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ECサイト構築や改善の際に意識するべき9つのLPOチェックポイント

戸栗 頌平

デジタル商取引が成熟期に差し掛かる中、CPA(顧客獲得単価)の高騰は、業界を問わず共通の課題となっています。特にeコマース分野では、英語圏のデータによると、2023年から2025年にかけてCPAが約40%上昇しており、市場が拡大を続ける日本国内においても、同様の傾向が進行していると考えられます。

こうした状況下では、単にユーザーを集めるだけでなく、「集めた流入をいかに確実にコンバージョンへと導くか」が、企業の収益構造を左右する経営課題へと変化しています。LPO(ランディングページ最適化)は、もはや施策のひとつにとどまらず、事業成果を左右する中核的な取り組みと捉える必要があるでしょう。

本記事では、ECサイトがいま押さえておくべきLPOの基本から、実施すべきタイミング、そして現場で役立つ9つのチェックポイントまでを体系的に解説します。

LPOとは?同時に知っておきたい指標との関係性

LPO(Landing Page Optimization:ランディングページ最適化)とは、LPを訪れたユーザーが購入や申し込みといった成果に至る確率を最大化するために、訴求内容、情報設計、導線、CTAなどを最適化する取り組みです。追加の予算をかけずに売上げを伸ばせる、重要性の高い施策のひとつです。簡単な例ですが、コンバージョン率を1%から2%に改善できれば、売上げは実質的に倍増します。

広告費を投入して商品詳細ページに集客できているにもかかわらず、売上げが伸び悩む。EC運営に携わっていれば、こうした状況に一度は直面しているのではないでしょうか。この場合、課題は集客力ではなく、ページ内での意思決定のしやすさにあります。

LPOは、訪問者の意思決定を後押しするために、「誰に向けた商品か」「なぜ今買うべきか」「どこで不安を解消できるか」といった要素を、ページ全体を通じて一貫して設計します。

さらに、LPOは単独で完結するものではありません。ECサイトにおいては、入力フォームの体験やサイト全体の改善方針とも密接に関わっています。ここで重要になるのが、EFOやCROとの連携です。これらを切り離して捉えると、改善を重ねているつもりでも、成果が頭打ちになるケースが少なくありません。以下では、LPOとEFO・CROの関係について詳しく見ていきます。

LPOとEFOとの関係

EFO(Entry Form Optimization:エントリーフォーム最適化)とは、ユーザーのフォーム入力体験を最適化する施策のことです。LPOがページ全体で購買意欲を高め、次の行動へ導く設計を担うのに対し、EFOは購入直前のフォーム入力体験を最適化する役割を持ちます。

ECサイトでよくあるのが、商品ページの内容や訴求は魅力的なのに、カートや決済画面で離脱が多発しているケースです。これはLPOだけでは解決できません。たとえば、フォームの入力項目が多すぎる、エラー表示が分かりにくい、ゲスト購入ができないといった問題は、ユーザーの購入意欲を最後の最後で削いでしまいます。ここで必要になるのがEFOです。

一方で、EFOだけを改善しても、そもそも商品ページで十分に納得感を持てていなければ、カートまで進んでもらえません。つまり、LPOで購入したい気持ちを作り、EFOでその気持ちをストレスなく完了させる。この連携があって初めて、ECサイトのCVRは安定して向上します。両者は分業関係であり、どちらが欠けても成果は最大化されないと考えましょう。

LPOとCROとの関係

CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)とは、サイト全体やビジネス全体を通じて、成果を最大化するための改善思想や戦略を指します。その中で、LPという特定領域を担当するのがLPOです。

たとえば、広告別に最適なLPを用意する、商品カテゴリごとに訴求軸を変えるといった判断は、CROの視点がなければ場当たり的になりがちです。LPOは、CROという全体設計の一部として機能させることで、本来の効果を発揮します。

