アドフラウドアドベリフィケーションビューアビリティブランドセーフティ

アドベリフィケーションとは?アドフラウドなどの3要素やメリット、具体的な対策について解説

戸栗 頌平

昨今、デジタル広告市場では「アドベリフィケーション(広告検証)」の重要性が飛躍的に高まっています。この背景には、世界規模でのアドフラウド(広告詐欺)やブランドイメージを損なう不適切なコンテンツの急増、さらには不正な業者による悪質な行為が横行している現状があります。

これらの問題は、広告主の投資対効果を著しく低下させるだけでなく、消費者の広告に対する信頼を損ねるでしょう。また、健全なデジタル広告エコシステム全体の発展を阻害する要因にもなります。

したがって、広告が意図したターゲット層に、適切な場所で、安全に配信されているかを検証するアドベリフィケーションは、今日のデジタルマーケティングにおいて不可欠なプロセスであるといえるでしょう。

米国のIntegral Ad Science(以下、IAS)が2025年に公開した『Media Quality Report 第20版』によると、不快なコンテンツの割合は前年比72%も増加し、詐欺対策が不十分なキャンペーンではアドフラウド率が19%上昇しました。

日本では、アドベリフィケーションについて十分に理解している広告担当者はまだ少ないかもしれません。本記事では、アドベリフィケーションの定義、主要な要素、そして広告業界で実践すべき対策について詳しく解説します。

アドベリフィケーションとは?

アドベリフィケーションの定義、主要な要素、なぜ対策が重要なのかを解説します。

アドベリフィケーションの定義

アドベリフィケーション(Ad Verification)とは、「広告(Ad)」と「検証(Verification)」という言葉が示す通り、広告が安全で適切な場所に掲載され、かつ人間に確実に視聴されているかを確認するプロセスです。

アドベリフィケーションの目的は、デジタル広告の品質と効果を最大化することです。

そのために「アドフラウド(広告不正)」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」という3つの要素を検証します。

アドベリフィケーションの3要素

アドベリフィケーションの主要な3要素について解説します。

1. アドフラウド対策(広告詐欺対策)

アドフラウド対策は広告が人間ではなく、ボットなどの不正なプログラムによって表示されたりクリックされたりするのを防ぐための対策です。この検証によって、不当なトラフィックに支払う無駄なコストを削減します。

2. ブランドセーフティ(ブランドイメージの保護)

ブランドセーフティとは、広告がブランドイメージを損なう不適切なサイトやコンテンツに表示されていないかを検証することです。たとえば暴力、ヘイトスピーチ、成人向けコンテンツに意図せず広告が掲載されてしまうことを防ぐ対策です。

3. ビューアビリティ(広告の視認性の検証)

ビューアビリティは、広告がユーザーの画面上に適切に表示され、実際に人間に見られる状態であったかを検証するものです。たとえば、視認できる位置にあったか、人間が視認できるのに十分な時間表示されていたかなどを検証します。

以下、一つずつ具体的に解説していきます。

アドフラウドとは

アドフラウドの定義、近年増加している理由、海外や国内の被害状況を解説します。

アドフラウドの定義

アドフラウド(広告不正)とは、不正な手段を用いて、広告主から不当に広告費をだまし取る広告詐欺のことです。

たとえば、ボット(悪意あるプログラム)などに大量に広告をクリックさせ、人間が広告を閲覧したりクリックしたりしたように見せかけます。そして、インプレッションやインストールなどを偽装して、不正なトラフィックを発生させて広告費を詐取するのです。

ボット以外にも「隠し広告(Hidden Ads)」「自動リロード(Auto Refresh)」「ドメインスプーフィング(偽装サイト)」などの多様な手口があります。

※詳細は、「アドフラウドとは?発生理由や仕組みから種類・対策まで徹底解説」の記事をご覧ください

アドフラウドの仕組みと背景

アドフラウドは、デジタル広告が発祥したときから存在しました。近年はデジタル広告市場がオールドメディアを超える市場規模にまで成長したため、多くの反社会的な組織が莫大な利益を狙い、この領域に参入するようになりました。

(出典:総務省|令和6年版 情報通信白書|広告

また、アドテクノロジーの進化によりリアルタイム入札が可能になり、複雑な広告配信網ができたことも、不正な広告が入り込みやすい状況になっている要因です。

もちろん、大手広告プラットフォームも対策を強化していますが、生成AIなどの最新技術が悪用され、詐欺の手口はより巧妙になっています。いたちごっこのように新たな手法が次々と生み出されるため、被害は減るどころか増え続けているのが現状です。

