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【博報堂 TOOL PROJECT特集 Vol.2】博報堂TOOL PROJECT×Shirofune。両社が開発したトレーニングプログラムの内容と、実証実験の成果、両社が描く「フリーランスが稼げる未来」とは。

岩井智昭
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ノーコードツールを活用し、フリーランサーのスキルの獲得と業務領域の拡張を目指す博報堂 TOOL PROJECT。同プロジェクトがSTUDIOとExploratoryに続き目をつけたのがShirofuneでした。TOOL PROJECTとShirofuneはどのようなトレーニングプログラムを実施し、デジタルマーケターの育成に取り組んだのでしょうか。

本記事では[Vol.01]に続き、TOOL PROJECT×Shirofuneのトレーニングプログラム内容や取り組みを通じて得られた気づき、両社が描く「フリーランスが稼げる未来」についてお届けします。

伝えたかったのは「Shirofuneの使い方」ではない。
Shirofuneを使った先にある、デジタルマーケターの喜びとカタルシス

ーTOOL PROJECT×Shirofuneの実証実験は、2022年1月からスタートしました。どんな受講者を集め、どのようなプログラムを展開したのでしょうか。

大関
参加者は全部で13名、デジタルマーケターやグラフィックザイナーなど幅広いバックグラウンドを持つ方々です。全6回のカリキュラムでしたが、Shirofuneのレクチャーは最後の2回だけです。

Shirofuneはそもそも使いやすいので、教えるべきことはそんなに多くありません。むしろこのプログラムで一番伝えたかったことは、デジタルマーケティングとは何なのか。Shirofuneを使いこなすことで見えてくる世界です。

TOOL PROJECTにShirofuneを採択した理由は先ほどお伝えしましたが、実は私個人の経験もありました。

私が営業としてあるメーカーさんを担当していたときのことです。それまでマスコミュニケーションのプランニングを担当していましたが、デジタルマーケティングを提案、説明責任を果たす必要に迫られました。クライアントとの実戦のやり取りの中で理解が進むにつれ、デジタルマーケティングを学ぶことの意義に気がつきました。

まず、色々な仮説が立てられるようになる、ということです。そしてお客様に提案ができるようになります。「こうしたらどうでしょう」「次はこれを試してみましょう」と、様々な提案ができることは営業にとって大きな価値となり、モチベーションとなります。

さらに、デジタルマーケティングでは実際に仮説検証までできます。自分が立てた仮説をもとに広告を出稿し、最初のコンバージョンが取れた時は本当に嬉しいものです。

この喜びはお客様と共有できるものですし、売れなかった時にはなぜ売れなかったのか、一緒に考えられるようになります。お客様と同じ目線で会話ができるようになる。その素地がデジタルマーケティングというフィールドにあるのだと知りました。この私自身の学びを、受講者の皆さんに伝えたいと思ったのです。

大倉
デジタルマーケティングには、商売の本質が詰まっています。結果をきちんと追えるからこそ、PDCAを回して次にどうするべきか知恵を絞り、洗練させていくことができます。

大手企業ではデジタルマーケティングが組織的な分業になっているケースも多くあります。お客様のニーズをヒアリングして提案をする人。広告を作る人。広告を出稿する人。でもその役割を全て一人で担い、予算とゴールをお客様と握り、責任を持って成果を出す。ここで売れた1件には得難いカタルシスがあります。

単なるツールのチュートリアルではなく、ツールを使うことでどんな喜びが生まれるのか。デジタルマーケティングという領域に踏み出すことでお客様と高い視座で向き合い、成長することができる。

極めることで得られる喜びや、そこから見える世界。そんなことが伝えられると意味のある講座になると、何度も対話を重ねて作り上げました。

Shirofune菊池
これはまさに、ツールだけでは絶対に実現できない領域です。TOOL PROJECTの素晴らしさは目的や意義、ツールを活用した個人の未来にしっかり焦点を当てているところにあると感じています。

WEBデザイナーがデジタルマーケティングの提案をする、
スキルのピポットから生まれた提供価値の変化

ーTOOL PROJECT×Shirofuneの実証実験ではどのような成果が生まれましたか。

大関
STUDIOのプログラムとShirofuneのプログラム、両方を受講したWEBデザイナーがいました。この方はSTUDIOのプログラム受講後に実案件トライアルで、とある企業にWEBサイトを納品しました。STUDIOを使って、自分で作ったサイトなので思い入れもあります。

今度はShirofuneのプログラム受講後にWEB広告の提案をしたのです。その提案がお客様に受け入れられ、実際にキャンペーンが動き始めました。

フリーのWEBデザイナーさんがこれまでやったことのないデジタルマーケティング領域に踏み出し、お客様に提案するのはかなり勇気がいることです。でもサイトを制作したからこそ「これは自分がやるべき」と強く感じたようです。我々もサポートし、今も両社の取り組みは続いています。

三谷
大関のサポートを見ていて思ったのは、実務経験者が伴走することの大切さです。実案件を通じてその方の足りないところを経験者が補い、必要に応じて軌道修正をする。伴走によって受講者は力をつけることができ、何よりお客様に対峙する自信を得ることができます。

「スキルに固執すると、提供価値は上がらない」実証実験で得られた意外な気づき

ースキルのピポットをツールと人でサポートすることで提案の幅が広がり、実際にフリーランサーの売上が上がっているのですね。この実証実験で得られた気づきや手応えがあれば聞かせてください。

