デジタル広告運用を新たな中核事業に。事業転換の理由とエンジニアリングに注力するワケ
- Shirofune広報担当
顧客のマーケティングの課題を解決するソリューションとして広告の運用を請け負う事業を部分的に行う企業も少なくありません。専門的なスキル・経験が必要とされ、外部環境も大きく変化している広告代理事業において、そのチームビルディングはどのように進めるべきでしょうか。
今回は匿名を条件に、新たに広告代理事業を中核事業に取り入れた企業の経営層の方に、事業転換の理由、広告運用業務を効率化する工夫、コロナ禍に伴うチームビルディングなどの話を伺いました。
デジタル広告市場の拡大に伴い、別事業から広告代理事業へ事業を転換
ーー御社は元々、別の事業を主軸にされていたと思います。その事業から広告代理事業へとビジネスモデルを大きく転換されたと伺いましたが、その背景は何だったのでしょう?
元々、主軸に置いていた事業に天井が見えてきたことが、1つのきっかけです。そうした中で、我々がこれまでの事業で培ってきた基盤を活かしてビジネスをグロースできる領域が、広告の代理事業でした。
また、デジタル広告の市場の成長性と大きさも踏まえて、広告代理事業を中核事業としました。
現時点ではSNS広告が主要領域です。
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事業転換にあたってどのように人材を確保したのか?
ーー事業を転換したことで、人材の登用や採用にあたっての変化はありましたか?
営業パーソンやエンジニアなど人材の入れ替わりは発生しました。ただ、事業の中心となっているメンバーに関しては大きな変化はありませんでした。
その流れの中で、やはり採用要件も変化しました。まずクリエイティブや企画、あとはお客様との予算管理の部分は正社員で、一方の広告運用のオペレーションについてはアルバイトやパート、派遣を含めての調整となっています。
正社員だと、事業会社で広告運用をやっていた方あるいは、Web広告代理店やPR会社、コンサルティング会社など支援側にいた方、どちらかのパターンが多いですね。
広告運用業務効率化とサービス内容強化のため、エンジニアリングに注力
ーー御社ではエンジニアのチームが存在するそうですが、その理由を教えてください
今後のマーケティング領域において、テクノロジーの力は我々の強みになる部分だと思っています。このテクノロジーの力でお客様に提供できるサービスの範囲を広げたり、諸々の業務を効率化できたりと、そこが競争力の1つであると考え、組織内にエンジニアチームを置いています。
ーー広告運用の事業ではクリエイティブ制作や出稿等のオペレーションが多く発生すると思うのですが、業務効率化のために取り組んでいることはありますか?
まず、広告運用を専業で行う部門を組織して、その中でノウハウを貯める仕組みを作りました。社内wikiを作って各々がノウハウを貯めていくことで、スキルを属人化させずに組織として動けるようにしています。
加えて、定型業務は業務フローを明確にした上で、システム化を進めています。例えば、広告費や出稿条件の登録など、諸々のオペレーションについては独自のシステムで運用しています。
業務効率化を進めているとはいえ、まだまだ効率化するべき業務は多くありますね。
ーー具体的にはどのような部分でしょう?
例えば、お客様の要望を取りまとめて企画に落とし込む一連の業務やプロジェクトマネジメント、予算管理などですね。
テクノロジーで諸々の課題を解決したいところですが、特に企画の領域はまだまだAIが人間には及ばない段階ですね。売上やクライアントの満足度に大きく寄与する部分でもあるので、バランスを見ながら調整していきたいですね。
リモートワーク禍で減った非言語コミュニケーションに、どう対応したか?
ーー コロナ禍の影響でフルリモート勤務になったそうですが、組織の文化形成やマネジメントでの変化はありましたか?
まず、中途を含めた新入社員の育成のスピード感は落ちたと思います。オフィスに出社していれば、自席の近くでメンバー同士が“報連相”しているのをみて学ぶこともありますが、リモートだとそうした学びが減っているように感じます。
対策として、チームミーティングで成功事例や失敗を伝達したり、Slackのチャンネルで“ヒヤリ・ハット”を共有したり、意識的にナレッジは共有しているのですが、やっぱり偶然気づく「そういうこともあるんだ」みたいな発見や、「あの人やっぱりすごいな」といった言語化されていない部分の学びは薄れてきていますね。
特にエンジニアは、組織を横断したコミュニケーションが減ったことによる変化が大きかったです。広告運用に関しては業務をしながら気づく課題があるのですが、エンジニアに関してはそうした部分に気づきづらく…。以前は同じオフィスにいたので、自然と感覚的な部分が伝わりやすかったなと。
これまで、リアルで行っていた朝会やミーティングはオンラインでも行っていますが、それ以外の部分が表に出づらくなっているので、各々のモチベーションを把握するのは難しいですね。
ーー評価制度等に変化はありましたか?
すぐに変えるのは難しいですが、オンラインでも個々人の評価をきちんとしたいので、1on1ミーティングを全社的に取り入れました。
元々はエンジニア部門で1on1ミーティングを行っていたのですが、このコロナをきっかけに全社で取り組みはじめました。月に1回のペースで個々人の仕事の状況やモチベーションを把握するのが目的です。オンラインだと、相手の状況が見えにくい、伝わりづらいといった課題があるので、正当な評価を行うためにも1on1でコミュニケーションを取って認識合わせをする必要があると考えています。
中間業者以上のバリューを発揮できない広告代理店は淘汰されていくだろう
ーーこの数年でFacebookやGoogleを始めとするプラットフォームの自動化機能が進化・普及してきています。それに伴って広告運用の内製化も進んでいると思いますが、こうした外部要因の変化をどのように捉えていますか?
現在は、Web広告代理店にとって過渡期にあると考えています。テクノロジーは常に進化を続けていますし、それに合わせてコンテンツのあり方やツールの使い方も大きく変化していると思います。
特に内製化の推進は中国ではかなり進んでいて、これまでは広告運用を外部委託していた企業が、広告運用を内製化するケースが増えていると聞きます。この現象は中国のお国柄も関係するとは思うのですが、日本でも広告運用の内製化が加速する流れが来てもおかしくないと思っています。
ーーそうした状況で、広告代理店のあり方はどうなっていくと考えていますか?
まず「どういった部分でバリューを出していくのか」を起点に、活路を見出していくことが必要です。それは企画力などの部分になるとは思うのですが、どうしても人に依存する部分なので、そこを組織的にどうスケールさせていくのかが今後のチャレンジです。
とにかく広告代理店は、単なる中間業者になってしまうとビジネス的に必要とされなくなるフェーズに来ているのでは、と考えています。
インタビューは以上です。
本件は、Web広告代理店の経営層に役に立つ情報を届けるべく企画いたしました。
本件で語られたことは、全てを鵜呑みにせずエッセンスとして受け取っていただき、事業運営の参考にしていただけたら幸いです。
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