ECサイトでは、商品詳細ページ、カテゴリページ、特集LPなど、複数のLPが存在します。これらを個別に改善しているだけでは、どこが本当のボトルネックなのか見えにくくなるでしょう。CROの視点でファネル全体を把握し、その中でLPOを重点的に行うページや優先順位を決めることで、改善の無駄打ちを防げます。

LPの改善を続けているのに売上げが伸び悩んでいると感じているなら、それはLPOの問題ではなく、CRO視点が不足しているサインかもしれません。LPOは単独施策ではなく、ECサイト全体の成果設計の中で位置づけることで、初めて安定した売上げ成長につながります。

ECサイト構築でLPOを意識するべき理由

ECサイトを新規に構築する際、あるいはリニューアルする際、多くの企業がまず注目するのは集客施策です。SEOによる流入の拡大や広告を活用した新規顧客の獲得などは、確かに重要な取り組みです。

しかし、サイト設計の段階でLPOの視点が欠けていれば、どれだけ集客に成功しても、肝心の成果に結びつかない恐れがあります。訪問者がサイトを訪れても、購入や申し込みといった行動に至らなければ、投資は十分に回収されません。

このような背景から、ECサイト構築時には集客と並行してLPOを意識することが不可欠です。以下では、その理由を整理していきます。

集客投資に対する費用対効果の最大化が必要なため

経済産業省の「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、国内のEC市場は2014年以降拡大を続け、2024年には26.1兆円に達しています。さらに、電通の「2024年 日本の広告費」では、物販系ECプラットフォームの広告費が前年比103.4%増の2172億円と報告されています。

(引用:経済産業省

これらのデータからも、EC市場への参入企業が増加し、それに伴いクリック単価が高騰している可能性がうかがえます。こうした状況下で従来通りの感覚で集客を行えば、CPA(顧客獲得単価)が悪化しやすくなるのは避けられません。

このとき重要になるのが、集客した流入をどれだけ成果に転換できるかという視点です。いくら多くのユーザーを商品ページに誘導できても、ページ内で離脱されてしまえば売上げにはつながりません。だからこそ、サイト構築段階からLPOの視点を取り入れ、「刺さる訴求」「迷わない導線」「行動を促すCTA」を設計することが求められます。

CVRが向上すれば、同じ広告費でも得られる売上げは増加し、結果としてCPAは下がり、ROASは改善されます。

購買体験の向上でコンバージョン率を高める必要があるため

ECサイトは、実店舗と違って商品を手に取ることができません。そのため、ユーザーは比較し、不安を感じ、迷いながら購入を検討します。このとき、ページ上で必要な情報がそろっていないと、購入を見送る理由はいくらでも見つかってしまいます。

実際にLステップの調査によれば、ECユーザーが事業者に求める要望として最も多いのが「もっと詳細な商品情報を掲載してほしい」でした。十分な情報を提供していると考えていても、実際にはユーザーの悩みや不安を解消できていない可能性が十分にあります。

(引用:Lステップ

LPOを意識したECサイトでは、誰向けの商品なのか、何が優れているのか、なぜ今買うべきなのかが明確に伝わる構成になっています。加えて、送料、返品条件、保証内容、レビューといった不安を解消する情報が、探さなくても目に入る位置に配置されています。

構築時点からこうした要素を組み込んでおくことで、カゴ落ちや途中離脱が起きにくい勝ちパターンを作れるのです。後から部分的に情報を足すのではなく、最初から購買体験全体を設計することが、EC特有のCVR改善につながります。

計測・検証可能な設計で継続的改善体制の確立が必要なため

ECサイトは公開して終わりではありません。むしろ、公開してからが本当のスタートです。しかし、構築段階でLPOを意識していないと、改善したくても手が打てない状態に陥りがちです。

たとえば、どこでユーザーが離脱しているのか分からない、CTAのクリック率を計測できない、A/Bテストをしたくても構造上難しい、といった問題は珍しくありません。こうなると、改善は感覚頼りになり、意思決定のスピードも落ちてしまいます。

