Web広告運用×クリエイティブ提案の高速PDCAが顧客満足に繋がる。老舗の総合広告代理店が組織変革によって得たもの 〜読売エージェンシーのShirofune導入事例〜
- 株式会社読売エージェンシー インタラクティブセクション マネジメントチーム 穂積様・近藤様・佐藤様
株式会社読売エージェンシーは創業86年の総合広告代理店です。15年前にデジタル広告の営業支援チームを組織化し、運用は外注する体制をとってきましたが業務負荷が高く、繁忙期はプランニングに時間を割けない状態が続いていました。
そこで2年前に戦略立案チームと運用チームの2チーム体制へと変更。運用チーム発足を期にShirofuneを導入し、自社で運用・レポーティングができる体制を構築しました。
一連の変更により顧客満足度も向上。特に元クリエイティブ担当を運用者に抜擢したことで、運用→レポート→次なるクリエイティブの改善提案とPDCAを高速で回せるようになったことに組織としての手応えを感じるようになりました。
老舗総合広告代理店が抱えていた課題や組織変革の過程、運用内製化後の成果やクライアントの反応についてお話を伺いました。
【課題】
・繁忙期は業務負荷が高く、提案に時間を割けない
・運用を外注しているためクライアントや営業からの相談にスピード感を持った対応ができない
・運用に専門性を持つ担当者がいない
【解決策】
・戦略立案チームと、運用チーム、2つのチーム体制に変更
・Shirofuneを導入し、外注していた広告運用の一部を内製化
・クリエイティブ担当を運用者に抜擢
【成果】
・運用をShirofuneに任せることで、考える仕事に時間を使えるように
・運用の内製化により、クライアントや営業からの質問にスピーディーに対応可能に
・運用→レポート→クリエイティブの改善提案と一連のPDCAをスピーディーに回せるようになり、顧客からの信頼・満足度がUP
提案者と運用者を分けることで、専門性を追求する
―事業内容をお聞かせください。
穂積様(以下、敬称略|部署責任者)
創業86年になる、読売グループの広告会社です。総合広告代理店としてマーケティング、デジタル、クリエイティブ、メディア、PRと立体的なプロモーションの提案を得意としています。
取り扱い媒体は新聞が大きな割合を占めていますが、雑誌、テレビ、ラジオ、その他SPツールやイベント、デジタル広告と幅広く対応しています。読売グループ関係各社と連携をすることで、お客様が抱える多様な課題を解決へと導くお手伝いができることが強みの一つです。
―デジタル広告の事業はいつ頃から始まり、どのような組織課題を抱えていたのでしょうか。
穂積
デジタルに特化した組織を発足したのは今から15年ほど前です。当時はデジタル案件の相談が入ると、営業がそれぞれのスキルで対応しており、品質にばらつきが発生し、対応に多くの時間がかかるという課題がありました。
この課題を解決するため、デジタル広告の営業支援チームを組織化しました。
運用そのものは外注し、管理画面をチェックしながら進めていくやり方をとっていましたが、それでも業務負荷は依然として高く、繁忙期はプランニングの時間が十分に確保できないという課題がありました。専門性を高め、新しい顧客を開発していく上でも提案はきっちりと行う必要があります。
そこで2-3年前に戦略立案・提案をするチームと、運用とレポーティングをするチームを分けて、それぞれが専門性を追求できる体制へと変更しました。
私たちは後者の運用・レポートをするチームに属しています。クライアントをより長期で支援できる運用体制の構築をミッションとしています。
少ない人数で運用・レポートに従事するためShirofuneを導入
―この組織変更のタイミングでShirofuneを導入されていますね。
穂積
Shirofuneについては以前から存在を知っており、いずれ導入したいという話も出ていました。運用・レポーティングに特化した組織が立ち上がったことで、今こそそのタイミングだろうと導入が決まりました。
少ない人数で効率よく運用とレポーティング、改善業務までを担うとなると、Shirofuneがそれを力強く支えてくれると考えたからです。
―Shirofune導入の決め手はどういったポイントにあったのでしょうか。
運用の工数削減ができるのはもちろんですが、複数媒体の運用を集約できるのは大きな魅力でした。
媒体間の予算アロケーションはとても大切な反面、手間がかかります。限られた人数で何に時間をかけるべきか考えた時、非常に有効なツールだということが導入の決め手になりました。
Shirofuneによって考える時間が増え、サービスが手厚くなる
―Shirofune導入から2年が経過していますが、導入後の成果についても聞かせてください。
近藤様(以下、敬称略|運用担当者)
Shirofuneの導入により組織力が強化され、結果としてお客様の数も案件数も確実に伸びています。日々の運用は1日5-10分、長くても30分くらいの確認で済むのでクリエイティブの考察や資料作成といった考えることに時間に使えるようになりました。
結果としてサービスが手厚くなり、お客様からもかなり喜んで頂けている状態です。運用担当者目線ではShirofuneが金額の調整や単価の調整をしてくれるので安心して任せられます。
―Shirofuneの使い心地はいかがですか。
佐藤様(以下、敬称略|担当責任者)
媒体をまたいで、一括でレポートを出せるのが嬉しいです。抽出も非常に簡単です。またYahoo!やGoogleの管理画面は非常に文字が小さいのですが、Shirofuneは大きいので安らぎを感じますね。
近藤
人間だと多少の気分の浮き沈みで、作業効率が上がったり、下がったりすることもあります。その点Shirofuneだと一定のテンションで調整してくれる点もありがたいです。
デザイン×運用。両者を掛け合わせることでPDCAサイクルは急速に早まり、顧客満足に繋がる
―近藤様は、元デザイナーで現在は運用をされていますが、デザインと運用を一気通貫することによるメリットは感じられていますか?
