
広告キャンペーンの管理の重要性と管理を行う方法について解説

- 菊池 満長
2025年、日本のデジタル広告市場は依然として拡大を続けており、SensorTowerの発表したデータによると上半期の出稿額は35億ドル(約5000億円)を突破、インプレッションは1兆3000億回に達したと報告されています。一方で、広告効果への満足度は高くなく、「効果が向上した」と答える担当者は4割に満たない状況です。
さらに、広告予算の見通しをみると「増やす」と回答した企業はわずか3割強にとどまり、約6割が「据え置き」と答えています。市場は拡大しているにもかかわらず、投資姿勢は慎重さを増しており、企業はより厳密に費用対効果を見極める局面に入っているといえます。
こうした状況では、広告費を投じるだけでは成果につながりません。必要なのは、広告キャンペーンを「戦略単位」で設計し、目標と指標を明確に定義した上で、成果を可視化し、迅速に改善を回していく「管理の仕組み」です。
そこで本記事では、広告キャンペーンの基礎から管理の重要性、そして実務に落とし込む方法までを丁寧に解説します。
広告キャンペーンとは
広告キャンペーンとは、広告媒体で配信目的・予算・入札・地域・期間などを一括設定して行う、広告出稿における「最上位の単位」です。
広告キャンペーンの具体的なアクションは「何を目的に配信するか」「どれだけの予算を投じるか」「どこに・いつ出すか」のプランニングが該当します。目的ごとにキャンペーンを分けることで学習が混ざらず、成果の判定軸も明確になります。さらに、レポート集計やポリシー管理、予算配分の意思決定もこの粒度で行うのが基本です。
一方、実運用ではキャンペーンの配下に、ターゲティングや配信条件を細かく分ける下位構造があり、さらにその下に実際に表示される広告(クリエイティブ)が続きます。媒体によって名称や役割の切り分けに差があるため、きちんと定義について共通認識を持っておきましょう。
広告アカウントの関連用語と階層の基本
広告アカウントは、媒体ごとに広告を整理・管理するための「入れ子」のような存在です。
その内部は階層構造になっており、それぞれの層で役割が明確に分かれています。基本的な構造は、上位から「キャンペーン→広告グループ/広告セット→広告(クリエイティブ)」という三層構造です。
| 階層 | 役割・内容 | 媒体ごとの呼称例 |
| 階層①:キャンペーン | 予算、入札方針、配信地域、スケジュール、配信目標(例:コンバージョン重視、トラフィック獲得、認知向上)をまとめて設定する最上位の単位。戦略レベルの意思決定を担う。 | Google広告、Meta広告ともに「キャンペーン」 |
| 階層②:広告グループ/広告セット | ターゲティングや入札額の調整、配信する広告のグルーピングを行う中間層。ユーザー属性、興味関心、オーディエンスデータなどを設定する。 | Google広告:広告グループMeta広告:広告セット |
| 階層③:広告(クリエイティブ) | 実際にユーザーに配信されるコンテンツ。見出し・本文テキスト、画像・動画、リンク先URLを設定し、クリック率やコンバージョン率を左右する要素。 | Google広告、Meta広告ともに「広告」 |
上記のとおり、媒体によって呼称や設定可能な項目に若干の違いがあります。実際に、Googleは「広告グループ」、Metaは「広告セット」という名称を用い、それぞれ設定できるターゲティング条件や最適化の仕組みに差異があります。
この階層構造を理解しておくことで、配信目的ごとの整理や予算管理がしやすくなり、改善のスピードも格段に向上します。
広告キャンペーンの管理とは
広告キャンペーンの管理とは、広告媒体における最上位の単位である「キャンペーン」を軸に、目的・予算・入札方針・配信条件・効果測定までを一貫して設計し、継続的に運用していくことを指します。「単に広告を出稿するだけ」ではなく、自社のビジネス目標に沿った戦略を反映させ、費用を最も効率的に成果へつなげるための基盤となる活動です。
キャンペーンは、広告アカウントのなかで最も大きな括りにあたり「何を目指すのか」「どの程度の予算を投じるのか」「どの地域や期間に配信するのか」といった意思決定をまとめる役割を担います。この段階での設計が不十分であれば、いくら優れたクリエイティブや緻密なターゲティングを設定しても、成果は期待通りに伸びません。
逆に、目標や条件を適切に整理した上でキャンペーンを管理すれば、媒体の学習アルゴリズムが最大限に活用され、投資した広告費を効率よく回収できるようになります。
管理の概念には「運用後の改善」も含まれます。配信した結果を分析し、予算の再配分や入札戦略の見直し、ターゲティングの調整を繰り返すことで、成果創出を目指しましょう。「広告キャンペーンの管理」とは、この「プランニング→実行→改善」のサイクルを回し続けることであるといえます。
広告キャンペーンの管理はなぜ大事なのか
広告費は「どこに・どれだけ・どの目的で」投じるかによって成果が大きく変わります。ところが、配信目標が混在したまま設定を積み上げると、媒体の学習が分散し、入札や配信ロジックが意図した方向へ進みません。
さらに、日予算はキャンペーン単位で消化されるため、設計が甘いと成果の薄い配信へ資金が流れ続ける状態が起きやすくなります。管理とは、こうした「学習のブレ」と「予算の流出」を止め、意思決定を早めるための仕組みづくりです。
それを踏まえると、広告キャンペーンの管理が大切な理由としては、以下の3つに大別できるでしょう。それぞれ個別に解説します。