最初からLPO前提で、イベント計測やテストを組み込みやすい設計にしておけば、データをもとに仮説を立て、検証し、改善するサイクルを高速で回せます。学習が進むほど、改善の精度も上がり、ECサイトは安定して伸びていきます。LPOは一度きりの施策ではなく、継続的改善を可能にするための設計思想だと捉えることが重要です。

ECサイトの構築方法

ECサイトの構築方法には複数の選択肢があります。しかし、LPOの観点で重要なのは、選んだ構築手法で、どこまで訴求・導線・計測を自社でコントロールできるかです。

構築手段の選定を誤ると、後からLPOに取り組もうとしても技術的・機能的な制約が多くなり、改善の自由度やスピードが大きく損なわれる恐れがあります。特に、訴求の変更やABテストの実施が簡単に行えない構成では、PDCAが回らず成果も限定的になりがちです。

そこで以下では、代表的な4つのECサイト構築方法について、それぞれの特徴とLPOとの相性を解説します。

モール型

モール型とは、楽天市場AmazonYahoo!ショッピングといった既存のECモール上に出店する形態です。最大の特長は、集客基盤の強さにあります。検索流入や広告出稿に多額の投資をせずとも一定の流入が見込めるため、立ち上げ初期でも売上げを確保しやすい構築方法です。

ただし、LPOの観点では多くの制約を伴います。デザインやページ構成、CTA表現に制限があるため、柔軟なABテストや導線の細かな改善を行うのは難しい場合があります。また、モール独自のルールや手数料体系によって、価格設定やオファー内容にも制限が生じるでしょう。

そのためモール型では、モール内で許容されている範囲内で、商品ページの情報設計やレビューの活用など、LPOに影響する要素をどこまで突き詰められるかが成否を分けるポイントとなります。

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型は、ECサイトを自社で一から開発する方法です。要件定義から設計、実装までをすべて自社に最適化できるため、LPOの自由度は最も高くなります。商品構成や購買導線、計測設計、ABテストの仕組みまで、すべてをLPO前提で設計できる点は大きな強みです。

一方で、開発コストや期間は他の構築方法と比べて大きくなります。さらに、運用フェーズでは継続的な改修と保守が欠かせないため、社内に十分な開発リソースがない場合、改善のスピードが鈍化するリスクもあります。

フルスクラッチ型では、改善を継続できる体制まで含めて設計・構築を検討することが重要です。

パッケージ・オープンソース型

パッケージ・オープンソース型は、EC-CUBEMagentoなどのソフトウェアを活用して構築する方法です。ある程度完成されたEC機能をベースにしながら、自社要件に応じたカスタマイズが可能な点が特徴です。

フルスクラッチほどの自由度はないものの、モール型に比べれば制約は少なく、計測やABテストの仕組みも比較的組み込みやすい傾向にあります。

ただし、カスタマイズの範囲が広がるほど、保守やセキュリティ対応の負荷が増大します。開発体制が脆弱な場合、LPOを前提とした改善が滞るリスクも無視できません。継続的に最適化を進めるには、どこまでを標準機能で対応し、どこからを独自開発とするかという線引きが極めて重要になります。

ASP/SaaSカート型

ASP/SaaSカート型は、ShopifyBASEといったサービスを利用して構築する方法です。立ち上げが迅速で、運用負荷も低いため、多くのEC事業者に支持されています。

LPOの観点でも、近年は非常に相性が良くなっています。アプリや拡張機能を活用すれば、計測環境の整備やABテストの実施、レビューの表示、オファーの出し分けといった施策も比較的スムーズに実装可能です。

ただし、多くの機能はプランや外部アプリに依存しており、実現したいLPO施策がその環境で可能かどうかは、事前に確認しておく必要があります。こうした制約を踏まえた上で、自社に適した改善の幅を見極めて選択すれば、スピードと成果の両立が図りやすくなります。

