ShirofuneCollege

Google広告の「Mugen」を徹底解説

株式会社アイスメッツ 取締役COO 小島勇輝

株式会社アイスメッツ様と「Shirofune」が手掛ける、デジタルマーケターによる、デジタルマーケターのための、デジタルマーケティングの理解を深める動画コンテンツ集「Shirofune College」。

今回の「インハウスマーケティングラボ」では、Google広告の「Mugen」について徹底解説した「Shirofune College」の第1弾の動画第2弾の動画を記事化しました。

※本記事では、「Mugen」の概念の一部を紹介します。

本記事の内容
・Googleの「Mugen」ってそもそも何?
・「Mugen」に至るまで
・「Mugen」とは 
・最適化スコアの構成要素とは

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Googleの「Mugen」ってそもそも何?

Mugen

Googleの「Mugen」とは、Googleが提唱している

①コンバージョンの最大化
②CPAの効率化

上記2つを両立させる概念です。

Mugenの本質

「Mugen」の概念は、突然提唱されたのではありません。過去の様々なGoogle広告に関する考え方や概念がアップデートされて、「Mugen」に至っています。

そこでまずは、「Mugen」を説明する上で、「Mugen」に至るまでの歴史や生い立ちについて説明していきます。

「Mugen」に至るまで

最初の概念である「完全一致至上主義」

Mugenに至るまで

2014年以前、リスティング広告の考え方のスタンダードは「完全一致至上主義」でした。

「完全一致至上主義」は、Googleによって提唱された概念ではなく、大手広告代理店を中心に提唱されていた考え方です。

1つのキャンペーンの中に、1つの広告グループ、1つの完全一致のキーワードだけを入れる

「キーワードの数だけ、キャンペーン数と広告グループ数がある」というかなり細分化された構造でした。完全一致のみで配信されるため、効率面は担保されていたのですが、2つ問題点がありました。

問題点①:コンバージョンの拡張性
問題点②:工数的な問題

完全一致だけで入稿/配信していくため、クエリやインプレッションの広がりがなかなか出てきません。そのため、コンバージョンの拡張性に課題がありました。

また、キーワードを追加するごとにキャンペーンや広告グループを新しく入稿していくため、工数的にかなり大きな負荷が運用担当者にかかってていました。

そこで、「完全一致至上主義」の課題を解決するために2014年頃からGoogleが提唱した概念が、「Hagakure」です。

Mugenに至るまで

アカウント構成を最適化する「Hagakure」

「Hagakure」の目的は、アカウント構成の最適化です。それまでの「完全一致至上主義」で提唱されたていた細分化構造ではなく、「Hagakure」のキャンペーン構造は、1つのキャンペーン/1つの広告グループの中に様々なマッチタイプとキーワードを追加するため、かなり簡素化されていました。

「Hagakure」によって、コンバージョンやインプレッションボリュームは増えていきましたが、現在と比べると、機械学習の精度が低く、まだまだ大きな課題がありました。

<例>
某大手生命保険会社の社名キーワードを「部分一致」で挿入

<結果>
「アメリカンフットボール」という生命保険会社とはまったく関係のないスポーツのキーワードに反応してしまった。

現在の仕様では考えられない食い違いが出ていました。CPAが悪化、暴発してしまったアカウントが多く発生したため、効率化を図ろうとGoogleが次に提唱した概念が「GORIN」です。

Mugenに至るまで

運用担当者に向けて提唱された「GORIN」

「GORIN」の目的は、プロダクト設定の網羅化です。

「GORIN」では、広告文に関して、今では当たり前ですが当時は画期的だった、1セットだけではなく、2~3セットの追加の推奨しました。また、手間がかかるため設定をされない方もいる、広告表示オプションに関しては、拡張サイトリンクだけでなく、構造化スニペットや価格表示オプションなどすべての設定を推奨していました。

たしかに効率化は進んでいきましたが、一方でボリュームが伸びないという課題が、また発生してしまいました。

効率化を図りながらボリューム増を目指すため、

・「Hagakure」のCVボリューム
・「GORIN」のCPA効率化 

この2つを掛け合わせた概念が2019年ごろから提唱された「Mugen」です。

Mugenに至るまで

「Mugen」とは

Mugenスコア

「Mugen」は100点満点で構成されています。

つまり、点数が高ければ高いほどこの「Mugen」の概念にのっとって施策が実行されているという表現です。この「Mugen」スコアは、大きく2つの要素で構成されています。

