ECマーケティング

海外で戦い抜く覚悟はあるか。越境EC成功のポイントとは

大木一真(モジカク)
世界へボカン - インハウスマーケティングラボ

「『名は体を表す』といいますが、世界へボカン株式会社は日本向けの案件は一切受けず、海外専門でやると決めています」

こう語るのは、英語圏に特化した海外Webマーケティング支援事業を行う、世界へボカン株式会社代表取締役の徳田祐希氏だ。「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションを掲げ、顧客のプロダクトが持つ価値や魅力を、英語とマーケティングを駆使して世界へ発信している。

今回は「越境EC」におけるWebマーケティングの成功事例やその戦略について、徳田氏にお話を伺った。

越境ECのWebマーケティングがうまくいかない理由は2つ

世界へボカン株式会社代表取締役・徳田祐希氏

─ 様々な言語がある中、なぜ英語に特化した越境EC支援を行っているのでしょうか。

徳田 祐希氏(以下、敬称略):お客様の売上に貢献することが私たちの重要なポイントだと思っているからです。複数の言語に対応できることは必ずしも成果につながるとは限りません。特にWebマーケティングにおいて、クリエイティブの制作もやって広告の運用も行うとなると、複数の言語で成果出すのは非常に難易度が高いんです。

そのため、弊社では英語にコミットして事業を展開しています。

─ 越境ECを成功させるために、クライアントにはどのようなアドバイスをされることが多いのでしょうか。

徳田:「3年はちゃんと続けてみてください。そうでないと勝てるものも、勝てないですよ」とよく話をしています。越境ECのWebマーケティングがうまくいかない理由のほとんどが「方向性が間違っているか」もしくは「途中で諦めてしまうか」のどちらか

方向性は僕らのような専門家と一緒にコミュニケーションしながら修正できます。「諦めたらそこで試合終了」という言葉もありますが、「諦めず、売上に対してコミットしていく」という姿勢が大事です。

例えば、もともと30億円くらいの規模であった中古車販売会社の事例だと、8年間ずっと諦めずに継続したことで、現在は年商600億くらいまで成長しました。他にも、5年以上も支援させていただいているお茶屋さんもあり、こちらも成果につながっています。

「このままでは、このプロダクトは売れません。変えましょう」

「このままでは、このプロダクトは売れません。変えましょう」

─ お客様の全体戦略を考えていく上で、プロダクトやサービス自体に対してもアドバイスされることはあるのでしょうか。

徳田:はい、「このままでは、このプロダクトでは売れません。変えましょう」とけっこう率直に伝えます。お客様の商材へのアドバイスには大きく2種類あります。

プロダクト自体を変えようという場合と、プロダクト自体を変えずにコンセプトを大幅に変える場合です。

プロダクトを変更する場合、コンセプトを変更する場合の比較図

具体例として、お酒の販売会社さんの事例があります。日本のお酒4本セットを海外に向けに販売していたのですが、飲んだこともない日本酒の、しかも2, 3万円もするセットだったので、予想通りなかなか売れませんでした。

そこで、「他の商品を見せてください」とお願いすると、アワードを受賞したお酒や希少価値が高いお酒など、特徴あるお酒がかなりありました。それらをラベリングして、「多くのアワードを受賞した日本のお酒セット」として販売したらかなり売れたんです。

商品の中身を入れ替え、海外の顧客に響くようにラベリングしなおすというのは1つの手法です。

日本で響くコンセプトが海外でも響くとは限らない

徳田:もう1つはプロダクト自体は変えずに、コンセプトを大幅に変える方法

国内で響くコンセプトが、海外の顧客に対しても同じように響くとは限りません。

ですので、現地で実際にスタジオを借り、ターゲットになるユーザーを集めてサンプリング会を開くこともあります。

シンガポールでのサンプリング会の様子

このサンプリング会では、「友だちに紹介するなら、どう紹介する? 」「日本だとこういう訴求だけど、ここの人たちならどういう訴求でやると思う? 」など、現地で生の貴重な意見を聞きます。その内容をすべて録音し、文字に起こし、その言葉をコピーライティングにそのまま使っています