ECサイト構築でLPOを意識するときはどのようなタイミングか

ECサイトでは、どのタイミングでLPOを意識するかによって、改善の難易度と成果の大きさが大きく変わります。多くの現場で見られる失敗は、流入を増やしてからLPOを考え始めることです。その結果、広告費だけが先行し、構造的な課題が表面化して改善に時間がかかるでしょう。

LPOは、できるだけ早い段階で組み込むほど、少ないコストで大きなリターンを生みやすくなります。以下では、ECサイト構築でLPOを意識するべき3つのタイミングを解説します。

サイト設計・要件定義の段階

最も重要なのが、サイト設計や要件定義の段階です。テンプレートやページ構造が固まる前であれば、誰に何を訴求するLPが必要か、商品詳細から購入完了までの導線をどう設計するか、どの行動を計測するかといったLPOの根幹をスムーズに組み込めます。

たとえば、商品詳細ページごとに役割を定義し、比較用LPや特集LPを用意する設計にしておけば、集客施策に応じた最適化がしやすくなります。さらに、CTAクリック、カート投入、離脱地点などを前提に計測設計を行えば、公開後すぐに改善サイクルを回せる状態を作れるのです。

この段階でLPOを意識していないと、後から修正するたびに手戻りが発生し、改善コストが膨らみがちです。

新規集客を開始する直前〜開始直後

次に重要となるのが、新規集客を本格的に始める直前から開始直後のタイミングです。広告出稿やSEO施策によって流入を増やす前に、LPが訪問ユーザーをコンバージョンへと導く設計になっていなければ、せっかくの集客投資も成果につながりにくくなります。

集客を開始する前には、最低限、ファーストビューでの訴求内容、CTAの視認性とわかりやすさ、不安要素を解消する情報の配置を確認しておくべきです。また、開始直後は、CVR、直帰率、カート投入率といった初期データをもとに、素早く調整を加えていく必要があります。

この初動の対応がスムーズに行えるかどうかによって、その後の広告効率や売上げの伸び方は大きく左右されます。集客量が一気に増えるタイミングこそ、LPOの影響力が最も高まる局面といえるでしょう。

公開後に伸び悩みの兆候が出たとき

ECサイトを公開し、一定期間運用を続けていると、売上げや成果に伸び悩みの兆候が数字として表れることがあります。たとえば、セッション数は増えているのにCVRが向上しない、CPAが悪化している、カート投入はされているのに購入完了率が低いといった状態です。

このような兆候が見え始めた段階は、LPOを本格的に見直すべきサインと捉えるべきです。特定のLPで直帰率や離脱率が高い場合、そのページの訴求内容や情報設計に課題がある可能性が高まります。

重要なのは、感覚や主観で判断するのではなく、ファネルごとの数値を分解・分析し、ユーザーがどの段階で離脱しているのかを特定することです。そうすることで、改善すべきポイントと優先順位が明確になります。

また、LPOは数字が落ち込んだ際のテコ入れとしてだけでなく、サイトの成果が伸び始めたタイミングでさらなる成長を促進する手段としても有効です。兆候を見逃さず、適切なタイミングで改善を図ることが、ECサイトを継続的に成長させるポイントとなります。

ECサイト構築時に確認するべき LPOチェックポイント~重要9項目~

ECサイトを構築する際、LPOを意識しているつもりでも、実際には抜け漏れが生じやすいのが現実です。特に構築初期は、機能実装やデザイン決定に意識が向き、ユーザー視点での購入判断プロセスが後回しになりがちです。ここでは、ECサイト構築時に必ず確認しておきたい重要な9項目を整理します。