アドフラウドの被害状況

アドフラウドによる被害は、年々増加の一途をたどっています。その被害規模は、世界的に見ても日本国内でも深刻なレベルです。

米国のアドブラウド対策テック企業Anuraの「グローバル広告詐欺レポート」によると、2024年に世界の企業は詐欺行為によって1400億ドル(約20.6兆円)以上を失ったと発表されています。

日本でも同様に被害は拡大しています。株式会社Spider Labsが公表したレポート『アドフラウド調査レポート(通年版2025)』では、2024年の国内のアドフラウド被害額は1510億円(前年比+194億円)に急増しました。広告トラフィックの5.12%が不正という結果も明らかにされています。

他にも被害額を示す調査結果は出ており、アドフラウドはもはや無視できない巨大な経済損失を生んでいるといえるでしょう。

※詳細は、「アドフラウドとは?発生理由や仕組みから種類・対策まで徹底解説」の記事をご覧ください

ブランドセーフティとは

ブランドセーフティという言葉の意味、ブランドセーフティが重要視されている背景、取り組むメリットについて解説します。

ブランドセーフティの定義

ブランドセーフティは、企業の広告がブランドイメージを損なう可能性のある、不適切な環境に掲載されることを防ぐための重要な対策です。これは単に広告の露出を管理するだけでなく、ブランドの信頼性と評判を維持するための戦略的な取り組みといえるでしょう。

具体的には、海外のデジタル広告業界では、広告掲載を避けるべきカテゴリーとして「ダーティ・ダズン(汚れた12項目)」が業界の共通認識として存在します。

共通認識には、「軍事紛争」「わいせつ」「薬物」「タバコ」「成人向けコンテンツ」「武器」「犯罪」「死傷事故」「オンライン海賊版」「ヘイトスピーチ」「テロリズム」などが含まれます。これらのカテゴリーは、社会的に許容されない、あるいは強い倫理的・道徳的問題を提起するコンテンツとみなされるのです。

このような有害なコンテンツのそばに自社の広告が表示されてしまうと、ユーザーに悪い印象を与えブランド価値が毀損する可能性があります。そのため、媒体の選定時や広告配信後に検証を行います。

ブランドセーフティは、単なる広告運用上のテクニカルな問題ではなく、企業の社会的責任(CSR)とも深く関連する、経営戦略上の重要な課題です。顧客との長期的な関係を構築し、持続的な成長を実現するためには、ブランドセーフティへの継続的な取り組みが不可欠です。

ブランドセーフティが求められる背景

暴力的・差別的なコンテンツに不快感を感じる人は世の中の多数派です。IASの意識調査でも、消費者の82%は「オンライン広告の周囲に表示されるコンテンツが適切であることが重要」と回答しています。

ところが昨今は大手のSNSや動画共有サイトにおいても、インプレッション目的の過激な動画やヘイトスピーチなどが増加し、玉石混交のコンテンツが配信されているのが現状です。

不適切な媒体に広告が表示されると、ユーザーは「そのブランドをが不適切なコンテンツを支援している」とみなします。

ブランドの信頼性が低下し、消費者の離反リスクが高まります。日本でも企業がスポンサーとしてどこに予算を使っているかに世間の目が厳しくなっているため、これまで以上にブランドセーフティへの取り組みが必要だといえるでしょう。

ブランドセーフティ確保の効果

適切にブランドセーフティ対策を実施すると、ブランドイメージの保護・向上につながります。広告の効果も向上する傾向です。

IASのレポートでも、ブランドセーフな環境に掲載された広告はコンバージョン率が 233% 向上したことが報告されています。ブランドセーフティを徹底することで顧客からの信頼維持やブランド好感度の向上につながることが、この調査からもうかがえます。

反対に、対策を怠れば不適切な広告メッセージによる顧客の反発、ブランドへの悪印象といった深刻なダメージを被るリスクがあるでしょう。

ビューアビリティとは

ビューアビリティとは広告の視認性です。広告が正しい場所に正しく表示されているかを検証します。

ビューアビリティの定義

ビューアビリティ(視認性) とは、「デジタル広告がユーザーに見られる(視界に入る)可能性」のことです。以下の2つの基準で検証します。

  • 表示位置: 広告が、ユーザーの画面のスクロール範囲内に適切に表示されていたか。
  • 表示時間::広告が、ユーザーが視認できる十分な時間、連続して表示されていたか。