大関
目的を持ってお客様と対峙できる方は、目的意識とツールとの掛け算で考えられることが増えていきます。一方で真の目的を見ずに、手法としてのスキルに走ってしまうとリアリティのない表面的な話に終始し、実業に結びつけるのは難しくなる、というのは一つの大きな気づきでした。

大倉
少し具体的にお話しすると、デジタルマーケティングの専門知識を持っている方が、それ以外の選択肢を持たずにお客様に対峙すると、コンサルタンシーを発揮できないということがわかりました。

お客様が求めているのはどうやって人を集めるか、どう商売を成功させるか知恵を絞ることです。デジタルでの集客が難しいなら、ショップカードを作って来訪を促進しましょうとか、ポスティングをしましょうとか。

手法は何でもいいわけです。いかにたくさんの選択肢を持ってお客様に向き合えるかが実は大切です。ところが専門家の場合、デジタルマーケティングというフレームの中でしか物を考えられないケースがある。これは大きな示唆でした。

大関
Shirofuneのプログラムでも、「ウェブ広告を出稿できる」をゴールにしていない理由はここにあります。あくまでゴールは顧客への提供価値をあげること。そのための手段の一つがデジタルマーケティングであり、Shirofuneです。スキルやツールは手段でしかありません。

Shirofune菊池
TOOL PROJECTを通じて思うのは、ツールだから良いということです。スキルを努力で培ってきた専門家の場合、「これが私のケイパビリティです」とそのスキルを使って価値提供することを考えます。

ところがツールで手軽に手に入れたスキルは、選択肢の一つにしかなりません。スキルへの思い入れがないからです。ツールで得た新しい選択肢だからこそ、使えるシーン、使えないシーンを客観的に判断し、コントロールしながら使うという発想になれるのだと思います。

第一弾の実証実験で飲食店さんが参加したというお話がありましたよね。店舗を持って経営をしている飲食店さんが自分のサービスを知ってもらうために、実行手段としてサイト制作やデジタルマーケティングというスキルを身につける。すると、経営というコアなスキルを拡張することができます。

結局、こういう方は単一スキルを持った人より稼げるようになります。デジタルマーケティングのプロより稼げるかも知れない。ツールを使ってプロと同じくらいのアウトプットが出せて、尚且つ経営という他のスキルも持っているわけですから。複数のスキルをツールで掛け合わせ、コアになるスキルを拡張する。この掛け算の意義は非常に大きいと思います。

博報堂TOOL PROJECT×Shirofune、両社が目指すのは価値提供できる人材の育成と、フリーランスが稼げる世界

ーツールを使ってスキルをピポットする。その意義を強く感じるお話ですね。最後に、TOOL PROJECTの今後の展望を聞かせてください。

大倉
今回の実証実験は、職能として需要の大きいデジタルマーケティングという領域でスタートしましたが、実験を通して良い兆しを感じています。

ある程度の社会人経験がある、デジタルマーケティングをやってみたいというモチベーションのある人に必要なエッセンスをインプットし、並走しながら実務経験を積んでいただく。この積み重ねで、デジタルマーケターとして一角の人材が増えていくという兆しです。

そしてこの手法は、他の領域にも展開できると考えています。今年1月からはDtoCブランドの構築プログラムも新しくスタートしました。需要のある職能に横展開し、メニュー化していきたいですね。

ー博報堂TOOL PROJECTとの連携を通して、Shirofune側にはどのような気づきや学びがありましたか?

Shirofune岩井
何のためにツールを使うのか、誰のために使うのか。TOOL PROJECTの講座で大切に語られていたのはこの部分でした。

ツールでできることって実はすごくシンプルで、数時間でインストールできる内容です。それより大切なのは、フリーランサー、副業人材がいかに稼ぎ、豊かになるか。そのためにスキルを拡張して提供価値を高める。ツールに人間の想いや、お客様にこういう価値を提供したいというモチベーションが乗っかることで、価値が広がっていく。そんな取り組みを博報堂さんと共にできたことが、本当に嬉しかったです。

個人的に印象に残っているエピソードが一つあります。元歯科衛生士のママさんが、オンラインでウェブデザイナーの資格を取得したという話です。これまでできなかったことが、できるようになった。素晴らしいリスキリングです。

ただ、このスキルをお金に変えようとすると壁にぶつかります。ウェブデザイナーとして優秀な方は世の中にたくさんいるからです。結局、価格で戦うしかない。単一スキルだと値切られてしまうという悲しい現実があります。

世の中は厳しい。だから単一スキルではダメだ、というところにTOOL PROJECTの意義があると思います。スキルを掛け合わせることで提供価値を増やす。それによって稼げるフリーランサーを増やす。Shirofuneがその一助となれば、こんなに嬉しいことはありません。

Shirofune菊池
スキルの掛け算で稼げるようになるというのは、雇う側の視点に立っても明らかです。AとBというスキルがあったとき。Aだけができる人と、Bだけができる人をそれぞれ雇うよりも、AとB両方できる人を雇う方が高い対価を払う価値があります。AとBを分業できる人を組み合わせるよりも、AとBの両方をできる人の方が、オリジナリティが高いからです。

オリジナリティの高い仕事ができると、より高い報酬をもらえるようになる。仕事も選べるようになるし、収入が増えることで選択肢も増える。より人生が楽しくなります。そういうフリーランサーを増やしていくことは、社会として本当に意義のあることだと思います。引き続き両社で連携し、この取り組みの輪を広げていきたいです。

<取材・文/藤井恵 撮影/鈴木慶子>

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