インタビュー広告代理店

コロナ禍におけるWeb広告代理店の営業・マネジメントのリアル

Shirofune広報担当
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で既存の働き方が一変し、リモートワークやオンライン営業などが普及しました。そんな中で、Web広告代理店における営業・マネジメントの手法はどのように変わったのでしょうか。

今回は、匿名を条件にWeb広告代理店の経営層だった方に、リモートワーク環境下における案件の獲得手法やマネジメント、そしてWeb広告代理店の今後の展望などの話を伺いました。

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リモートワーク移行後、広告主のニーズに変化はあったか?

ーー リモートワークに移行後、顧客ニーズに変化はありましたか?

変わっていますね。コロナ禍により、今のビジネスモデルに課題を感じる方が増えたため、単純に「Web広告の運用代行ができる」だけでは、やはり弱いです。

広告主のニーズが「既存の運用方法を120%改善してほしい」ではなく「コロナ禍に、いかに新規顧客を獲得していくか、そのために必要なオンラインマーケティング施策はなにか、そういうことを再設計した上で、広告の展開の仕方を適応させる」に変化したイメージです。

広告運用は始める前の設計が重要です。広告運用に限らずマーケティングの視点を絡めてご提案することが広告主のニーズにフィットし、結果として受注数増加にもつながりました。

IT・ベンチャー企業は、リモートワークに移行してもすぐに対応できると考え、ターゲットをリモートワークへの対応に苦難しているであろう創業30年以上の会社に絞りました。元々マス広告がメインでWeb広告には弱かったり、ビジネスモデル自体がコロナ禍においては厳しいものがあったり…。そうした背景からビジネスモデルの再定義含めて、年間プロジェクトを提案し受注していました。

対象顧客レイヤーの変化

ーー 現在、利益率の観点で苦しい代理店もいると思います。貴社では、利益率改善のためにどのようなことをされましたか?

3つあります。

・手数料の最低ラインの引き上げ
・新サービスの開発
・生産性の向上

まずは「手数料の最低ラインの引き上げ」について、月間広告予算が100万円未満の場合、固定で20万円いただくようにしています。そして、既存の広告運用支援だけでなくマーケティング支援を月額固定費用で行う新サービス開発しました。

さらに、人事の評価軸には「時間内の業務を終了」を加え、社員全体の生産性向上を図りました。

リモートワーク移行後、営業活動に変化はあったか?

ーー 営業活動上、コンペは現在も実施されるのですか?

ありますが、以前のようにお客様の前に立ち、スライドを写してプレゼンする形式ではなくなっています。

リモートワークになってからは、事前にスライドを共有し、Zoomなどで画面共有しながら説明しています。とはいえ、コンペ形式の変化に伴った受注率の増減はありません。ただし、商談数が増加したため、案件獲得数は以前より増えました。

提案の流れ、営業資料を変更

ーー リモートワークに移行後、営業の取り組みでなにか変化はありましたか?

新規提案をWeb会議で行うようになってから、提案の流れ、利用する営業ツール、営業資料のすべてを変更しました。

営業において、どなたとタッチポイントを持つか、が重要です。

最終決裁者の方は忙しく、中々Web会議に参加できないため、まずは担当者の方を介して最終決裁者の方にアプローチするようにしていますね。

担当者の方と接触して打ち合わせを行う場合、その方に理解していただける営業資料を事前に送ります。そしてWeb会議で実際に提案を行い、「ぜひ依頼したい。一緒に上長を説得しましょう」というように、自分と担当者の方が共同で上申する状態を目指すんです。

次に最終決裁者の方の年齢や傾向、どういう資料に反応したり断ったりしているかなどの特性を担当者の方にヒアリングした上で、最終決裁者に合わせた営業資料を作り直します。

リモートワーク移行後、マネジメントの難易度や手法は変化したか?

ーー リモートワーク下におけるマネジメントは難易度が上がると思います。リモートワークに移行後、どのようにマネジメントを行われていましたか?

私がマネジメントしていたインサイドセールスとフィールドセールスでは、マイクロマネジメントを意識しました。細かなKPI策定、細かな“報連相”など、コミュニケーションの頻度を意識的に増やしました。

例えば、「9:00〜は何をやっているの?」などの行動進捗管理を行い、日次や週次で行動達成率を管理していました。

営業でよく課題に挙がるのは、「商談管理のためにスプレッドシートに顧客情報を入力したか?」など、細かい作業面です。リモートワークになってからは、以前よりスプレッドシートをしっかりチェックし、情報が入力できているかどうかを見るようにしました。

あわせて、統一化できていなかった入力基準の整備も行いました。

ーー 行動管理などマイクロマネジメントに切り替えたとき、混乱が起きたり、浸透しなかったりなどの問題は起きませんでしたか?