「Mugen」スコアの2つの要素

①最適化スコア
②トリガリングエクセレンス


※「Mugen」スコア={(最適化スコア%)+(トリガリングエクセレンス%)}/2

それぞれが100点満点となり、その平均値が「Mugen」スコアで表現されます。また、「最適化スコア」は4つの要素に分解されていきます。

「最適化スコア」を構成する4つの要素

①入札と予算
②キーワードとターゲティング
③広告と広告表示オプション
④修正項目

今回の記事では、1つ目の要素である「入札と予算」について紹介します。

最適化スコア

最適化スコアの構成要素「入札と予算」

入札と予算

入札

「入札と予算」の「入札」パートには、「自動入札」と「スマート自動入札」の2つの入札方法があります。

自動入札

「自動入札」はさらに「クリック数の最大化」と「インプレッションシェアの最大化」の2つに分解できます。

【クリック数の最大化】
決められた予算の中でクリック数を最大化させるための入札方法。

【インプレッションシェアの最大化】
決められた予算の中で、インプレッションシェアをできるだけ上げるための入札方法。

スマート自動入札

「スマート自動入札」は「eCPC」、「tCPA」、「コンバーション数の最大化」、「tROAS」、「CV値の最大化」の5つに分解できます。

①eCPC
「Enhanced Cost Per Click (※日本だと拡張クリック単価が一般的)」の略。設定したCPCの上下50%以内でコンバージョンを最大化する入札方法。

②tCPA
「Target Cost Per Action」の略。設定したCPA内でコンバージョンを最大化する入札方法。

③コンバージョン数の最大化
設定した予算内でコンバージョン数を最大化する入札方法。

④tROAS
「Target Return On Advertising Spend」の略。設定したROAS中で、コンバージョン数や収益を最大化する入札方法。

⑤コンバージョン値の最大化
tROASと近しい概念。コンバージョンごとに重みづけが違うケースに対応。キーワードごとの重要性を加味した上でコンバージョン数を最大化する入札方法。

例)「ベッドと枕」や「資料請求と口座開設」では、コンバージョン数としてはどちらも「1」だとしても売上への重要性はまったく異なる。

合計7つの入札方法がありますが、設定を推奨する入札方法はなく、どの入札方法を設定してもよいです。最適化スコアをあげるために設定されていることが重要なため、まずは、自動入札/スマート自動入札の設定から始めましょう

※注意点:設定した入札方法は、設定日から入札スコアが満点にはなりません。過去28日間のデータを基に徐々に点数が上がっていきます。

予算

入札と予算

続いて「予算」について説明します。

注意すべきポイントは「日予算上限に当たらないこと」です。そのため、日予算にあたっている状況であれば、日予算額を上げましょう。

ただ、お客様の都合で広告予算を上げられない場合、例えば入札設定が「eCPC」であれば、個別の入札単価を下げる。設定が「tCPA」であれば、目標のCPAラインを下げるなどの対処をして日予算があたらない状況を作っていきましょう。

最適化スコアの構成要素②広告と広告表示オプション

広告と広告表示オプションには、クリエイティブに関する全ての最適化案と有用性を上げるための施策がまとめられています。キーワードに対する関連性が高く、オプションが網羅されている状態が好ましいです。

キーワードに対する関連性とは

例えば、葬儀屋(広告主)のGoogle広告出稿のケース。主催者向けに広告を出稿していたにも関わらず、クエリを広げるためキーワード追加していく過程で「参列者側」の検索キーワードにも出稿してしまっているケースがあります。

広告文の訴求内容は「主催者向け」ですので、「参列者側」のキーワードで出稿してもユーザーの関心事とズレが生じてしまいます。

どのように広告を設定すればよいのか?

広告の設定には、3つのポイントがあります。

①広告の数

2種類のフォーマットでオプションを網羅していきます。

・拡張テキスト(広告文を2種類設定)
・レスポンシブ広告(広告文を1種類設定) 

②更新性

2週間に1度の頻度で広告文を差し替えることで高い品質を保つ事ができる。ローテーションに関しては、「均等(※)」と「ローテーション」の2種類の最適化項目を選びましょう。

※それぞれの広告に対して均等にオークション機会を与える最適化方法。結果的に、品質によってオークションに勝てるかどうかが決まるため、最終的なインプレッションには偏りが出ます。

③最適化しているかどうか

広告効果を最大化してくれる設定。配信の偏りをGoogleが調整してくれるため、基本は最適化の選択を推奨しています。

オプションの網羅性とは

オプションの網羅性の種類は6つになります。

①サイトリンク
②構造化スニペット
③コールアウト
④電話番号表示オプション
⑤販売者評価 
⑥価格表示オプション 

特に①〜③は必ず設定しておきたいオプションです。残り3つの種類に関しては、自社の状況に合わせて設定しましょう。

・電話番号表示オプション:コールセンターなど実際に電話で受注する場合は設定を推奨
価格表示オプション:ECサイトなどで物販をしている場合、価格が定まっている場合は設定を推奨
販売者評価オプション:Google経由で出稿している商品のサービスやレビュー、外部サイトからの評価を総合して5段階で星印評価。

販売評価オプションについてですが、「自社の評価が低いから設定しない方がよい」と思うかもしれませんが、「3.5以上で表示、それ未満は非表示」という設定がデフォルトであるため、気にせず設定しましょう。