配信目標と戦略の明確化
キャンペーンは本来、最大化したい成果をひとつに定める単位です。コンバージョン、トラフィック、認知のように狙いが異なるものを混同させると、最適化の方向が揺れ、どれも中途半端になりがちです。まずは目標を一つに絞り、以下のようにその目的に適した入札戦略を選びます。
- 顧客獲得を狙う→コンバージョン系
- 売上価値を重視する→価値最大化系
- 認知の獲得→到達率・視聴率評価
目標が明確であれば、テストの設計も変わります。地域やオーディエンス、クリエイティブのどれを動かすかを一度に増やさず、キャンペーンの意図に沿って一要素ずつ検証する。そうして初めて学習の一貫性が保たれるため、改善にも繋がりやすくなります。
予算配分と費用対効果の最適化
1日の平均予算(日予算)はキャンペーンで管理されます。だからこそ、目的別・ターゲット別にキャンペーンを分けるほど、資金の流れもコントロールしやすくなるのです。
キーマケLabのBtoB企業への調査では、2025年度のWeb広告運用における課題について「費用対効果の向上」を挙げたマーケターが最多の47.2%であったことからも、予算最適化は最重要課題であるといえます。

(出典:キーマケLab「BtoB企業における2025年度Web広告予算の実態と展望に関する調査結果」)
「成果の高い配信に寄せ、伸び悩む配信は抑える」という原則自体はシンプルです。しかし、これを実行できるかどうかは、設計段階の切り分けで決まります。運用では、ROASやCPAなどの基準をあらかじめ定義し、一定期間ごとに再配分を行います。
短期の揺らぎに振り回されない評価期間を決め、「増額or維持or縮小」の判断を機械的に下せるようにしておくと迷いが減らせます。結果として、同じ総予算でも収益への寄与が高まり、投資としての妥当性が明確になるでしょう。
分析精度と改善スピードの向上
レポートは多くの場合、キャンペーン単位で集計されます。この粒度で構造を整理できているほど、原因の切り分けが迅速になります。言い換えれば、「どのレイヤーで意思決定を可能にするか」を設計段階で決めておくことが、後工程のスピードを左右します。
目的・地域・プロダクト・ファネル段階といった軸で丁寧に構造を分けておくことで、「どの戦略が効果を発揮しているのか」「どのターゲティングが鈍化しているのか」といった判断するポイントを把握できるようになります。
把握が早ければ、入札単価の微調整、配信先の除外、クリエイティブ差し替えなどの一連のアクションも早まります。つまり「分析から施策実行までのタイムラグを最小化する」ことが、広告運用の競争優位につながるのです。
このように、キャンペーン管理は単なるデータ整理の話ではなく、分析精度を高める仕組みとネクストアクションまでの時間を短縮する仕組みの両輪を成立させる基盤です。マーケティング投資の成果を「いかに早く」「いかに正確に」把握できるかが、最終的にROASや営業部門からの評価にも直結していくのです。
広告キャンペーンの管理はどのような時に必要なのか
管理の出番は、日常運用の微調整よりも、方向転換や不確実性が高まる局面で大きくなります。具体的には、以下のような局面では迅速に「目的・構造・評価」を定義し、キャンペーン管理を行う必要があります。次項より、個別に解説します。