ファーストビューで買う理由が即時に伝わるか

最初に確認すべきはファーストビューです。ユーザーがページを開いた瞬間に、「誰向けの商品か」「どのような価値が得られるのか」「他社と何が違うのか」がひと目で伝わる状態になっているかをチェックします。あわせて、購入やカート投入といった主要なCTAが視認しやすい位置にあり、ユーザーが迷わず次のアクションに進めるように設計されていることが重要です。

この確認には、5秒テストが有効です。社内関係者やユーザーなどの第三者にページを5秒間だけ見せ、その内容を説明してもらいましょう。うまく説明できない場合は、訴求の整理が不十分である可能性が高いといえます。

また、ヒートマップやスクロール率のデータを使って、ファーストビューでの離脱が多い場合は、多すぎる情報、視認性、訴求の強弱といった要素を見直す必要があります。さらに、CTAのクリック率が低い場合は、文言・配置・色など、設計要素全体を含めて改善の検討が必要です。

信頼・安心材料が購入直前まで途切れず配置されているか

ECサイトでは、信頼と安心が購入判断を左右します。レビューや実績、第三者評価、素材や品質の根拠といった情報が、適切な位置に配置されているかを確認しましょう。加えて、送料、納期、返品交換、保証、問い合わせ方法などの購入条件が、探さなくても把握できる状態であることが重要です。

LPOの推進においては、カート投入率は高いのに購入完了率が低い場合に注目します。この場合、条件の分かりにくさや不安材料がボトルネックになっている可能性があります。実際の購買導線に沿って、価格付近やCTA直前、カート内で必要な情報がすぐ確認できるかをチェックしましょう。

問い合わせ率やFAQ閲覧率が高い場合も、先回りして明記できる情報が不足していないかを見直す判断材料になります。

商品理解が進む情報設計になっているか

LPOを意識したECサイトでは、ユーザーが購入判断に必要な商品理解を深められる情報設計が不可欠です。ユーザーは、テキストや画像・動画のみで「本当に自分に合っているかどうか」を判断する必要があります。

この不安を解消するためには、使用シーン、サイズ感、使い方、成分や仕様、注意点などの基本情報を、過不足なく整理して提示することが求められます。複数の商品を扱う場合は、比較表や選び方ガイドを用意し、ユーザーが自分に合った商品を選べる状態を整えることも効果的です。

たとえば、リカバリーウェアを展開するTENTIALでは、LP上で製品ラインナップや効果、シルエット、素材、製品比較機能などを丁寧に紹介しています。ユーザーはオンライン上でも自分に最適なリカバリーウェアを安心して選択できるようになります。

(引用:TENTIAL

このような設計ができているかどうかを評価する際は、ページ滞在時間が長いのにCVRが低いという指標に注目しましょう。情報は読まれているが、購入の決め手が足りていない可能性があるのです。その場合は、比較情報の追加、訴求の根拠強化、用途別の整理などを検討します。

さらに、スクロール深度データをもとに読まれていない情報がある場合は、上部への再配置や情報の圧縮を行います。迷いやすい商材では、診断コンテンツやレコメンド機能など、意思決定を支援する仕組みが導入されているかも重要なチェックポイントです。

購入導線がシンプルで迷わないか

ECサイト構築においてLPOを意識する際は、購入までの導線が一貫性を持って設計されているかを確認することが重要です。CTAの役割や文言がページ内で統一されており、ユーザーが迷わず次のアクションへ進める状態になっているかをチェックします。

また、カートから決済までのプロセスにおいて、入力負荷が最小限に抑えられているかどうかも購入完了率を左右する大きな要素です。ゲスト購入の可否、入力補助機能、わかりやすいエラー表示など、細部の設計がスムーズな購買体験に直結します。

評価の際は、商品詳細ページからCTAクリック、カート投入、決済開始、購入完了までを各ステップに分解し、それぞれの転換率を把握するとよいでしょう。どの段階で離脱が起きているかに応じて、訴求内容、購入条件の表示、不安要素の解消、入力フォームの負荷といった改善ポイントを明確化します。

