インハウス編集者記事寄稿

オウンドメディア担当者が「インハウスエディター」になるまでの2年間の変遷(藤田 隼)

藤田 隼
SmartHR_vol3

こんにちは。株式会社SmartHRの藤田 隼です。

前回お届けした記事「前年同月比3.9倍のオウンドメディアが「やらない判断」の裏で大切にした3つのこと」の末尾で、以下のように書き記しました。

「ウェブ編集者」のキャリアステップとして、マーケティング全般で活躍しうる余地があることを示唆するものではないかと感じています。

これをもう少し噛み砕くと、オウンドメディアだけでなく、オンライン・オフライン問わず、様々な場面で編集力を活かせれば、キャリアの幅が広がるのではないかという仮説です。

自分自身、次なる一歩を模索する良い機会なので、2年間の取り組みを振り返りつつ、皆さまにもご参考いただけるよう、オウンドメディア担当者のキャリアヒントを探っていきます。

※おすすめ記事:Web広告のインハウス化(内製化)ガイド。代理店委託から内製化移行を成功させるために。内製化のメリット・デメリットも解説

【前提】「インハウスエディター」について

そもそも「インハウスエディター」とは何なのか?

直訳すると“社内編集者”であり、「オウンドメディア担当者」もそのうちのひとつの機能ではあるのですが、イコールではないと考えています。

あくまでも、オウンドメディア専任である「オウンドメディア担当者」に対し、「インハウスエディター」は、自社と社会とのコンテキストを紡ぐため、最適なチャネルを選択し、読み手に合わせて編集していく役割と言えるのではないでしょうか。そのチャネル選択肢のひとつがオウンドメディアであると位置づけられます。

先程「インハウスエディター」と「オウンドメディア担当者」はイコールではないと書いたものの、スキルセットやマインドセットの親和性は高く、オウンドメディア担当者としての経験を活かして、インハウスエディターとして活躍の場を広げるイメージはつきやすいことと思います。

SmartHR入社後の役割変遷

僭越ながら僕の例を紹介します。

振り返ってみると、SmartHR入社後の役割は、年を追うごとに、ガラッと変わっていることに気づきます。

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2017年の入社後「オウンドメディア担当者」としてSmartHRでのキャリアをスタートし、2018年から「インハウスエディター」としての役割へと変遷していきました。

それぞれリソースの比重にバラツキはあるものの、様々な経験ができ、スキルが広がったなと実感しています。

スキルを広げた「編集」×「●●」5つのケース

次に、どのようにスキルや活躍の場が広がっていったのか、もう少し詳しく具体例を5つ紹介します。

(1)編集 × デザイン × オフライン

オウンドメディア『SmartHR Mag.』で配信した働き方改革法に関する記事をベースに、eBookとして再編集しつつ、その小冊子版を展示会配布しブースセミナー集客時の離脱防止やリード獲得に繋がった例です。

展示会を担当するオフラインユニットとコミュニケーションデザインのメンバーと連携により実現しました。

詳しくは前回の記事「前年同月比3.9倍のオウンドメディアが「やらない判断」の裏で大切にした3つのこと」で解説しています。

(2)編集 × 広報

主には、人事労務に関わる社会文脈を捉えつつ、プレスリリースの背景やタイトルを編集するなどしています。

オウンドメディア『SmartHR Mag.』の編集を行うなかで得られた情報を役立てられます。

(プレスリリース例)
「SmartHR」とクラウド人材管理システム「カオナビ」がAPI連携。 最新の従業員情報によって、人材マネジメントの効率化を後押し

(3)構成・編集 × 外部カンファレンス

登壇者の登壇内容の構成およびコンテンツ配信の例です。

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2018年6月に、セールスフォース・ドットコム × 東洋経済新報社による、スタートアップ経営者向けの共催カンファレンス『STARTUPS SUMMIT TOKYO』が開催されました。

同カンファレンスにSmartHR社長の宮田が登壇することをうけ、事前準備として宮田と経営企画メンバー(現在PMM、プロダクトマーケティングマネジャー)と僕の3人で内容の骨子を構成するとともに、カンファレンス後にイベントレポートとして『SmartHR Mag.』上で記事化しました。(海外ユニコーン企業並みの成長曲線を描くスタートアップの組織づくり