近藤
もともとはデジタルを含めた広告のクリエイティブ制作を担当していました。そのため、最初に運用チームへの異動を伝えられたときは「キャリアチェンジ」と捉えていました。広告運用は数字を追いかける仕事でしょ、と。
それが「デザインも運用も一緒にやればいい」と言われて、確かにそれは便利かもしれないと思いました。広告運用における一連のPDCAを自分で回せることになるわけです。
受注後は直接話をすることで、お客様が抱える課題や熱量をそのまま、クリエイティブに落とし込むことができます。自分で直接聞くからこそ、クリエイティブに反映させやすいのです。
そして、お客様の熱を形にし、それを広告として配信します。レポーティングを通して配信した結果の答え合わせまでできます。
思ったより結果が出てなかったときは、「次はこういうクリエイティブにしてみてはどうでしょう」と提案を持っていくと、本当に喜んでいただけます。制作し、運用し、結果を出して次の改善策を考える。この一連のPDCAを全て自分で回せるのでスピード感が格段に違います。
制作を外注すると「欲しかったのはそれではない」というケースが結構な頻度で発生します。そういったやりとりがなくなる分、負担が軽減できていると感じています。
―クリエイティブと運用を一気通貫することで、PDCAのサイクルが早くなるというのは、クライアントさんにとっても非常に大きなメリットだと思います。
近藤
そうですね。あるクライアントさんに、広告効果を元に新しいLPのデザイン案を持って行ったことがあるんです。その時「考えてくださったんですね。ありがとうございます」と言っていただき、会議の空気感がかなり変わったことがありました。
私のような運用者がクリエイティブの知見を活かした改善策を提示すると皆さん本当に喜んでくださるので、クリエイティブと運用を掛け合わせることのメリットは大きいと感じています。
運用組織ができたことで、業務全体がスピードアップ
―顧客満足度の高い組織体制を築かれている様子が伺えますが、運用専門組織を立ち上げ、Shirofuneを導入したことでどのような変化がありましたか。
佐藤
お客様にプランを持って行く前に、営業担当と事前打ち合わせをすることがよくあります。そういったシーンでも、「似たような案件だとこれくらいのクリック単価が出ているので、これくらいのクリックは取れるのではないか」と言った予測を即答できるようになってきました。
運用を外注していたときは、この手の予測データを出してもらうのに何日かかかっていました。運用チームができ、自社運用にすることでプランニングもスピードアップし、仕事全体の効率が上がったように感じています。
近藤
自分たちで必要なものを用意できるようになったことで業務がスピードアップし、結果としてお客様にも喜んでいただけるようになっています。「お客様をお待たせしてしまう」というストレスから解放されたことも大きいですね。
穂積
Shirofuneを導入したことで運用やレポートにかかる作業時間が減り、その時間をクリエイティブ改善やクライアント研究、競合分析などに充てることができるようになってきています。より顧客理解を深めた上でコミュニケーションを取れるようになってきました。
効率化はもちろん大事ですが、一方で1社1社のお客様と深くコミュニケーションをとることも私たちは大切にしています。
レポート1枚をメールで送れば済むところでも、敢えてお客様を訪問し、お会いする時間を作ることでクライアントが抱える課題を一緒に考え、探り、解決していきたいと考えています。
デジタルの世界で、共に戦うパートナーでありたい
―最後に、今後の展望についても聞かせてください。
穂積
広告というのは、クライアントが伝えたいメッセージやバリューを形にしたものでありコミュニケーションです。広告効果をあげることはもちろん、広告のプロとしてコミュニケーションの部分、クリエイティブをより強化していきたいと考えています。
近藤のようにクリエイティブにバックグランドを持つ運用者もいたりと、多様なキャリアを持つメンバーで構成された勉強熱心な組織なので、皆の強みを活かしながらより提供価値を高めていきたいです。
デジタルマーケティングの世界には終わりはなく、基本的にはずっと続いて行くものです。終わりのないデジタルの世界で、これからも共に戦って欲しいと思っていただけるような関係性を、クライアントと築いていきたいです。
−ありがとうございました。
<取材・文=藤井恵>