化を推進していましたが、運用者に依存した品質のバラつきに依然として課題を感じていました。

そこで、昨年末にリリースされたShirofuneのアカウントスコア診断機能を活用し、全案件の品質状況を定期的に可視化。診断の結果、点数の低い案件については施策をToDoに落とし込みモニタリングすることで品質を均一化すべく取り組んでいます。

同社のShirofuneを活用した広告運用における品質管理の取り組み、その成果についてお話を伺いました。

【課題】
・運用が属人的で品質にバラつきが発生、個人のスキルに拠った形で運用が行われている

【解決策】
・Shirofuneのアカウントスコア診断機能を活用し、アカウントの状態、品質を客観的に診断

【成果】
・アカウントスコア診断を隔週で実施することで、案件ごとの品質をモニタリング
・スコアが低いアカウントについては打ち手をタスク化し、遂行漏れがないよう第三者が確認
・一連の取り組みで運用者がレベルアップし、品質が向上
・アカウントスコア診断を対クライアントコミュニケーションにも活用し、運用スタート時の立ち上がりがスムーズに

ベテランが気づく異常値も、経験の浅い担当では気付かないことがある
運用のバラつき、品質維持・向上が大きなテーマ

株式会社電通ダイレクト 第一ビジネス開発オフィス 第一ビジネス開発部 室長兼部長 宮本 祐子 様

−事業内容をお聞かせください。

宮本 祐子 様(以下、敬称略)
電通ダイレクトは2021年7月1日に、デジタルマーケティングに強いDAサーチ&リンクと、レスポンスメディアに強い電通ダイレクトマーケティングの2社が合併して誕生しました。両者の強みを融合させてより付加価値の高いサービスを顧客に提供していくことを使命としています。

私と榊はDAサーチ&リンク社の出身で、電通ダイレクトとして新しいビジネスを開発する、デジタルを基軸としたクライアントへの価値創造をミッションとして担っています。中でも榊はオペレーションの観点で品質を維持・向上していく役割を担っています。

Shirofune社とは3年程前からパートナーシップを結んでおり、当時からShirofuneで補える作業は機械化し、人の工数をクリエイティブ面や提案活動に割いていきたいと考え、活用を進めていました。

−現在、オペレーション観点での課題はどういったところにありますか?

宮本
DAサーチ&リンクでは黎明期から運用型広告を扱っていますが、オペレーティブな品質が属人化してしまう点、個人のスキルに拠った形で運用が行われている点に課題を感じていました。

新しいメンバーに向けた育成体制は整えているのですが、教える側と教わる側の組み合わせで能力の開花にもバラつきがあるため、運用品質の均一化を目的とした運用の型化を以前から進めていました。

運用型広告には入稿設定の準備というオペレーティブな段階と、運用が開始されてからの運用品質の担保という大きく2つの段階があります。

もともとオペレーション領域が得意な会社ではあったので、入稿設定に関しては、フォーマットはもちろん、フローの整備、ダブルチェック体制の構築、作業領域は外部に出すといった仕組み化がかなりしっかりできている状態でした。

但し運用に関してはなかなか型化が難しい領域で、個人のスキルに拠ってしまう部分が依然として多くありました。

例えば毎日の進捗確認をルール化したとして、進捗確認はしても異常値の発見は個人によってバラつきが発生してしまいます。ベテランでは気づく異常値に経験の浅い担当だと気づかない、ということが起こってしまうのです。

こういった運用部分の型化・標準化を、Shirofuneを活用して進めているところです。

Shirofuneのアカウント診断機能を活用し、案件の質を定期的にモニタリング

−品質管理という観点で、Shirofuneをどのように活用されているのでしょうか?

宮本
Shirofuneは以前からレポーティング機能を主として活用していました。

こういう運用をしたらいい、という改善チャンスについては実行したかどうかが担当者に一任されている状態で、第三者がチェックをする機能はありませんでした。そこで、アカウントスコア診断機能を使って隔週、メンバーによっては毎週アカウントの診断をするようにしました。

アカウント診断レポート イメージ

具体的には対象案件を全てリスト化し、点数を一覧化していきます。

基準点を70〜80点に設けて、そこよりも著しく点数が低い案件についてはスコアを改善するためのToDoを可視化してもらいます。スコアが低いのにタスクが追加されていないとか、前よりスコアが改善されていますね、というのを第三者機関として榊がチェックする体制を構築しています。

アカウント診断機能を使うことでアカウントが常に最新の状態になっているのか、運用の属人化による課題はないかを早期に検知するようにしています。

また、運用の型化という観点ではレポーティングを自動化すること、手作業を入れずにShirofuneのレポート機能を使ってクライアントへの報告体制を整えていくようにもしています。

−アカウントスコア診断の対象とされる案件はどういう案件でしょうか。

宮本
基本的には運用を始めて半年〜1年程のジュニアメンバーを対象にしています。スコアが安定し、ある程度運用の型化が身についたメンバーについては一旦対象から外していますが、アカウントスコア診断自体は継続し、問題がないか継続的に確認しています。

株式会社電通ダイレクト 第一ビジネス開発オフィス 第一ビジネス開発部 榊 久美子 様

−この取り組みを通して、若手メンバーは成長していますか?

