OJT頼みの育成を変える!マーケター育成アプリがマーケ支援会社にも続々導入される理由
- Shirofune広報担当
「マーケ人材が不足していると答えた企業は78.1%」「約80%の企業は、自社でマーケター教育カリキュラムを用意できていない」「マーケターの育成はOJTに偏っていると65%の企業が回答」。コロナ禍でマーケティングの重要性が叫ばれる中、マーケターの育成に課題を抱える企業は多い。
そもそも、マーケティングという領域は扱う範囲が広く、変化が早い。これらを各企業でカバーし、社員にインプットを継続するのは並大抵の労力ではない。ここに目をつけたのが、株式会社グロースXが展開するマーケター育成アプリ「コラーニング」だ。
コラーニングではマーケターが身につけておくべき基礎知識を体系化し、コンテンツを提供している。今や優良企業約250社7,000人に導入されている、マーケター育成の救世主だ。チーム単位でコラーニングを活用し、学びをアクションに結びつけることを徹底。
業績改善にコミットすることで「効果のある研修」として事業会社はもちろん、広告代理店・マーケティング支援会社からも支持されている。コラーニングの開発者で株式会社グロースXの代表、津下本氏にマーケター育成の重要性や開発のポイント、導入企業の変化についてお話を伺った。
基礎のないマーケター、マーケティングチームが多い、という課題感
コロナ禍で今、多くの企業が、小手先のマーケティングではパフォーマンスが出ない事態に直面しています。国民の生活様式が変わり、多くの店舗が苦戦し、EC比率が急増。危機意識から、改めてマーケティングの重要性に気づき始めているように思います。
そんな環境が追い風となり、僕らが展開するマーケター育成アプリ「コラーニング」は多くの企業から支持されるようになりました。「コラーニング」誕生のきっかけはパラレルマーケターとして、オイシックスなど複数の会社のマーケティングを経営面から担っている西井 敏恭との会話にありました。
西井とは以前から親交があったのですが、色々な話をしていく中、マーケティング界隈は基礎のないチームが多いという話になりました。いい戦略があっても、マーケターの基礎がないため、戦術実行の段階でダメになってしまう。そこがボトルネックになっている現場が多い、と。
僕自身、アライドアーキテクツという会社を経営し、マーケティング支援をしていたので、この構造は非常に腑に落ちました。そもそも、僕自身が育成に注力できていなかったからです。いい選択肢がなかった。業界への還元を考えると、これは人が喜ぶドメインになるのではないかと思い、「コラーニング」を開発しました。
マーケターの育成はOJTがメイン。体系化された土台がない
そもそも、日本は諸外国と比べて社会人のトレーニングマーケットが異常に小さいんです。また、少し前に総務省が発表したデータによると、社会人は1日6分しか勉強をしていません。
DX、DXと言われていますが、ツールを入れても結局使いこなせないのは、人の変革ができていないからではないでしょうか。今後、社会をより良くしていく上で、それを回す「人」に投資されずに、いきなりAIが人を飛び越えることはありません。
しかし、マーケターの育成という観点では、挫折している企業が非常に多い。弊社で実施した調査によると、
●マーケ人材が不足していると答えた企業は78.1%
●自社でマーケター向けの教育カリキュラムが用意できているかというと、約80%がNOと答えている
●人材育成がOJTに偏っていませんか?というサーベイでは、65%がYESと答えている
マーケチームの重要性が増し、ますます忙しくなってきている中、教育まではやりきれていない企業が大半なのです。結果としてビギナーが入社すると、部品タスクを任せることになる。でも鳥の目、虫の目をバランスよく鍛えて、体系化された土台を作らないと、成長角度が上がらないというのが僕たちの考えです。
マーケティングという領域は教えることが多岐に渡ります。基礎が広く、変化も早い。社員が共通言語として持っておくべき基礎的な知識を体系化することは、至難の技です。多くの企業は自社のビジョン・ミッション・バリューや市場理解、顧客特性を教えるのに精一杯で、マーケティングの基礎的な部分はショートカットせざるを得ないのです。
僕らが提供している「コラーニング」は、総額数億円規模の投資をしてマーケター向けの教育コンテンツを体系化し、およそ200万文字のコンテンツを作り、提供しています。今では優良企業約250社に導入いただき、7,000人の方々にご利用いただいています。
顧客を本質的に理解するため、マーケティング支援会社にこそ基礎が必要
当初、ターゲット顧客は事業会社をメインに考えていました。ところが蓋を開けてみると事業会社はもちろん、マーケティング支援会社からのニーズが想像以上に大きかった。
今は運用型広告一つとっても、プラットフォームが最適化してくれるので勝負がクリエイティブのレイヤーに入ってきています。顧客のインサイトをきちんと洗い出して、どう訴求していくか、より上流から入り込まないと結果も出にくくなっています。
僕自身、SNSマーケティングの支援会社にいたのでよく思うのが、支援会社の人間は手法には詳しいのですが、顧客が追いかけているビジネスKPIにまでは想像が及ばないことが多い。市場全体として新規獲得が尻すぼみで、LTVを上げることに本質的に向かっている中、お客様が考えている文脈をどこまで想像できるかが、ますます重要になってきています。
実際、支援会社に話を聞いてみるとナレッジのシェアはしっかりされているのですが、マーケティングの基礎には手をつけられていない企業が多い。基礎というのは目の前の業務に今すぐに役立つわけではないからこそ、学ぶ動機付けも必要です。
