マーケティング組織記事寄稿

マーケターに求められる、ビジョンや戦略を「組織の共通言語」へと落とし込む力について(黒澤 友貴)

黒澤友貴
0006_icatch

黒澤 友貴(くろさわ ともき)
ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員
経営戦略室 室長
1988年生まれ。新卒でフリーセル(現ブランディングテクノロジー株式会社)に入社。中小・中堅企業向けにデジタルマーケティング領域のコンサルティングを6年間行う。
現在は、営業・マーケティング・人事・財務と、領域を横断して仕事をしてきた経験を活かし、経営戦略の策定や人材育成を行っている。
2018年から、マーケッターの筋トレコミュニティ「マーケティングトレース」を運営開始。Twitterでは @KurosawaTomoki のアカウントでWebマーケティングに関する知見を発信している。

下記は「マーケティング組織」に関する悩みとして現場でよく聞くことです。

✔︎マーケティング機能を組織の中でどのように位置付けたら良いかわからず悩んでいる
✔︎マーケティング組織をつくったが組織運営がうまくいかず悩んでいる
✔︎広告代理店やコンサルティング会社の活用方法や関係性に悩んでいる

マーケティングの領域は、扱うツール、媒体が増え、仕事の複雑性が増してきています。

そして、上記のような悩みの背景には、「マーケターという職種の曖昧さ」が関係していると考えています。

本記事では、マーケターに、どのような役割が求められているのか、どのようなスキルやマインドを身につけていく必要があるかを考えるために、昨年にSNS上にて実施した「マーケターの特性アンケート」結果を分析していきます。

マーケターの特性アンケートについて

まず、アンケートの内容について簡単にお伝えします。

質問の大項目は、市場志向、顧客志向、組織志向の3つに分かれており、既存のマーケティング組織には、どんな特性をもっている人が多いのか、逆に少ないのかを見える化することを目的としたアンケートです。

下記の12項目それぞれに対して、回答者となるマーケターは自分の特性を10点満点でチェックをしてもらいました。

①市場志向(市場視点)

1.分析視点
情報の因果関係を読み解き、物事の理由と原因を追求することが好き

2.企画視点
市場を動かすアイデアづくりが好きで、今までのない視点を仕事に持ち込む

3.学習視点
好奇心、学習意欲が旺盛で、常に新しい情報を仕事に持ち込む

4.戦略視点
戦略シナリオを描き、組織がとるべき複数の行動を視覚化することが好き

②顧客志向(顧客視点)

5.サービス視点
・目の前の人(顧客)の体験を豊かにすることに喜びを感じる

6.計画視点
・企画やアイデアを実行に移すための計画づくりが得意

7.目標視点
・定量的な目標をおき、その目標を達成することにこだわる

8.改善視点
・顧客からのフィードバックからサービスを改善する習慣がある

③組織志向(組織視点)

9.協働視点
・組織内外のステークホルダーを巻き込み、それぞれの強みを活かして仕事を組み立てることが好き

10.文化視点
・目標達成のためにルールや文化を築く役割を担うことが好き

11.生産性視点
・チームの生産性を上げるために改善を繰り返すことが好き

12.育成視点
・人を育てて、未来の組織をつくる仕事が好き

「組織視点」が低いというアンケート結果

市場視点、顧客視点、組織視点の3カテゴリーの中で、組織視点(黄色)が6.8点と平均値が低い結果となりました。

また、12項目のうちで最もバラツキが大きかった項目は、「9.協働視点」でありました。

9.協働視点:組織内外のステークホルダーを巻き込み、
それぞれの強みを活かして仕事を組み立てることが好きである。

この結果を解釈すると、「組織内外の多様な人と協働することが得意な人と苦手な人のバラツキがある」ということです。

筆者は下記の仮説を考えました。

▼アンケート結果からの仮説
・人事の役割(権限)を担っているマーケターが少ない
・組織・チームづくりに対してマーケターが担うべき役割が不明確

複雑さを増すマーケティングと、マーケターの役割

アンダーワークス株式会社が公開しているカオスマップに表現されているように、マーケティングの世界は、日々ツールや媒体が増え、複雑性が増してきています。

この複雑さの中で、持続的に成果を出し続けるためには、マーケターは、組織内外の多様なステークホルダーと協業することは、今後より一層求められてきているはずです。

ここからは、アンケートで特徴的なスコアが出た「マーケターの協働視点」に着目して、これからのマーケターに求められる具体的な役割やスキル・マインドセットについてまとめていきます。