たとえば、メディアレーティング評議会(MRC)の基準では「ディスプレイ広告の場合、ピクセルの50%以上が1秒以上連続してユーザーの画面に表示されたら1インプレッション視認(動画広告の場合は2秒以上)」と定義されています。この基準を満たした広告だけがインプレッションとしてカウントされます。

ビューアビリティ確保の重要性

どんなにインプレッション数を稼いでも、広告が画面にきちんと表示されてユーザーに見られていなければ意味がありません。

たとえばページの下部にあり誰もスクロールしないバナー広告は非視認です。デスクトップでは見えても、モバイルでは視認されない場合があります。

Pixalateの2025年第1四半期レポートによると日本のモバイルWeb広告のビューアビリティはわずか36%という結果となっており、その他のアジア諸国より非常に低い数値で、広告の60%以上は認識すらされていないのです。

視認されなかった広告は、掲載されなかったと同じで反響はありません。広告がユーザーに一度も見られないのであれば、そのキャンペーンは基本的なレベルで失敗していることになります。

広告の視認性はプラットフォームが提供する数値だけではわかりづらいのも現実なので、自社でもビューアビリティを検証する必要があります。 

ビューアビリティと広告効果

各種調査で、ビューアビリティの高い広告ほどユーザーのエンゲージメントや広告効果が向上する相関関係が示唆されています。

たとえばIASのレポートによると、可視インプレッションは非可視インプレッションと比較してコンバージョン率を95%向上しています。この数値はユーザーに見えていないインプレッションに、ほぼ意味がないことも示されるのです。

さらに、広告が視認可能でブランドセーフなコンテキストにある場合、コンバージョン率が 57% 増加し、複合的なメリットがあると報告されています。ビューアビリティは広告効果の前提であり、広告効果に直接的に影響します。

測定と改善

ビューアビリティを向上させるには、「広告の場所(画面のどの位置か)」「サイズ」「ページの読み込み速度」を最適化する必要があります。

不正な業者は広告を重ねて表示し、下に隠れた広告も読み込ませる手口で、一見ビューアビリティが高いように見せかけることがあるので注意も必要です。画面上でユーザーはひとつしか広告を見ていないのに、バックグラウンドで複数の広告インプレッションが発生し、ビューアビリティ指標が過大に報告されるパターンです。

そのため、アドフラウド対策と連携した正確なビューアビリティ測定が重要といえます。

※「効果的なアドフラウド対策とは?主要9手口の個別対策と総合対策の両面から解説 」の記事もあわせてご覧ください。

アドベリフィケーションが必要な背景

改めて、アドベリフィケーションが注目されてきた広告業界の現状を解説します。

背景1.デジタル広告市場の急成長と不正の増加

デジタル広告市場は年々規模を拡大しており、電通グループのレポートでは2025年の世界の広告費成長率予測は5.9%、市場規模は8177億米ドル(約123兆円)になると予測されています。総務省が発表している「令和6年版 情報通信白書」でも、日本ではすでにテレビメディアなどの新聞・オールドメディアよりも大きな市場になっています。

このような巨額の莫大なマネーが動く場では不正な業者も跋扈しやすく、世界でも日本でも不正行為(アドフラウド)が増加する一方です。広告主としては自衛のために、広告代理店やプラットフォームはビジネスの信頼性の担保のために、広告配信の妥当性をチェックするアドベリフィケーションが必要不可欠になっています。

背景2.広告配信の自動化によるブラックボックス化

(出典:デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス 概要・付録資料 – 総務省

もう一つの背景に、プログラマティック広告など広告配信の自動化が進んだ結果、配信プロセスのブラックボックス化が進んだことが背景にあります。

広告主が直接媒体社と契約していた時代とは異なり、現在は上記の図のように複数の仲介業者を経由して広告が配信されるため、広告主によるコントロールが難しくなりました。

一つの広告が媒体に届くまでに5社もの異なる仲介業者(広告主→代理店→トレーディングデスク→DSP→アドエクスチェンジ→SSP→媒体社)とステップを経由するケースすらあります。

広告主から見ればどこにいくら支払われたかはもちろん、広告がどこに出たのかすら把握しづらい状況です。そのため日本でも、国・業界が第三者検証(アドベリフィケーション)によって広告配信の透明性を担保しようという動きが始まっています。