あわせて、モバイル実機を用いたユーザーテストも有効です。初めて訪れたユーザーでも、迷うことなく購入完了まで進めるかを確認し、導線上のストレスや障壁がないかを検証します。

モバイル速度・計測・ABテストが初めから組み込まれているか

ECサイト構築においてLPOを実現するには、技術的な基盤と計測設計を後回しにしてはいけません。特にモバイル環境では、ファーストビューの表示速度がわずかに遅れるだけで、離脱率が大きく上昇します。

Googleの調査によると、ページの読み込み速度が1秒から3秒に遅延すると離脱率は32%上昇し、5秒まで伸びるとその数値は90%に達することが明らかになっています。現代のユーザーは待ってはくれません。画像の最適化や不要なタグの削除などを通じて、ページ表示速度を確保することが不可欠です。

(引用:Think with Google

加えて、LPOを正確に評価・改善していくためには、ユーザーの行動を適切に計測できる体制が必要です。商品詳細の閲覧、スクロール、CTAのクリック、カート投入、決済の開始、購入完了といった一連の行動は、すべて計測対象として設計しておくべきです。

さらに、フォームエラーや決済失敗といった離脱の要因まで可視化できれば、改善の精度は一段と高まります。ファーストビュー、CTA、レビューといった要素をコンポーネント化(パーツ化)しておくことで、ABテストや構成変更を素早く行える状態を構築しておくことも、LPOを継続的に回していく上での前提条件となります。

価格・オファー設計が納得できる形で提示されているか

価格は、ECにおける最大の判断材料のひとつです。LPOの観点では、価格の根拠と総支払額がユーザーに対して早い段階で明確に伝わっているかを確認することが重要です。特に、送料や手数料、クーポンの適用条件などが後出しになっていないかは、離脱を防ぐ上で大きなポイントとなります。

見極めの指標としては、カート投入後の離脱数や、価格周辺に関するFAQの閲覧数が増えていないかを確認します。これらの数値が高い場合、価格に関する不明点がユーザーの購入を妨げている可能性が高いと考えられるでしょう。

初回割引や定期購入、まとめ買いなどのオファーがある場合は、それぞれの条件やメリットを比較しやすく整理し、選択時の迷いを最小限に抑える工夫が必要です。特に定期購入では、解約条件や変更の可否といった情報を事前に明示し、透明性を担保することが信頼獲得につながります。

ダイケンのバイオメディカル・サプリメントのLPでは、内容量や送料無料といった総支払額に関わる情報を、価格と同時に明示しています。購入直前まで価格面で迷う要因が排除されており、ユーザーの行動を後押しする設計になっているのです。

(引用:ダイケン

定期お届けコースについては、単に安いと伝えるのではなく、1年間でどれだけお得になるかを具体的な金額で示しています。あわせて、「いつでも変更・解約可能」「30日間の返金・返品保証」といった不安を解消する要素も明記されています。

このように、価格への納得感と安心感を同時に提供することで、価格を理由としたカート離脱を未然に防げる設計が実現されており、このLPの大きな強みです。

返品・保証・サポート導線が購入の背中押しになっているか

返品保証やサポート情報は、購入を後押しする重要な要素です。特に高単価商品や初回購入が中心となる商材では、「試してみたい」と思える安心感をユーザーに与えられるかどうかが、CVRに大きく影響します。

ポイントは、対象条件や手続きが簡潔に明示されているか、そしてその情報が見つけやすい位置に配置されているかです。そうすれば、「本当に自分に合っているだろうか?」「万が一の場合に対応してもらえるか?」といった購入前の不安を軽減できます。

家庭用脱毛器を販売するMYTREXのLPでは、以下のような要素が明確に表示されています。

  • 90日間の全額返品保証
  • 送料無料
  • 1年間のメーカー保証

これらの情報を、購入直前のタイミングでわかりやすく提示することで、ユーザーの不安を払拭しています。さらに、保証要素の直下に信頼を補強する情報(実績や受賞歴など)を配置し、安心感と信頼感を効果的に両立させています。