新規製品や新規事業の立ち上げをするとき
新しい商品やサービスを市場に投入する段階では、広告キャンペーンの管理が特に重要になります。
なぜなら、立ち上げ期は「誰にどんな訴求が響くのか」「どのチャネルが成果を生むのか」といった仮説がまだ定まっていないため、目的や指標を明確に分けて管理しないと、学習データが混ざって成果の良し悪しが判断できなくなるからです。
そもそも、新規事業自体が非常にリスキーな取り組みであり、株式会社スーパーソフトウエアの調査では調査対象の約6割が「新規事業は失敗している」と答えています。そのため、初期段階からキャンペーン管理も高い精度が求められるのです。

(出典:PR Times「<新規事業に関する成功度調査>6割以上の企業が失敗!失敗の要因は『アイデア』と『社内調整』」)
加えて、新規参入では短期間で市場の反応を見極める必要があるため、広告配信の成果を定期的に振り返り、投資判断を素早く下せる体制を構築しておかなければなりません。季節イベントやキャンペーンセールと重なる場合も、通常運用とは切り分けて管理することで、後の検証にブレが出にくくなるでしょう。
広告の投資をスケール・縮小するとき
広告キャンペーンでは、投資を拡大するか縮小するかの判断を迫られる場面があります。具体的には次のようなフェーズです。
- 目標達成が安定し、次の成長ステップを狙うとき
- 予算上限に継続的に到達しているとき
- インプレッションシェアが不足しているとき
- 配信頻度の上昇やクリエイティブ疲労が見られるとき
- 複数のキャンペーンを統合・再設計する必要が出てきたとき
このような局面では、管理が不十分だと投資の増減が「勘」に依存し、成果の再現性が低下します。拡大時には急な増額が媒体の学習を乱し、獲得単価が跳ね上がることも。縮小時には、成果を支えている配信枠まで削ってしまい、次に伸ばす余地を失うリスクがあります。
きちんと管理しておけば、拡大局面では予算を段階的に増やして学習の安定を保ちつつ成果を押し上げることが可能です。一方、縮小局面では目的別に整理したキャンペーン構造を手がかりに、効率の高い部分を残しながら調整できるようになります。つまり、管理を徹底することで「どこに投資を増やし、どこを抑えるか」の判断が客観的に下せるようになり、無駄を避けながら継続的に効果を維持できるのです。
広告の目標が悪化してきたとき
広告運用では、一定期間順調に成果が出ていても、ある時点からCPAが上がったり、ROASが落ちたり、コンバージョン率が低下したりと、主要な指標が悪化する局面が訪れます。BtoBではSQL率や商談化率が下がる、BtoCでは解約や返品が増えるといった形で現れることもあります。
こうした局面では「何となく設定をいじる」のではなく、キャンペーン単位で状況を整理しながら原因を切り分けることが欠かせません。計測タグやオフライン連携に不備があれば、データの歪みに引きずられて誤った判断をしてしまいます。
市場環境の変化や競合の入札強化が原因であれば、配信対象や入札強度を見直す必要があります。クリエイティブの鮮度やランディングページの使い勝手が落ちている場合には、メッセージや体験を改善する方が効果的です。
つまり、管理を徹底していれば、「計測→改善→運用」の順で論理的に検証し、どの要因に手を打つべきかを最小限の変更で判断できるようになります。これにより、闇雲な調整で成果をさらに悪化させるリスクを避け、悪化した指標を確実に立て直す道筋が見えてきます。
広告キャンペーンの管理はどこで行うのか
管理の現場は大きく3つに分かれます。設定の大元を扱う「各広告媒体の管理画面」、複数媒体をまとめて運用する「自動化ツール」、事業KPIで評価し意思決定を支える「BI基盤」です。
わかりやすく整理すると、「設定は各媒体の管理画面」「配分は自動化」「評価はBI」という役割分担となります。これらを明確にしておくと、学習を壊さずにスピードと整合性を両立可能です。以下より、それぞれについて詳しく解説します。
各広告媒体の管理画面内
各媒体の管理画面は、配信設定の作成・編集・審査対応・学習状況の確認までを行う箇所です。キャンペーン/入札戦略/日予算/地域・スケジュールなどの中核パラメータはここで定義し、ドラフトや実験機能を使って安全に変更を検証します。