背景3.ブランドイメージ毀損の重大な影響

デジタル広告が意図しない有害なコンテンツや媒体に配信されると、ブランドイメージが毀損されます。

広告主が被害者であっても、違法コンテンツサイトに掲載されれば「そんなサイトに広告を出す企業」として認識されるためです。仮に話題がSNS等で拡散すれば、企業にとって大きな痛手となるでしょう。

米国では大手企業がYouTube上で問題ある動画に広告が表示されたとして、広告出稿を一時停止するケースも発生しました。

日本ではまだそこまでではありませんが、大手企業を中心にアドベリフィケーションを導入し、ブランドイメージを守ろうとする企業は増加傾向にあります。

背景4.正確な効果測定・広告最適化のため

広告キャンペーンの成否を判断するためには正確なインプレッション数・クリック数・コンバージョン数などの指標が必要です。

アドフラウドによる虚偽のインプレッションやコンバージョン、ビューアビリティ不足による見られていない広告のインプレッションが混在すると、表面的な数値が過剰によい結果となります。

主要なプラットフォーム(GoogleやFacebookなど)もさまざまな対策をした上でレポートを提供していますが、それも完全ではありません。むしろ立ち位置の違いにより、データがポジティブに解釈がされやすい傾向はあるでしょう。

プラットフォームまかせにせず、アドフラウドや不可視インプレッションを排除した成果を測定する必要があります。正しいデータにもとづいてPDCAを回してこそ、広告配信を最適化できます。

アドベリフィケーション導入のメリット・効果

アドベリフィケーションを実施し、不正なボットによるトラフィックを検知・除外して、広告の視認性を高めることで広告費の浪費を防げます。配信先を厳選するとブランドイメージも保護できます。

メリット1.広告費の最適化とROI向上

2024 US Ad Fraud Savings Report(アドフラウド削減レポート)」によると、2023年に米国のデジタル広告業界は、業界横断的な取り組みによってアドフラウドを削減し、108億ドルの節約を達成しました。

詐欺対策プログラムや基準を導入していないシステムと比較して、無効トラフィックによる潜在的な損失が92%も削減されたと発表されています。 広告の無駄打ちにしかるべき対策をすることで、有効インプレッションの割合が高まり、キャンペーン全体の費用対効果(ROI)が向上したことがわかります。

限られた広告予算を有効活用できる点は最大のメリットでしょう。

メリット2.ブランドイメージの保護・向上

アドベリフィケーションにより不適切なサイトや有害なコンテンツに広告表示されるリスクを防ぎ、ブランドにふさわしい環境に広告を展開できるようになるとブランドイメージが向上します。

少なくとも「気づかないうちにブランドイメージが毀損されていた」という事態を避けられます。

ユーザーは広告そのものだけでなく、その広告が表示されている周囲のコンテンツも含めてブランドを判断するため、結果的にブランドへの安心感・信頼感が高まるでしょう。

メリット3.正確なデータによるマーケティング改善

アドベリフィケーションツールを導入することで、広告効果の正しい詳細なデータが得られるようになります。

たとえば、インプレッションのうち何%が視認可能だったか(ビューアビリティ率)、どの程度の不正トラフィックが混入していたか(無効トラフィック率)、ブランドセーフティ違反が何件あったかなどの数値がレポーティングされるからです。

精度の高いデータは、ターゲティングの見直しやクリエイティブ改善、予算配分の見直しなど次のマーケティング施策に活かせます。逆に考えればアドベリフィケーション導入以前の対策が今ひとつだったのは、もとになるデータが正しくなかった可能性もあります。

加えて、アドベリフィケーションでデータ精度が上がることで、社内やクライアントへの説明責任も果たしやすくなるでしょう。視認性が低い媒体の除外、不正なトラフィックが多い媒体のブロックなどをエビデンスにもとづいて説明可能となります。

メリット4.リスクマネジメント効果

アドベリフィケーションは「シートベルト」のような存在と表現されることがあります。すべてのリスクをゼロにはできないまでも、デジタル広告の重大なリスクから広告主を守るからです。

アドフラウドやビューアビリティを対策して広告予算垂れ流しの防止、ブランドにふさわしい媒体に広告を掲載します。すると、ブランドイメージの保護、オペレーションにおいても問題発生時に即座に検知・対策が打てるなど、リスクマネジメント効果があります。

アドベリフィケーション導入=最悪の事態を避けるリスクヘッジができていることになるため、結果的に積極的で大胆なマーケティング施策にも挑戦しやすくなるのがメリットです。