そのあたりまではやりきれていない企業が多く、コラーニングを届けたところ、すごく喜ばれました。今、コラーニングの顧客はおおよそ事業会社が60%、マーケティング支援会社が40%となっています。
アクションに繋がらない研修は意味がない
コラーニングがよくある研修やEラーニングを大きく違うのは、アウトプットを大切にしている点です。勉強はアクションに繋がらなければ意味がない。
勉強をして、リテラシーが上がったのなら、いつかどこかで役立つかもしれないですが、それだと提供価値としては弱いと思うんです。研修って本来すごく活かせるものなのに、思考量と言うか、脳の汗かく量が足りないと得られるものが少ない。
だからこそ、コラーニングでは学んだことを自社に応用して考えて、自分ごと化するプロセス、アクションに繋げていくプロセスを大切にしています。
コラーニングでの学びを実務に活かすワークショップを開催し、ECサイトのコンバージョン率が170%改善した、というような導入企業様からの嬉しい声もたくさんいただいています。学びがアクションに繋がれば、必ず業績にインパクトを与えることができます。実際、導入企業様の62%が実践に繋がっていると回答してくださっています。
コラーニングがチームの共通言語を作る。共通言語ができると、チームは強くなる
学びをアクションに繋げるにあたり、鍵になっているのが「共通言語」だと考えています。今は中途採用も増えています。いい意味でも悪い意味でも分業が進んでいると、それぞれが部分最適に陥りがちです。
今まではオフィスで顔を合わせていたので、何となくわかっていた周りの業務が、リモートワークによって見えにくくなっていますよね。マーケティングの全体感がわからない状態で、自分の専門分野のスキルだけを持ち合わせている。そうなると発言するのも億劫、チャレンジするのも億劫になりやすい。
そんな中で、チームの共通言語ができると、コミュニケーションは良くなりますし、チャレンジをしやすい環境になり本当に喜ばれるんです。共通言語ができると、チームは強くなるんだと、日々間近で見せて頂いています。
コラーニングをご利用いただいている企業さんから「同じ内容を50人規模のメンバーが受講することで、共通言語が生まれた。それによって意見交換が能動的に行われるようになった点が非常によかった」というフィードバックをいただきました。
チーム単位で活用することでコラーニングを共通言語化する。これによってチーム内コミュニケーションが活性化し、業績アップに貢献することができるんです。
日々に忙殺されている人に、成長の喜びを届けたい
よくあるEラーニングや研修系のサービスは、人を2:8に分けた時、意識高く自分で勉強できる2の人たちに向けて作られているように思います。日々の業務に忙殺されて新しいことに踏み出せない8の人たちには届いていない施策が多い。
僕らが一貫してフォーカスしているのは8の人たちなんです。きっかけがなかった人たち、日々の業務が忙しく、継続が難しかった人たちに、成長の喜びを届けたい。これを僕らはピラミッド型の三角形型の能力分布から、たくさんの人の基礎力が底上げされればダイヤモンドの形分布になると思い、「ダイヤモンド型社会」と名付けています。
そのために、今はコンテンツの横展開を進めています。これまで用意してきたコンテンツはどちらかと言うとtoC寄りの領域だったので、他の分野のコンテンツを作ったりと、アジャストできる範囲を広める動きをしています。
すでにリリースしたAI編では、ビジネスサイドのAI人材を増やしたいという考えから設計しています。AIと言うと、データサイエンスやPythonを学んだり。そういうことを想像する人が多いと思います。しかし、圧倒的に足りていないのはAIを使って何を解決するか。企画をする人材なんですよね。
こんな風に、コラーニングのUXを軸に、自己肯定感のある社会、ダイヤモンド型社会の実現のためにできることはどんどんチャレンジしていこうと思っています。
今、求められるのは「グロースパートナー」
最近つくづく思うのは、パートナーシップの形が変わってきている、ということです。コロナ禍によって、社員がリモートで働くようになり、社員と業務委託の垣根が無くなってきています。
昔は仕事終わりにオフィスで飲み会をしたり、社員と委託の間には物理的な距離の違いによる、明確な壁がありました。ところがみんながオンラインの世界になると、役割の違いはあれど、距離感がフラットになってきたように思うのです。
そうなると、大事になってくるのが心理的な距離を置かず、事業の向かう先をみんなで共有すること。事業に関わるみんなが、同じミッションを追いかけるためのコミュニケーションです。
実はこれって、広告代理店やマーケティング支援会社とクライアントとの関係性にも当てはまるように思います。クライアントと同じミッションを追いながらビジネスに伴走し、色々なソリューションを提供してグロースパートナーになる。
こういう存在が、これからは求められるのではないでしょうか。僕らの力はまだまだ微力ですが、事業のグロースパートナーになれる人材を育てていきたいですし、学ぶことを通して「自分の歩みはこれでいいんだ」と思える自己肯定感のある人材、社会を作っていきたいです。
津下本 耕太郎|Kotaro Tsukamoto 株式会社グロースX 代表取締役社長
上智大学理工学部卒業。システムエンジニアからキャリアをスタートさせる。2007年、アライドアーキテクツ株式会社に入社し、SNS支援事業を始めとする各種事業の収益化に貢献。2012年取締役に就任し、2013年東証マザーズに上場。2018年に独立し、西井敏恭氏が代表を務める株式会社シンクロに「コラーニング」アプリの事業部長として参画。2020年8月に分社化、独立しグロースXを創業。代表取締役社長に就任。ミッションは「自己肯定感のある社会を作る」。