(出典:Google広告エディターヘルプ)
広告文・アセットの差し替え、検索語句・プレースメントの精査、ブランドセーフティや除外設定の更新、ポリシー違反の異議申し立てといった「運用の基本的な管理作業」も媒体側で行います。
一方で、媒体横断の最適化や週次の配分判断まで行おうとすると作業が分散しがちです。そこで、命名規則・ラベル設計を媒体内で統一し、変更履歴が追える状態を保つことに徹する必要があります。新規立ち上げや審査・不具合対応など、媒体依存の作業は迷わず媒体画面で処理し、横断の判断は後述のレイヤーへ渡すのが効率的です。
運用自動化ツール
広告運用の自動化ツールとは、複数の広告媒体を一元管理し、入札や予算配分、定例タスクを自動化するためのシステムです。人が手作業で行うと時間や精度の面でばらつきが出る作業を効率化し、安定的な運用を実現することを目的としています。

主な機能としては、以下のとおりです。
<主な機能>
- 複数媒体(Google、Meta、Yahoo!など)の横断管理
- 目標CPA/ROASに沿った予算再配分
- 入札戦略や増額幅のルール運用
- 承認落ちや消化不足などの異常検知・自動アラート
- レポートや定例タスクの自動化
これらの機能により、ツールは日々の数値変動に応じた細かい調整やアラート対応を任せられる存在になります。担当者は、学習を損なわない増額幅や入札戦略の切り替え条件をルールとして設定することで、経験やスキルの差による運用のブレを抑えられます。
導入のメリットは、人手では追い切れない粒度での予算・入札調整を標準化できることと、工数削減によって戦略立案やクリエイティブ改善といった本質的な業務に時間を回せることでしょう。
効果測定ツール
効果測定ツールとは、広告配信の成果を正しく把握し、施策ごとの貢献度を明確にするためのシステムです。媒体ごとに提示されるCPAやROASの数値は計測方法が異なるため、横並びで比較すると誤差が生じやすいという課題があります。

(出典:UserInsight)
効果測定ツールを導入すれば、複数媒体の成果を共通の基準で統一して評価できるようになります。
<主な機能>
- クリック数・コンバージョン数などの効果測定
- マルチチャネルの横断トラッキング
- アトリビューション分析による間接効果の可視化
- 媒体別・キャンペーン別の成果比較レポート
- BIツールとの連携によるデータ活用拡張
導入のメリットは、予算配分や施策判断の根拠が強化されることです。レポート作成にかかる工数を削減しつつ、CPAやROASだけでなくLTVや解約率といった事業指標と結びつけて分析ができるため、「本当に効いている施策」に重点的に投資を回す判断が可能になります。
BIツール
BIツールとは、広告の数値と事業の数値を統合し、意思決定に使える形で可視化するためのシステムです。単なるレポート作成やグラフ表示にとどまらず、広告運用のKPI(クリック、コンバージョンなど)と事業側のKPI(LTV、粗利、SQL数、受注数など)を同じ土俵に並べることで、投資効果を正しく比較できるようになります。