なお、自社商品/サービスの現在のポイントを確認できるURLがあります。(※確認方法は、概要欄に記載){yourwebsaite}という項目に自社サイトのURLを入力し、Googleで検索すれば確認できます。

最適化スコアの構成要素③キーワードとターゲティング

キーワードとターゲティングについての最適化案には2つの大きなポイントがあります。

Point①:設定するキーワードとユーザーが検索する語句の一致率を上げる

キーワードがユーザーの検索意図とずれないよう、キーワードの取りこぼしを防ぎつつクエリを広げるには以下の4つの施策が有効です。

①DSA
②検索パートナーの追加
③キーワードの追加
④マッチタイプの拡張

特に「検索パートナーの追加」は検索パートナーの設定の有無が人によって変わりますが、基本的には設定を推奨します。というのも、Google以外の検索パートナーのメディアにも露出されるからです。低CPCで配信されることが多く、想定よりCVRも下がらず獲得できるケースも多くCPAも良化するため、設定を勧めています。

DSAには適しているケースとそうでないケースがあります。

<DSAが適しているケース>
商品点数、サービス数、在庫の量が多い、季節によって商品ラインナップが変ったりサービス内容が異なってくる場合。ページと出稿する広告の連動性が必要なため、適している

<DSAが適していないケース>
商品点数、在庫の数が少ない、季節性が全然なく更新性もあまりない、そもそも読み込ませるためのコンテンツが少なく、ページとして認識されない場合。例えばブランドサイトのこだわりが強すぎてエフェクトが多い、動画や画像が多い場合など。Googleがどういったページかを読み込めないため、適していない。

Point②:ターゲット設定の向上を図る

絞り込んでより高い精度のターゲティングを実現する施策が以下の6つです。

①顧客リストのアップロード
②オーディエンスソースの活用
③矛盾するキーワードの再設定
④重複するキーワードの削除
⑤除外キーワードの設定
⑥成果の低いキーワードの停止

「顧客リストのアップロード」では、’エンドユーザーの電話番号やメールアドレスなどの属性情報をGoogleの管理画面にアップロードすることで、属性が似ているユーザーに対してピンポイントに広告配信できます。

例えば、無料会員登録はしたが有料転換しないユーザーへ課金の案内をしたり、以前は課金していたが、直近は課金をしていないユーザーに対して課金を促すような広告を配信したりすることができます。また、特定商品を購入した人に対して、類似商品の購入も促すサジェスチョンもできます。

しかし、1つ注意点として、顧客の個人情報を利用するため、事前に許諾を得る必要があります。

「オーディエンスソースの活用」はRLSAやリターゲティング広告を使う際に必要な手段です。

・Googleの管理画面の情報を使って配信する
・Googleアナリティクスと連携して配信する

などの手段はいくつかありますが、Googleの管理画面上に表示される「設定をする」を選択するだけで問題ありません。仮にリターゲティング広告を使わないとしても、「設定をする」を選択すれば最適化スコアが上がりるため、こちらも設定を推奨しています。

「矛盾するキーワードの再設定」は設定キーワードと除外キーワードがバッティングして矛盾が生じてしまっている状態です。設定キーワードまたは除外キーワードのどちらかを削除して状況を整理しましょう。

最適化スコアの構成要素④修正項目

修正項目はアカウント内でまとめられており、技術的な問題によって掲載に悪影響を及ぼさないための項目になります。修正項目とアラートが出てくるポイントは以下の4つです。主に後半2つはランディングページの改善となります。

①キーワードはあるが広告がない、広告はあるがキーワードがない
②リンク先が審査落ちしてしまっている
③モバイルサイトを改善する
④表示速度を改善する

スマートフォンユーザーに対してPCページを表示する状態は、ユーザビリティが悪いと判断されます。またランディングページの容量が重くて表示されないため、動画を削る、エフェクトをなくす、コンテンツを短くするなどの改善が必要です。

さいごに

本記事では、Google広告の「Mugen」の概要と歴史、また「Mugenスコア」を構成する「最適化スコア」の要素である

・入札と予算
・キーワードとターゲティング
・広告と広告表示オプション
・修正項目

の4つを解説しました。Mugenスコアを向上するための方法は、毎日管理画面を見て、キャンペーンの設定変えて…と、工数も多く面倒な作業です。しかし、広告運用自動化ツール「Shirofune」なら、「入札と予算」の設定を簡単かつ自動的に調整します。

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小島 勇輝 プロフィール
株式会社アイスメッツ取締役COO。早稲田大学理工学部卒業後、2007年新卒で株式会社サイバーエージェント入社。一貫して、インターネット広告事業に従事。フロント営業でありながら、獲得系のメディア運用を全て自分で行えるスーパープレイヤーになる。2020年株式会社アイスメッツ創業。取締役COO兼インターネット広告カンパニー長。

この記事を書いたライター
株式会社アイスメッツ 取締役COO 小島勇輝

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