(引用:MYTREX

LPOを進める際は、CTA付近やカート内など、ユーザーが意思決定する直前のポイントで、返品・保証情報がすぐに確認できるかをチェックしましょう。関連する問い合わせが多い場合は、表示位置や表現内容を優先的に見直す必要があります。

ページの情報量と順番が適切か

LPOを意識したECページでは、「ベネフィット → 根拠 → 不安解消 → CTA」と情報が自然につながる構成が欠かせません。ユーザーが流し読みしても要点を把握できるよう、見出しを中心に情報を整理し、冗長な説明や内容の重複を避けるようにしましょう。

構成の最適化には、ヒートマップなどのツールを用いたユーザー行動の可視化が有効です。スクロール深度を確認し、あまり読まれていない情報が重要であれば、上部へ移動するか圧縮して再配置します。逆に、熟読されているにもかかわらずCVRが低い場合は、比較情報や根拠、オファーの提示が不足している可能性を疑い、補強を検討します。

また、モバイルユーザーを前提とした最適化も不可欠です。デバイス上での視認性や流し読みのしやすさを確認し、情報の優先順位や間の取り方、CTAの配置が適切かどうかを最終チェックしましょう。

画像や動画が購入判断に直結しているか

画像や動画は、ユーザーの購入判断を支える重要な情報です。使用シーン、サイズ感、質感、同梱物、手入れ方法など、ユーザーが知りたい情報を視覚的に伝えられているかを確認しましょう。

効果が目に見える商品を扱う場合は、Before/Afterや比較画像を活用し、使用前後の違いや成果を具体的に示すことが効果的です。視覚的な根拠は、説得力のあるベネフィット訴求にも直結します。

評価の際には、画像ギャラリーの閲覧率や動画の再生率を計測します。数値が低い場合は、画像や動画の配置、サムネイルの訴求力を見直し、到達率の改善を図りましょう。

また、返品理由に「イメージ違い」や「サイズ不一致」が多い場合は、サイズ表の明確化、着用イメージ、比較カットの強化が最優先事項です。視覚情報による誤解を未然に防ぐことで、満足度の向上と返品率の低下が期待できます。

最後に、スマートフォンでの表示・操作性にも注意が必要です。モバイル端末でのテストを行い、画像の可読性や拡大のしやすさ、スワイプ操作の快適さなどを確認し、モバイルユーザーへの配慮がなされているかをチェックしましょう。

ECサイトにおけるLPO対策事例

では、他の企業はどのようにLPOに取り組み、具体的にどのような成果を上げているのでしょうか。ここからは、実際のECサイトで実施されたLPO施策とその結果について紹介していきます。

事例①:ブックオフ┃CTAボタンのABテストで勝ちパターンを発見

(引用:ブックオフ

ECサイトでは、「購入ボタンは長方形が最適」という見解が長く定説とされてきました。実際に視認性が高く、ユーザーに安心感を与える形として、数多くのサイトで採用されています。

しかし、中古書籍販売の大手ブックオフはABテストで、従来の長方形ではなく、あえて「正円(丸型)」のカートボタンを試験的に導入。その結果、カートへの追加率が大幅に向上し、長方形ボタンを上回る成果を記録したのです。

(引用:DLPO

実際、カートコンバージョン率は前年比で128%増加。UIのわずかな変更が、サイト全体のパフォーマンスにまで波及する好例となりました。

さらに同社は、検索一覧ページの情報量も改善しました。著者名や発売年などの詳細情報を「表示しない」バージョンを試したところ、CVRが改善。ユーザーが商品を比較検討する段階では、情報量を絞ることでかえって選びやすくなるという結果が得られました。