(出典:Unyoojp「BIツールを使った広告レポーティングの最適解を考える:DashboardforAdOps第1回」)
BIツールは単体で完結するものではなく、GA4やCRM、MAツールなどと連携することで初めて多面的なデータ統合と可視化が可能になります。こうした外部サービスとの接続を前提として、以下のような機能が利用できます。
<主な機能>
- 広告データと行動データの統合(GA4)
- 横断ダッシュボードでの可視化(Looker Studio)
- 大規模データを扱うための蓄積・加工(BigQuery)
- CRM/MAと連携し、オフライン指標(受注・解約など)まで統合
- UTM規則やCV定義の標準化、重複排除や欠損補正などのデータ整備
これらの機能を活用すれば、媒体ごとの指標に縛られず、「どの施策が売上げや利益に本当に寄与しているか」を判断できる体制が整います。
広告の効果をクリックやCPAだけで評価するのではなく、LTVや粗利といった事業指標と結びつけることで、投資配分を「利益最大化の視点」に引き上げられるのが大きなメリットです。
また、BIツールを活かすには「計測の整備」と「定義の統一」が前提となります。UTMの付与ルール、コンバージョンの重複排除、評価期間の一致などが定まっていないと、可視化しても判断がぶれかねないため、計画的に活用しましょう。
広告キャンペーンの管理を行う方法
広告キャンペーンの管理は、前述のとおり「設計して回す」ことの積み重ねです。手順は、以下のステップに大別されます。それぞれ個別にみていきましょう。

STEP1:目的と計測の基盤整備
広告キャンペーンを適切に管理するには、「目的をどう設定するか」と「その成果をどう計測するか」をそろえておかなければなりません。事業のゴールと媒体の最適化目標を結びつけることで、数値評価の軸を明確にできます。
<設定すべき目的と計測値の例>
| 事業側の指標 | 広告側での目標設定例 | 計測指標(KPI) |
| 売上・粗利 | ROAS最適化 | ROAS、売上金額 |
| 新規顧客獲得 | CPA最適化 | CPA、CV数 |
| リード創出 | CPL最適化 | CPL、リード数 |
| BtoB商談 | SQL/受注最適化 | MQL→SQL率、商談化率 |
こうした整理を事前に行うことで、異なるキャンペーン間で目的が混ざらず、成果の比較も容易になります。また、評価期間やアトリビューション(貢献度の配分方法)もルール化しておくと、判断のブレを防げます。
この基盤づくりは一度で終わるものではありません。公開前には必ずテスト環境で「計測が正しく動いているか」を確認し、公開後は異常値の監視やエラーログのチェックを継続するようにしましょう。
STEP2:キャンペーン構造とターゲティング設計
次に、キャンペーン構造の定義とターゲティング設定を行います。構造を複雑にしすぎると学習が分散し、最適化が進みにくくなるため、整理の基本軸をあらかじめ決めておくことが重要です。
キャンペーンを切り分ける際の代表的な要素は以下の4つです。
- 目的:コンバージョン、認知、トラフィックなどの配信ゴール
- 配信地域:全国、特定エリア、商圏単位など
- プロダクト/テーマ:製品やサービスごとの区分
- ファネル段階:認知→比較→購入→リピートといった購買プロセス
これらを組み合わせて構造を設計すると、成果を比較しやすくなり、検証のスピードも高まります。命名規則やラベルを統一しておくと、誰が見ても意図が伝わりやすく、改善やトラブル対応も円滑に進みます。
ターゲティングは、自社サイトの行動データや顧客リストなど、一次データを起点に設計するのが基本です。そこから類似オーディエンスやコンテキスト配信へ広げていけば、精度を保ちながらリーチを拡大できます。除外設定やブランドセーフティもあわせて実施し、不要な配信を避けることが欠かせません。
学習に必要なデータ量を確保できる粒度で構成することが、成果を安定させるポイントです。細分化しすぎても、逆に大きすぎても学習や分析の質が落ちてしまうため、最適なバランスを見極めることが求められます。
STEP3:予算配分と入札戦略の設定
広告キャンペーンの成果を安定させるには、限界CPAや限界ROASを基準にして予算を配分することが出発点になります。
- 限界CPA:1件のコンバージョンを獲得するために支払える最大コスト
- 限界ROAS:広告費1円あたりに求める最低売上高(投資を維持できる下限ライン)
これらを定義しておけば、媒体やキャンペーンごとの投資額を計画する際に「どこまで投資してよいか」を明確に判断できます。
同じ目的を持つ複数のキャンペーンは、共有予算やポートフォリオ入札で束ねて管理するのが効果的です。これによりばらつきを抑え、再配分の判断もシンプルになります。
入札はtCPAやtROASといった自動入札を基本に据えましょう。ただし、学習データが不足しているときは、手動入札や「コンバージョン数の最大化」などの戦略で母数を確保し、十分なデータが集まり次第、自動入札へ戻すと最適化が進みやすくなります。
さらに、日次での消化状況や週次での成果レビューを組み合わせることで、計画した予算配分を守りつつ柔軟に調整できます。こうしたルールを継続的に運用に組み込むことで、成果の安定と拡大を両立させられます。
STEP4:クリエイティブ・LP最適化と継続運用
広告の成果は、ターゲティングや入札だけでなく、ユーザーが実際に触れるクリエイティブやランディングページ(LP)の質によっても大きく左右されます。
「顧客の意図」「訴求内容」「体験価値」の3つがずれていないかを常に確認し、継続的に最適化することが求められます。クリエイティブでは、仮説を立てて複数パターンを用意し、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)、表示頻度といった指標で効果をABテストするとより効率的です。