メリット5.媒体品質の可視化・管理

アドベリフィケーションツールなどを活用すると、媒体やトラフィックの質が「見える化」されるようになり、媒体品質を詳細に把握できます。これは、メディアプランニングや買い付け交渉にも役立ちます。

どの媒体が常に高いビューアビリティ率か、どの媒体で無効トラフィックが多いか判明するため信頼できる媒体に予算を投下できるでしょう。

媒体社や広告ネットワークとの協議においても客観的データを提示しながら品質改善について要求できるようになります。

アドベリフィケーション導入にはデメリットもある

ただし、アドベリフィケーションツールの導入にはデメリットもあります。たとえば過度なフィルタリングにより、広告が適切な配信先でもブロックされ結果的に広告効果が低下する可能性があります。特定のプラットフォームでは、ツールが提供できる機能に制限もあるわけです。

費用対効果の問題もあります。アドベリフィケーションツールの価格帯は月額10~100万円以上と幅広いのですが、日本の中小零細企業の広告費はそれほど潤沢ではないので、月額10万円以上のツール費用は大きな負担になるかもしれません。ツールの設定、モニタリング、レポート分析に時間と人的リソースも必要です。

そもそも中小零細企業だとGoogle AdsやSNS広告など主要プラットフォームに絞ってリスティング広告などを配信することが多いでしょう。プログラマティック広告をあまり使わないので、不適切な配信先へのリスクが元々低くツール導入の恩恵は大手企業ほどではありません。

次の項で説明する「基本的な対策」と、主要広告プラットフォーム(Google、Metaなど)が提供する無料の不正防止機能やレポートで十分な場合もあります。とはいえ、詐欺の手法は日々進化しているので、担当者は常にアドベリフィケーションの情報に敏感である必要はあります。

アドベリフィケーションの具体的な対策方法

ここでは、アドベリフィケーションの具体的な対策を説明します。

1. ブラックリスト/ホワイトリストの活用(掲載先の精査)

広告主として事前にできるのは、信頼できる広告掲載先の精査です。逆に言えば掲載したくない配信先のリストアップです。

アダルト・違法コンテンツサイトや過去に不正疑惑のあったサイトなどは当然排除する必要がありますし、不正なトラフィックが多いサイトも積極的に排除し、掲載したい媒体リストを作成しましょう。ブランドイメージが重要な業界であれば、ブランドに適した媒体だけに広告が出るよう事前に設定してください。

DSPはそれらリストを適用して入札対象から外す設定を行います。手間はかかりますが、不適切な配信を未然に防ぐ効果があります。定期的にレポートを見て新たな不適切サイトが発見されたら、随時ブラックリストに追加するなどメンテナンスも必要です。

ホワイトリスト広告を配信してもよいと認めた安全性の高いサイトやアプリのリスト。※このリストにのみ広告を出稿する設定に
ブラックリスト過去に不正が発覚したサイトなどはブラックリスト。※このリストは除外設定に

2. ユーザー行動のモニタリング(不審なトラフィックの検出)

担当者自身が、日々広告配信後のトラフィックを監視し、異常な挙動を検出することは重要な対策です。

Googleアナリティクス等の解析ツールや、不正検知ツールで以下の以下の兆候がないかチェックしましょう。アドフラウドの可能性があります。

  • 短時間でクリック数が急激に増加
  • 深夜帯など通常は少ない時間帯に不自然なクリックが増加
  • 特定の広告枠で明らかに通常以上のクリックが急増
  • 同一IPからの大量アクセス
  • 滞在時間が数秒以下で直帰するユーザーばかり
  • 地理的にターゲット外の国からのアクセスが急に増えた
  • デバイスやOSの分布が不自然(例:通常ありえない旧式ブラウザばかり)

不審な動きを見つけたら、そのトラフィック源となっているサイトやユーザー属性を特定し、配信停止や除外設定を行います。リアルタイムで監視・対応することで、被害が拡大する前に気づいて食い止められます。

3. 広告配信後のデータ分析(異常な成果指標の洗い出し)

キャンペーン終了後や一定期間ごとにデータを精査して異常値を洗い出すことも必要です。

媒体別・枠別のパフォーマンス指標を比較し、他と比べて極端な値を示しているものがないか確認しましょう。

  • ある配信先だけ異常にビューアビリティが高い
  • クリック率とコンバージョン率の乖離している
  • 明らかに低品質なトラフィックが多い
  • 特定サイトからの訪問は直帰率90%超・滞在時間数秒