マーケターの役割はビジョン・戦略レイヤーの言語化

筆者がマーケターが組織をつくる上で重要だと考えているのは、ビジョンと戦略レイヤーの言語化だと考えています。

図解すると下記のイメージです。

戦略目的が共有されていないで、現場が実行だけを頑張ってしまっているマーケティング組織を時々見かけますが、その原因は「共通言語」の不足だと考えています。

ビジョン、戦略、指標などを伝わる形に変換する、つまり共通言語化することは、複雑さが増し、ステークホルダーが増え続ける現代で、マーケターに求められる重要な役割となっています。

共通言語をつくり、組織の階層、職種を越境してわかりやすく伝える役割をマーケターが担っている組織は、成果を出しやすい傾向にあると筆者は感じています。

あえて、成果に繋がりにくいマーケティング施策が増えてしまう組織の特徴を整理します。

  • ビジョン・戦略レイヤーで共通言語がない
  • 組織の内部・外部で役割分担が不明確
  • 経営層の考え、事業部の考え、現場の考えがバラバラ
  • 各職種ごとに考えがバラバラ

上記のような状態に陥らないために「ビジョン・戦略・指標を言語化して指揮をとれるマーケターをおくこと、また、その人に権限を持たせて意思決定スピードをあげていく」役割をマーケターが担っていきたいところです。

言語化能力を磨くためにやるべきこと

ここまで、マーケターには多様なステークホルダーを動かすために「共通言語をつくる力」の重要性についてまとめてきました。

最後に、共通言語をつくる力=言語化能力を磨くために、マーケターは何をすれば良いのかを考えていきます。

①日頃からケーススタディを行う数を増やし、戦略の引き出しを増やす

一つには、ビジョンや戦略を言語化するトレーニングを日常から行い続けることです。

筆者は「マーケティングトレース」という、成功企業のマーケティング戦略を言語化・構造化するトレーニングを推奨しています。

成功モデルを言語化してストックし、戦略の引き出しを増やし続けることが大切だと考えています。

②マーケティング以外の世界から学ぶ機会を増やす

自分の馴染みある領域の外に出て、その体験を言語化することを意識的に行うことです。

例えば、マーケター以外の職種の人と交流する、自分が関わっている業界外の人と会う機会を増やし、違う分野から学ぶことを繰り返すこと。

外部の人を巻き込んでマーケティングチームを結成するケースが増えてくる中で、異なる職種や業界の価値観を理解しておくことは大切です。

多様な組織や職種の論理を理解していることが、共通言語の質を上げることにつながるはずです。

まとめ

組織視点においてマーケターに求められる役割をまとめてきました。

要約すると下記の通りとなります。

✔︎マーケターの役割は組織内外の多様な人を巻き込み、最適なチームをつくること
✔︎マーケターは共通言語化→組織の意思決定スピードUP→打ち手の数増→成果→信頼獲得のサイクルをつくろう
✔︎マーケターはチームづくりのために言語化する力を磨こう
✔︎言語化する力はケーススタディと越境する習慣から磨かれる

特定のツールを使えるマーケターがいても成果に繋げることは難しくなってきています。

「言語化力」に優れ、多様なステークホルダーと協業し、信頼を積み重ねながら成果を出すためのディレクションができる人をアサインし、マーケティングを経営の競争力に変えていきたいですね。

インハウスでの広告運用を支援する「Shirofune」はこちら

この記事を書いたライター
黒澤友貴