(出典:AD EBiS「ABテストとは?おすすめツール6選を紹介!テスト事例も解説」)
数値が落ち込んできたら「検証」のサインと捉え、差し替えを事前に準備しておくと運用を効率的に続けられます。良い結果を出したパターンは横展開し、効果が出なかったものは要因を分析して改善につなげることが可能です。
STEP5:効果測定・改善のループ化
前述のように、広告運用は一度設定して終わりではなく、効果を測定して改善を繰り返すループを仕組みとして回すことが求められます。その際に重要なのは、媒体のKPIと事業のKPIを切り離さず、同じ視点で評価することです。
「媒体側の指標(クリック率、コンバージョン率、CPAなど)」と「事業側の指標(売上げ、粗利、LTV、SQL数など)」を一つのダッシュボードにまとめて可視化しておけば、短期的な反応と長期的な成果を同時に把握できます。
こういったベースとなる体制がある前提で、週単位で仮説→検証→結論のサイクルを回すと、効率的にキャンペーンのパフォーマンスを改善していけます。成果が確認できた施策はスケール(拡大)し、結果が出なかった施策は停止または修正に回しましょう。
この際、自動化ツールを活用すれば、異常値の検知や定例タスクを効率化できます。人的リソースを「データをどう読むか」「次にどの施策を伸ばすか」といった判断に集中できるため、改善のスピードと質の両方が向上します。
広告キャンペーンの管理を効率化するツールの紹介
ここからは「運用の自動化」「効果の計測」「データの可視化(BIツール)」の3つの観点から、広告キャンペーンの管理を効率化するツールを紹介します。
- 【Shirofune】広告運用の自動化ツール
- 【AD EBiS】広告効果の計測ツール
- 【Looker Studio】データを可視化するBIツール
なお、各情報は2025年8月時点でのベンダーの公式情報に基づいています。本記事をお読みいただいている時点での正確な情報は、各社の1次情報を確認してください。
【Shirofune】広告運用の自動化ツール