この手法は、僕たち日本人が考えたコピーではなく、現地のお客様の言葉を使っているからこそ、響きやすいんです。

言葉には人を動かす力があると思っています。だからこそ、たった1文、メインコピーのために現地に赴くんです。現地で協力してくださる方をアサインできるかどうかも重要です。

─ 現地でのネットワークはどのように構築しているのでしょうか。

徳田:日本人で現地に駐在している人を中心に協力してもらうことが多いです。そのために、日本に一時帰国した人にとにかくアタックしますね。『僕らの会社はこういうことやってて、今後こういうことをやりたいんです』という思いを伝えます。

また、海外WEBマーケティングにテーマを決めて情報発信をしていると、直接DMが届いたりもします。テーマを決めて発信し続けると、そこに興味を持った方が声をかけてくださり、そうした出会いからネットワークが生まれていると思います。

成功する越境ECのマインドセット、チーム作りの条件

─ 越境ECで成功するためのマインドセットや、チーム作りのコツがあれば教えてください。

徳田:マインドセットでは、越境ECにリソースを割く「覚悟」があるかどうか。うまくいかない企業の特徴として、経営陣が越境ECに対して本気でコミットしておらず、その結果インハウスのマーケターへ負荷がかかってしまいます。

経営陣自体が時間、お金、情報といったリソースを割く「覚悟」がないと、成功しないと思っています。

そういった意味で、リスティングも、SEOも、コンテンツマーケティングもすべてインハウスでやろうとするのではなく、代理店をうまく駆使して肝心な数値だけを握り、国ごとの動向を追う体制の方がうまくいっているイメージです。

例えば、アフリカ向けの事業だとエボラ出血熱や急激なジンバブエ・ドルの高騰などが起こりえます。天災やエリアに特化したリスク、暴動やクーデターなどにしっかりと目を向け、「この数値の変化はなぜ起こるのか? 」に気づく必要もあるため、うまく外部パートナーを活用すべきでしょう。

海外で戦い抜く「覚悟」があるか

─ 最後に、越境ECの市場は今後どうなっていくと考えていますか。

徳田:越境ECのニーズ自体は、右肩上がりで増えて行くと思います。しかし、いまだに越境ECや海外Webマーケティングを「とりあえず試しにやってみよう」というノリで軽く始める企業はかなり多いんです。現地の競合が何百万と投資して市場を狙っているのに対し、「とりあえず」の予算で勝てるはずもない。つまり、海外で戦い抜く「覚悟」が足りないんです。

日本の人口は減る一方。今後は海外に目を向けなければいけなくなるはずです。その状況に対して本当に危機感を持って取り組む企業と、片手間で取り組む企業に二極化していくと思います。「覚悟」をもって取り組んでいる企業はシェアを拡大し、確実にPMF(プロダクト・マーケット・フィット)していくでしょう。

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徳田 祐希氏 プロフィール(Twitter:@yukimeru0305
イギリス留学を経て、海外Webマーケティングを行う企業に入社。
外国人マーケターと共に海外Webマーケティングチームを牽引する。
特に英語サイトのSEOに精通し、東京だけでなく、新潟、京都、大阪、名古屋、福岡等、日本全国を飛び回り、クライアントと膝を突き合わせ、Webコンサルティングを行うスタイルを得意とする。海外Webコンサルティングで、アフリカ向け中古車輸出企業の売上を30億円から500億円に導く等、中古車輸出、製造業、不動産関連のプロジェクトで数多くの実績を残す。2014年8月に世界へボカン株式会社を設立。

<写真撮影=安東佳介(Senobi)>

この記事を書いたライター
大木一真(モジカク)

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