事例②:ベルーナ┃月80件以上のABテストで継続的に成果を創出

(引用:ベルーナ

近年、洗練された印象を与えるミニマルデザインは多くのECサイトで採用されており、モダン化はデザイン改善の定番となっています。

しかし、総合通販大手のベルーナは、考えなしにこのトレンドに従うリスクを浮き彫りにしました。同社では、他社のUIを参考にヘッダーを簡素化するABテストを実施しましたが、主な顧客層からは「要素が少なすぎて、何ができるのかわからない」といった戸惑いの声が上がり、マイナス効果が生じたのです。

この結果は、「洗練されたデザイン=すべてのユーザーに有効」という前提のリスクを示しています。見た目の美しさが必ずしも成果につながるとは限らず、むしろユーザー理解が不十分なままトレンドに倣うことは、逆効果になる可能性があります。

ベルーナが継続的に成果を出し続けている背景には、徹底したデータ検証の姿勢があります。同社では、月間最大80件以上という高頻度でABテストを実施。新規/既存の区分、会員ランク、訪問頻度、性別、曜日など、細かいセグメントごとに成果を分析し、「誰に、どのデザインが効果をもたらすのか」を一つひとつ実証しています。

(引用:DLPO

最適なデザインは流行の中にあるのではなく、自社ユーザーの行動データの中に眠っているという信念にもとづいて施策を積み重ねていることこそが、ベルーナのLPOにおける強みといえるでしょう。

事例③:MTG:決済摩擦を徹底的に排除し、CVR113%向上

(引用:MTG

高単価な美容・健康機器を展開するMTGは、公式ECサイトの売上げを順調に伸ばす一方で、過去のシステム改修の積み重ねにより、サイトの仕様が複雑化していました。ユーザビリティの課題を認識しながらも、抜本的な改善には踏み込めていない状況が続いていたのです。

この課題に対し、カート周辺を中心としたLPO・UX改善に着手。複雑な仕様を正確に把握した上で、入力負荷や購入時の不安、動線上の迷いを一つひとつ解消し、ブランドの高級感を維持したまま、スムーズな購入体験を実現しました。

実施された施策には、スマートフォン画面に配慮した購入画面のレイアウト改善や、ショッパー選択の導線整理、カート確認画面でのUI再設計などが含まれます。中でもカート確認画面の見直しは大きな成果をもたらし、「従来のUIよりも購入しやすい」と社内からも高い評価を受けました。

さらに、こうした取り組みは社内にも波及効果をもたらしました。これまで後回しになりがちだったカート周辺の改善に対し、その重要性が再認識され、UX改善のための体制強化やEFO施策の推進へとつながっています。

プロジェクト全体としては、CVR113%改善という大きな成果を達成しました。ビジュアルの刷新にとどまらず、「買いやすさ」と「ブランド体験」の両立を図ることで、LPOの本質的な成功事例となっています。

まとめ

ECサイト構築におけるLPOは、ページをきれいに整えるための施策ではなく、集客投資を確実に売上げへ変換するための設計思想です。広告やSEOでどれだけ流入を増やしても、ファーストビューで価値が伝わらず、購入導線で迷いが生じ、不安が解消されなければ成果にはつながりません。

本記事で整理したように、LPOはEFOやCROと切り離して考えるものではなく、購買体験全体を通じて機能させる必要があります。構築方法の選択、要件定義の段階、集客開始のタイミング、そして伸び悩みが見え始めた局面まで、LPOを意識するポイントはEC運営のあらゆるフェーズに存在します。

重要なのは、最初から改善し続けられる状態を作ることです。計測設計やABテスト、モバイル速度への配慮を含めて構築しておけば、データをもとに迷わず意思決定でき、改善のスピードと精度は大きく高まります。

もし売上げが伸び悩む原因を集客不足だと感じているなら、一度立ち止まってLPOの観点でECサイト全体を見直してみましょう。LPOを前提にしたECサイト構築と改善こそが、競争が激化するEC市場で安定して成果を伸ばし続けるための土台になります。

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