大きな混乱はありませんでした。

前職は、一人当たりの売上より、クライアントのアカウントをどれだけ伸ばせたか、に注力する会社でした。クライアントの売上が伸びたかどうかが評価軸として持っているほどです。

リモートワーク化による大きな変化はなく、これまでの延長戦上で、さらに細かいコミュニケーションが求められるようになりました。

ただ、行動管理や進捗管理自体はできても、営業メンバーのメンタル面のマネジメントは難しかったです。

元々は、仕事終わりに営業メンバーと飲みに行くなど、普段からオフラインの関わり合いを大切にしていましたが、コロナ禍以降、それが全くできなくなってしまいましたね。

リモートワーク移行による営業活動のメリットとデメリット

ーーリモートワークに変わって、営業活動上はプラスでしたか?

一長一短ですね。

メリット:商談数の増加

まずメリットですが、訪問の移動時間が短縮できたため、商談数は以前と比較して劇的に増加しました。その結果、売上も順調に成長しています。

参考程度に、新規リード獲得とリードナーチャリングに関しても補足させていただきます。

まず新規リード獲得のチャネルとしては、オウンドメディア経由が70%を占めています。残り30%は他SNSやメルマガなどです。

リードナーチャリングについては、コロナ禍以降にインサイドセールスがリーダーシップをとって推進し、注力するようになりました。具体的には一度以上接点のある既存リストに対して、クローズド制のWebセミナーを開催しました。Webセミナーで興味を持っていただいた方向けに商談打診をすることで、商談数獲得にも寄与しています。

デメリット:リードタイムの延長

一方のデメリットは、リードタイムが長くなったことで、クライアントの意思決定スピードが対面に比べて遅くなっている点です。そのため、予材管理(将来売上になる案件の管理)を精緻に行わないと、数字のヨミがずれます。管理面でしっかり見れる人がおらず「何となく営業にいって、案件を獲得する」スタイルでは、いずれ限界が来るのでは、と思いましたね。

実際、組織としては中間管理層の採用は課題でした。

Web広告代理店業界は、どのように変わっていくか。

ーー 今後、Web広告代理事業はどうなっていくとお考えでしょうか?

3つあります。

・勝ち負けがはっきりする
・個人の自立性がより求められる
・中長期的な仕掛けが生き残りの鍵を握る

勝ち負けがはっきりする

Web広告代理店の中でも勝ち負けがはっきりすると思います。これから生き残れるWeb広告代理店は、支援企業のビジネスにどこまで寄り添えるか、が重要になるのではないでしょうか。

Web広告の運用代行だけでなく、コンサルティングサービスがある、特定の分野の制作に強い、など…、+αの提供価値をいかにつくれるかが、今後も生き残れるかどうかを分けるのでは、と思います。

ちなみにこの業界に5年以上いて思うのですが、Web広告代理店の業界は、中間層のプレイヤーが少ない業界だと感じています。20〜30名のWeb広告のみを扱う広告代理店と、最上位層の広告全般を扱う広告代理店があって、100名規模のWeb広告代理店は数が少ないなと。

前職でも、中間層から早く抜けるべくモデルチェンジに取り組んでいました。

個々人の自立性がより求められる

今後のWeb広告代理店には、組織としての強みを生かしながら、個々人の自立性がより一層求められるようになるのでは、と考えています。

広告主のニーズはWeb広告の運用だけでなくマーケティング全般の支援に広がっているケースもあるので、社員に求められるスキルセットは広がっています。

前職では社員の給与の基準を決めるために、スキルセットのチェックシートを用意していました。

中長期的な仕掛けが生き残りの鍵を握る

もちろん、目の前の売上をつくることは重要です。私の知る限り、売り方やターゲットを変えることで利益を生み出しているWeb広告代理店もいます。

しかし、中長期でどれだけ仕掛けを仕込めるか、が企業として生き残れるかどうかの鍵を握ると思います。

例えばハウスリストをいかに作れるか、ハウスリストに対してどうナーチャリングするかなどです。その中でも特に重要なのが、リードナーチャリングと考えています。すぐに案件化せずとも、1年後には案件になっているかもしれません。一朝一夕でできる問題ではありませんが、中長期まで見据えて取り組む姿勢が必要でしょう。


インタビューは以上です。

本件は、「広告プラットフォーマーがWeb広告代理店に求める本音とは?これからのWeb広告代理店に求められること」に続き、Web広告代理店の経営層に役に立つ情報を届けるべく企画いたしました。

本件で語られたことは、全てを鵜呑みにせずエッセンスとして受け取っていただき、事業運営の参考にしていただけたら幸いです。

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(取材・文/金森 悠介 デザイン/垰本 千代 編集/中島 孝輔)

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