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Reproがオフラインマーケティング施策に注力する理由とは?

大木一真(モジカク)
Repro|インハウスマーケティングラボ

SaaS型のカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Repro」。以前まではモバイルアプリのマーケティングツールであったが、2018年には「Repro Web」がリリースされ、デジタルマーケティング全般の支援によって、サービスをグロースさせるプラットフォームとして進化を続けている。

今回は、Reproのマーケティング戦略、特に同社が注力するセミナーやウェビナー(Web上で行うセミナー)、オウンドメディアであるグロースハックジャーナルなどのマーケティング戦略について、マーケティング部マネージャーの伊藤直樹氏にお話を伺った。

狭い業界だからこそワークする。セミナーやウェビナー施策の活用法

Repro伊藤直樹氏

─ ReproのBtoBマーケティング戦略の大まかな概要について教えて下さい。

伊藤直樹氏(以下、敬称略):BtoBサービスで取り組むべきとされている、最低限のマーケティング活動は大方やり尽くしたと思っています。オンライン施策であれば、オウンドメディアやサービスページの改善、ペイドメディアへの出稿などです。

一方、オフラインの施策ではセミナーや展示会などに力を入れています。

とりわけ、セミナーに関してはおそらくこの業界の中で一番開催しているのではないかというくらい、頻繁に企画しています。(イベントレポートの例:人気アプリは何をした?ペロリ・日経など4社が語る、アプリ立ち上げ~リリース初期のグロースハック

今は、100人規模のイベントを月2回、30人規模のイベントを月2~3回、ウェビナーを月1~2回行なっています。

リアルイベントのメリット

イベントに注力するようになった背景は、オウンドメディアからメルマガやホワイトペーパーにコンバージョンしたリードに対して、当時インサイドセールスがいなかったためナーチャリングやSDR(反響型)のコールができず、商談に繋がらなかったからです。

そのため、face to faceでコミュニケーションを取れるリアルイベントをはじめました。リアルイベントの良いところは、課題が顕在化しづらいアプリ市場の中でニーズの醸成が可能な点、展示会よりも良質なリードが獲得できる点、課題のヒアリングやアポ獲得まで一挙に兼ねることができる点です。

さらに、登壇内容がそのまま事例コンテンツにもなります。オフライン施策とオンライン施策がうまく融合するようにしているんですよね。

Slackコミュニティを活用し、お客さんに直接聞く

─ 最近、新たに取り組んでいる施策はあるのでしょうか。

伊藤:セミナー参加者とkeep in touchの状態を作るために、セミナー参加者をSlackのコミュニティに招待しています。最近では、セミナーのタイトルといった些細なことでも、Slackで潜在顧客となる方々に直接聞いています。

迷ったらお客さんに直接聞く、あるいはお客さんと一番接しているカスタマーサクセスや営業に直接聞きにいくのはマーケティング活動の全体を通して意識しています。

ReproがSlack上で運営するユーザーコミュニティー

また、既に顧客になっている当社のクライアントの中でも特にReproファンになってくださっている方々をエバンジェリストとして認定し、クライアントが主体となって定期的に勉強会やワークショップを開催しています。

そうしたオフラインの交流やSlack上でのコミュニケーションによって、僕らRepro側が一方的に発信するのではなく、ユーザーさん自らが盛り上げられる環境を作っています。

─ どのようにしてユーザーさん自らが発信できる環境作りをしているのでしょうか。

伊藤:例えば、セミナーは参加の敷居を下げ、ミートアップのようなフランクな雰囲気で開催しています。そうすることで登壇側もハードルが下がり、自然な形で登壇してもらえます。また、参加者ファーストを意識しているため、サービスの宣伝も当社からは行いませんし、登壇者にもその方自身が心からお勧めできる場合に限って紹介してもらうようにしています。

ウェビナー参加者の25%が商談獲得に繋がる

─ ウェビナーの効果はいかがでしょうか。

伊藤:ウェビナーは、セミナーに参加したいのに場所的に行けない地方のクライアントさん向けに月1~2回開催しています。参加者の層が通常のセミナーとは異なる点も気づきの一つでした。また、少人数開催なので質疑応答など相互的なやりとりがやりやすいです。

セミナーは開催がけっこう大変ですが、ウェビナーはコンテンツさえ準備してしまえば、後は会議室を予約して、お話をするだけなので、オペレーションコストも低いです。

商談率が高い場合は、ウェビナー参加者の25%、つまり4社に1社が商談に繋がっています。人件費をはじめ、セミナーの開催コストと比較してもかなり効率がよいです。

─ そうしたセミナーやウェビナーの集客はどのように行なっているのでしょうか。

伊藤:メルマガでの集客がまず1つ。しかし、何回も開催しているので自社のハウスリストは枯渇してしまいます。

そのため、セミナーを共催している企業やスポンサーさんには、セミナーの冒頭にLT(ライトニングトーク)ができる代わりに、メールリストのご提供、そしてイベント集客に協力していただいております。