当社は、広告運用自動化ツールShirofuneを提供しています。
Shirofuneでは、Google広告やYahoo!広告など複数媒体をまとめて管理し、入札調整や予算配分といった日々のオペレーションの自動化が可能です。これにより、手作業の負担を減らしつつ配信効率を安定させ、担当者は戦略立案やクリエイティブ改善といった本来価値の高い業務に時間を振り向けられるようになります。
Shirofuneは、専門的な知識や大規模な運用リソースを持たない企業様でも、媒体横断の運用を一定水準以上に保てる点が特長です。
広告代理店だけでなく、インハウスで運用を行う企業からも広く利用いただいており「限られたリソースで成果を最大化したい」といったニーズにお応えします。
| 主な機能 | 入札・予算配分の自動最適化レポート自動生成媒体横断管理(Google広告、Yahoo!広告、Meta、Xなど)成果改善シミュレーション |
| 料金 | セルフプラン:ツール利用料:月額広告費×5%サポートプラン:ツール利用料:月額広告費×5%+サポート料:月額10万円 |
【AD EBiS】広告効果の計測ツール

(出典:AD EBiS)
AD EBiSは、YRGLM株式会社が開発した広告効果の計測ツールです。媒体ごとに数値が異なってしまい「どの施策が本当に効いているのか判断できない」という課題に対して、マルチチャネルを横断したトラッキングによって統一された指標を提示します。
国内で長年利用されてきた実績があり、クリックやコンバージョンといった直接効果だけでなく、間接効果やアトリビューションを分析できるのが特徴です。
これにより、単純なCPAやROASの比較にとどまらず、広告全体の中での貢献度を把握し、「強化すべき施策」と「抑えるべき施策」を客観的に切り分けることが可能になります。
| 主な機能 | 広告効果測定(クリック・インプレッション・コンバージョン)アトリビューション分析マルチチャネル統合レポート媒体別/キャンペーン別効果比較BIツール連携 |
| 料金 | 基本料金(定額)+従量課金 |
【Looker Studio】データを可視化するBIツール

(出典:Looker Studio)
Googleが提供するLooker Studioは、Googleが開発・提供する無料のBI・可視化ツールです。広告データ、アクセス解析、CRMデータなどを一元化し、グラフやダッシュボードで整理できます。
これにより「媒体をまたいだ予算効率の比較ができない」「チーム内でのレポート共有に時間がかかる」といった課題を解消し、改善サイクルのスピードを高めることが可能です。
小規模な運用チームであれば無料版で十分に活用できますが、より大規模な組織にはLooker StudioProが用意されています。Pro版ではSLA保証や高度な権限管理といった機能が追加され、企業レベルでの安定的な運用に対応できます。
| 主な機能 | 複数データソースを統合したダッシュボード作成・共有Google広告・GA4・BigQuery連携自動更新テンプレート利用権限管理(Pro版ではチーム管理機能を拡張) |
| 料金 | 無料版:誰でも利用可能。Pro版:1ユーザー・1プロジェクトあたり月額9米ドル(契約期間により変動) |
まとめ
広告キャンペーンの成果は、日々の配信をどう管理するかで大きく変わります。配信目的を明確に切り分け、予算や入札を適切にコントロールし、効果を正しく計測した上で改善サイクルを回す。この一連の流れを確立することが、成果を最大化させるための基本軸です。
ただし、管理の粒度が細かくなるほど人的リソースには限界があるものです。そのため、運用を自動化する仕組みや効果を可視化するツールを適宜導入する必要もあります。
ツールを適切に活用するためにも、自社の広告運用を振り返り「目的の整理」「予算の妥当性」「成果評価の精度」について、棚卸しをしておきましょう。その上で、改善が必要な領域に対して、人と仕組みの役割を整理し、最適な管理体制を設計していくことが大切です。
広告運用は属人的に抱え込むのではなく「仕組みと運用担当者のリース」のバランスを取りながら継続的に改善を積み重ねていきましょう。

大手ネット広告代理店に新卒で2006年に入社し、一貫して広告運用に従事。
緻密な広告運用をアルゴリズム化し、誰もが高い広告効果を得られるようShirofuneを2014年に立ち上げ。
2016年7月に国内No.1を獲得し、2022年までに国内シェア91%を獲得。
2023年から海外展開をスタートし、現在までに米大手EC企業や広告代理店への導入実績。
2025年3月に米国広告業界で最古かつ最大級の業界団体である全米広告主協会からMarketing Technology Innovator AwardsのGoldを受賞。