たとえば、ほとんどの広告が「視認された」ことになっているといったケースは、不正業者が指標を良く見せかけるトリックを使っている可能性があります。「良好すぎる数字」は疑えという観点が重要です。

通常、興味を持ってクリックしたユーザーの一定割合は成果につながるので、クリック率とコンバージョン率が乖離している場合、ボット等不正の可能性があります。

事後分析では、セグメント別にデータを切り分けて比較する手法が有効です。平均とかけ離れたパフォーマンスが出ている組み合わせがないかチェックしましょう。複数の角度から分析すると異常を見つけやすくなります。

  • デバイス種別
  • 曜日・時間帯
  • 地域
  • 広告枠サイズ

4. DSPや媒体パートナー選定時のチェック

どのような企業規模のマーケティング担当者にもできて、効果もある方法は(デマンドサイドプラットフォーム)や媒体パートナーの選定時のチェックです。信頼できる提携企業や媒体を選ぶことが、配信後のリスクを低減させ広告キャンペーンの成功につながります。

DSPであれば不正対策機能(無効トラフィックフィルタやブランドセーフティ設定)の有無、媒体社であればアドベリフィケーションツール導入の有無やads.txtの整備状況などを事前にチェックします。

各担当者に取り組みなどをヒアリングするとよいでしょう。アドフラウドについてのしっかり対策をしており、担当者ベースで説明ができる企業であれば、お互いの責任範囲も明確になります。

5. PMP(プライベートマーケットプレイス)の活用

とはいえ、完全にコントロールできないのがデジタル広告の配信。そのため、クローズドな広告取引(PMP)の活用も効果的な対策です。PMP(Private Marketplace)とは、限られた広告主と媒体社だけが参加できる招待制のオークション枠です。

たとえば、集英社は主要なWeb媒体の純広メニューやPMPでのディスプレイ広告について2021年からアドベリフィケーション対応にしています。

このような信頼できる体制を持つ媒体社と直接交渉して、PMP枠を開設してもらうことが必要です。すると、オープンオークション上の見知らぬサイトに出稿されるリスクがなくなります。

ドメインスプーフィング(偽サイトへの掲載)などの不正リスクも大幅に減少します。

ビューアビリティや広告の表示も媒体社と調整できるため、広告品質の向上も期待できるでしょう。

6. アドベリフィケーションツールの導入

ある程度の広告予算を活用している企業にとってはアドベリフィケーション専用ツールやサービス導入が重要な対策となります。

不正検出・ブランドセーフティチェック・ビューアビリティ計測を一元的に行え、効率的で高度な検証が可能になります。ツール導入後は、アラート設定なども活用して自動通知を受け取れるようにすると迅速な対応が可能です。

なお、アドベリフィケーションツールの導入はあくまで技術的な対策なので、広告主が行う媒体の選定など基本的な対策をふまえた上で実施しましょう。

ツールには、ブランドセーフティ、ビューアビリティなどの幅広い対策が可能な統合型もあれば、アドフラウド特化型、ブロックリスト提供型などがあります。一社のツールだけでなく、場合によっては複数社の併用も検討します。代表的なツールに以下があります。

ツール名特徴
Integral Ad Science(IAS)アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティの向上を目的とするソリューション。
DoubleVerify(DV)アドフラウド、媒体の適合性、広告の視認性などブランドエクイティを保護するツール。
White Ops(HUMAN)デジタル広告におけ詐欺の阻止、広告品質を保護する統合プラットフォーム

※予算があまりない場合、X-log.aiSpider AFなど無料や安価で利用できるツール、診断サービスもありますので活用してみましょう。

※こちらの「アドフラウド対策ツール12選!選定ポイントや導入時の注意点まであわせて解説」もあわせてご覧ください。

まとめ

アドベリフィケーションとは、デジタル広告が、ブランドイメージを損なう不適切な環境に掲載されていないか(ブランドセーフティ)、配信された広告がきちんとユーザーに表示されているか(ビューアビリティ)、ボットなどの不正な手段で表示・クリックされていないか(アドフラウド)を確認するプロセスです。

アドベリフィケーションを行わないと、広告費を搾取されるだけでなく、ブランドイメージの低下を招くリスクがあります。現在のデジタル広告市場の環境をふまえれば、今後は広告戦略の成功に欠かせない要素となっていくことは疑いないでしょう。

まずは、各ベンダーが提供している無料診断ツールなどで自社の広告が正しく配信されているか確認することから始めてみましょう。

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