榊 久美子 様(以下、敬称略)
そうですね。取り組みを通してスコアもだんだんと上がってきています。評価が低い項目に対して何をしたら良いか理解が深まってきており、評価に応じた施策の筋が通ってきているように感じています。

アカウント診断を通してタスクの遂行漏れを防ぎ、運用者を育成する

−品質管理において、御社が大事にしていることを聞かせてください。

宮本
誰が担当しても同じ結果が出る、というのが理想の状態だと思っています。様々なお客様がいる中、提供するサービスの基準を今までだと個人に、あの人に任せておけば大丈夫という主観に基づいて担保していました。

そこがShirofuneのアカウントスコア診断という機能を使うことで、70〜80点という客観的に診断された数値を基準とすることができるようになりました。

−当初から70〜80点を目標として置かれていましたか?


実はこの取り組みを始めた当初は点数が60点と低めの案件もありました。スコアの評価がどうされているのか、評価の詳細やどうするとスコアが上がるのかを細かくShirofune社に確認をしながら施策を考えていきました。

実際に評価の低い項目に対して施策を行うことで80点を超える案件が出てくるようになりました。Shirofune側でも80点以上はA評価と謳われていることもあり80点を目標に、低くても70点を目標に置くことにしたという経緯があります。

−アカウントスコア診断を活用したことで何か変化はありましたか?

宮本
これまで個人に委ねていたタスク管理を、診断結果次第でしっかりと可視化・共有するようになったことで、タスクの遂行漏れが組織として防げるようになったことは大きな進化だと思っています。

また新規でご相談いただくお客様については、過去のアカウントとShirofuneを紐付けることで簡易的に状態の診断ができるようになりました。施策の優先順位を検討するツールとして活用するメンバーも増えてきています。これまで運用メンバーの育成観点で活用していた機能がクライアントとのコミュニケーションにも活用され始めています。

Shirofuneを活用し、クライアントコミュニケーションの頻度を上げ満足度向上に繋げる

−Shirofuneを活用することで、クライアントコミュニケーションも進化しているのですね。

宮本
もうひとつ、クライアントコミュニケーションの進化でいうと、Shirofuneを活用してクライアントへの報告頻度をあげるという取り組みもしています。

お客様によってはこれまで月に1回の報告しかできていませんでした。

例えば9月の報告を10月に入ってからすると、悪い状態だった時にその事実を知るのが、月が締まってからになります。運用型広告において本当に重要なのはリアルタイムの状況なのではないか?という課題感がありました。

ここに対してまだ一部の案件ではあるのですが、週次の報告をする取り組みをしています。これまでのパワーポイントでのアウトプットは辞めて週に1回15分、Shirofuneのレポートを使ってお客様に画面共有をして報告をします。

この数字が今こうなっているので今週はこういう打ち手を打ちますとか、先週の打ち手が効いてCTRが上がってきています、といった共有をしています。

事前準備もあるので大変ではありますが、レポートはShirofuneがしてくれるので作成時間はかかっていません。良い悪いの変化をお客様と一緒に考える時間を持つことで、受発注の関係性を超えて、今後何ができるのかをこちらが提案する場から相談する場になっている変化を感じています。


短時間でもお客様とのコミュニケーションを取ることで、コミュニケーションの頻度が上がり、今うちがどういう動きをしているのか、今後どういう動きをしていくのかがわかりやすくなったと評価をいただいています。顧客満足度調査でもコミュニケーション面での点数が上がったりと目に見える成果も出ています。

−Shirofuneで効果を改善し、クライアントとのコミュニケーションを増やし、それでも効果が改善しない案件はどうされていますか?

宮本
アカウント診断の結果をモニタリングするミーティングの他に、コンサルミーティングという場を隔週ないし週次で行うようにしています。ここでは案件単位の相談や、クライアントにどう説明するかを経験者がアドバイスする場としています。運用者が一人で解決できないことをいつまでも抱えないよう仕組み化しています。

合併先でもShirofuneを活用 サービスレベルを落とさず運用の効率化を模索

−7月に会社が合併されていますが、合併時にShirofuneを活用していたことで役立ったものはありますか?

宮本
合併先も運用型広告をジュニアメンバーと外注先という組み合わせで運用していたのですが、Shirofuneを使うことでジュニアメンバーだけで完結できる、運用型広告に割くリソースを減らすことができたのは大きかったです。

また、アカウントスコアのモニタリング体制やShirofuneを活用することでどういうことができるのかを私たちサイドできちんと言語化し、ドキュメント化できている状態での合併でした。

そのため、合併先で整っていないところについては「これはShirofune化できますか?」とか「今まで外部に出していたこの仕事はShirofuneを使うと内部でできるんですか?」と言った質問や相談をたくさんいただき、少しずつ整えていくことができました。

まだまだ道のりは長いですが、サービス品質を維持しながら運用の型化・効率化をもっともっと推進していきたいです。

−最後に、今後の展望について聞かせてください。


案件のパフォーマンスは様々な要素が絡み合い、良い時もあれば悪い時もあります。Shirofuneのレポートを活用することでお客様に定期的に状況を共有し、打ち手を相談することの大切さを感じています。

そのためにも時間をかけずにアカウントの状態が可視化できるアカウント診断は今後も活用して施策を打ち続けたいです。そして一度案件がスタートしたら継続的なお取り組みができるよう、パートナーとして関係性を構築していきたいです。

<取材・文=藤井恵>

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