当時、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』が話題で、「SmartHRってティール組織みたいだよね」と言われることが多かったのですが、社内ではそのような意識はしていなかったため、これを機に自分たちなりにSmartHR社の組織としての特徴を言語化した内容となっています。

(4)企画構成・編集 × 自社カンファレンス

自社カンファレンス『SmartHR Next』の例です。

前述の経営企画(現PMM)メンバーとともに、働き方改革の文脈のもと、全体のストーリー構築から各セッションを企画し、登壇者との調整までを行いました。

後日、当日の内容をセッションごとに配信しています。

【SmartHR Next 2018】人事部集合!私たちの働き方改革 – ハイライトレポート

(5)編集 × インナーマーケティング

年初に全社キックオフが開催され、SmartHRのこれまでの変遷やこれからの開発戦略などのプレゼンがあり、後日記事化しました。

対外的な広報やマーケティングのみならず、新入社員にSmartHRのこれまでとこれからを伝える観点では、インナーマーケティングの一環にもなっています。

以下はその際にオウンドメディア『SmartHR ガイド』で公開した記事です。

SmartHR CTOが語る中長期戦略。徹底的なアプリ開発とAPI対応で「プラットフォーム化」促進へ

社内でのプレゼンス向上、3つのポイント

会社によってインハウスエディターが担うミッションや業務は様々ですが、前項で紹介したように活躍のチャンスは至るところに眠っているなと感じます。

とはいえ、いきなり実施できるものでもありません。なぜなら社内のプレゼンスや信頼が向上しなければ、新たな領域には踏み出しづらいからです。

結果論ではありますが、新たな領域に踏み出すべく「プレゼンス・信頼の向上」に寄与した取り組みやコツを以下に紹介します。

(1)オウンドメディア配信記事の共有

入社当初は、僕は何を担当する社員なのか、オウンドメディア担当者がどのような存在なのかがわかりづらかったのではないかと記憶しています。

人事労務にまつわるお役立ち記事を配信するごとに、Slackでカンタンな要約文とともにリンクを全社共有していました。
(※ 社員数の増加とともに各種の通知量が増えた都合上、今では共有の回数を減らしています。)

徐々に「オウンドメディアの担当者」「人事労務の編集者」という認識が社内に浸透し、いつしか「人事労務太郎」という異名がつくにまで至りました。

(2)社員個人単位での編集・校正の協力

(1)での認識の広まりからか、いつしか社内でブログやnoteなどの編集や校正などの依頼をいただくように。

各メンバーに発信の習慣が根付いており、その頻度も高かったため、社内でプレゼンスを高めるには充分な機会創出につながりました。

(3)登壇者・広報との連携、構成サポート

こちらも(1)とつながるのですが、働き方改革などの人事労務にまつわるトレンドに詳しくなったこともあり、サービス啓蒙にまつわる登壇機会が多い経営陣・社員から、登壇内容の構成サポートを依頼されることが増えました。

想定来場者層を事前に把握しつつ、その方々のもつ興味関心、オウンドメディアの閲覧傾向から読み取る人事労務のトレンドなどを踏まえて、登壇内容の構成をサポートするような流れです。

おわりに

「オウンドメディア担当者」と「インハウスエディター」の関係はどちらが上位概念というものではなく、あくまで業務の幅に過ぎません。さらに、リソースの兼ね合いから、必ずしも直ちに踏み出せるものでもないでしょう。

しかし、オウンドメディアという担当領域から半歩ずつその活躍の場を広げていくと、会社や事業全体から、オウンドメディアの役割を俯瞰的に捉えられるはずです。

「インハウスエディター」のキャリアを歩むにしても、あるいは専門家として「オウンドメディア担当者」の道を極めるにしても、新たな強みを手に入れるチャンスとしてご参考いただければ幸いです。

■ Twitter
@fujijun89

■ note
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この記事を書いたライター
藤田 隼

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