自分たちだけではアプローチできない企業さんにも参加していただくため、他社を巻き込んでこれまで開催してきました。

使えるコンテンツは余すことなく活用してリード獲得に繋げる

Repro伊藤直樹氏

─ Reproではオウンドメディアであるグロースハックジャーナルを運営されています。質も量も素晴らしいと思ったのですが、どんな工夫をされているのでしょうか。

伊藤:メディアとしてはPVだけでなく、コンバージョン数やその先の商談数まで追っています。そのため、全てではないですが、よくコンバージョンするキラーコンテンツに関してはインサイドセールスにそのコンテンツ専用のトークスクリプトを用意して対応してもらっています。

例えばプッシュ通知の解説記事にプッシュ通知の無料診断フォームを置くなど、

適切なコンテンツ毎に適切なコンバージョンポイントを置くことを意識しています。

加えて、イベント登壇者の方が使用した資料をご提供いただき、ノウハウ資料ページでダウンロードできるようにしています使えるコンテンツは余すことなく活用してリードが獲得できるようにしています。

大企業のリードを獲得するためのマーケティング

─ 大企業のリードを獲得するために、どのような施策を打っていたのでしょうか。

伊藤:いわゆるABM(Account Based Marketing)的なアプローチを行っているのですが、他の企業さんより力を入れているかなと思うのは、アプリの開発会社や代理店など直接の僕らのツール導入先ではない企業も含めてリストアップし、アプローチしている点です。

一般的に思われている以上にアプリ市場は小さく、直接の潜在顧客以外も含めた各業界の「キーとなる会社」を抑えることがポイントになります。

例えばマンガアプリ業界であれば、出版社に対して電子出版技術を提供している開発会社の数は限られているためそこをリストアップし、関係を作りに行きます。

並行して顧客にしたいマンガアプリのリストアップを行い、キーとなる会社から直接紹介してもらえないか、広告やイベントをやるとしたらどういった内容にするかを決めていきます。

業界によって課題感や有効なマーケティング施策が全く異なるので、ここも迷ったらお客さんや業界のキーマンに直接聞くということを徹底していますね。小手先のPDCAを回すよりも、各業界やそこで働いている人のインサイトを捉えるということを意識しています。

「カスタマーエンゲージメントを生み出すマーケティングプラットフォーム」としてブランディング

Repro伊藤直樹氏

─ 今後、注力していきたい施策を教えて下さい。

伊藤:今後はブランディングの施策にも注力していきたいです。マーケティングツールは究極まで進化を続けると競合ツールとの大きな機能差はなくなってきましたし、刈り取りだけ行っていてはどんな施策でもいずれCPAが高騰します。

そうなると、市場からの認知を獲得する活動や、なんとなく当社を知ってくれている潜在顧客が我々に対して良いイメージを持ってくれることが重要です。

例えばデザイン面では、Reproを導入すること自体がカッコいいと思っていただけるように各種のクリエイティブに気を配っています。オウンドメディアのサムネイル画像や、先日公開したRepro創業5周年のアニバーサリーページもそうですね。

実際、HubSpotやIntercomなどグローバルで使われているマーケティング領域のSaaSはオウンドメディア/podcast/カンファレンスなどあらゆるブランディング活動でのクリエイティブやメッセージに気を配っており、当社も今後グローバルで戦っていくことを踏まえ、彼らの活動をベンチマークにしています。

─ 今後の戦略として、どのようなものを予定されていますか。

伊藤:Reproはまだまだ「アプリをグロースさせるサービス」というイメージが強いと思います。昨年からWebも対応しましたがメールやSMSなど対応するチャネルはどんどん増やしていくので、今後は「顧客とのエンゲージメントを深めるマーケティングプラットフォーム」としてブランディングを行っていきたいですね。

Reproの信念として、徹底的にクライアントファーストであり、そこにコミットしていくことにブレはありません。Webサービスやアプリに特別こだわっているわけではなく、新商材の開発も重要ですし、今後まったく違う市場にチャレンジする可能性も充分あります。

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伊藤 直樹氏 プロフィール(Twitter:@n_11o
新卒で大手新聞社に入社し、月間数億PVを超えるニュースサイトのディレクターとしてサイトとアプリの改善に従事。2016年よりRepro株式会社に参画し Marketing TeamやASO Consulting Teamの立ち上げを行ったのち、現在はMarketing Teamのリーダーを担当。『Markezine』『日経 xTECH』他、執筆歴多数。

この記事を書いたライター
大木一真(モジカク)