
メディアプランニングとは?メディアプランニングの重要性と計画の手順を解説

- 菊池 満長
2025年現在、デジタル広告は企業の事業成長において欠かせないマーケティング施策となっています。日本では2023年にはデジタル広告支出が従来型のテレビ広告を追い抜き、マーケティング戦略の中核へと移行しました。
さらに、日本のデジタル広告市場は2024年におよそ433億ドル(約5兆9,000億円)規模に達し、2025年以降も年平均成長率(CAGR)17.5%という高い成長が見込まれています。これは、スマートフォンや動画広告の浸透に加え、AI技術をはじめとしたデジタルツールによる効果測定の高度化などが要因でしょう。
このように変わりゆく広告運用環境において、「誰に、何を、どのタイミングで」届けるかを戦略的に設計するメディアプランニングの重要性がますます高まっています。限られた予算のなかで最大成果を追求する上でも、計画的なメディア選定と配分設計は不可欠です。
本記事では「メディアプランニングとは何か」という基本情報からスタートし、実際に運用するにあたって知っておくべき知識を体系的に解説します。広告運用の成果を最大化するためにも、しっかりと把握していきましょう。
メディアプランニングとは
メディアプランニングとは、広告主が限られた予算の中で「誰に」「どの媒体で」「どのタイミングで」広告を届けるかを戦略的に設計するプロセスです。
広告費を投資として最大限に活かすために、ターゲットの選定、媒体の組み合わせ、配分や接触頻度の計画を立てる役割を担います。広告運用担当者にとって「単なる理論」ではなく、日々の実務に直結する実践的な考え方です。
特に近年は、広告費の増減や市場環境の変化が早く、従来の経験則だけで成果を上げることが難しくなっています。そのため、科学的かつ体系的に「なぜその広告配分なのか」を論理的に組み立てることが大切です。これにより、運用の精度を上げるだけでなく、社内外のステークホルダーに対して納得感のある説明も可能になります。
そもそも「メディア」とは?どのようなものがある?
そもそも「メディア」とは、情報を伝達する手段や媒体を指します。広告領域におけるメディアは、テレビや新聞といったマスメディアだけでなく、Webサイト、SNS、動画プラットフォーム、屋外広告、さらにはイベント会場や交通広告なども含まれます。つまり「消費者と接触するあらゆる場」が広義のメディアです。
デジタル広告の普及により、メディアの分類は「オンライン」と「オフライン」に大別されます。
<メディアの例>
| 区分 | 主な例 | 特徴 |
| オンラインメディア | Webサイト検索広告SNS(Instagram、X、Facebookなど)動画プラットフォーム(YouTube、TikTokなど)ディスプレイ広告メールマーケティング | ターゲティング精度が高く、効果測定が容易。即時性や運用の柔軟性に優れる。 |
| オフラインメディア | テレビ新聞雑誌ラジオ屋外広告(看板・デジタルサイネージ)交通広告(電車・バス・駅構内)イベント会場 | リーチ規模が大きく、ブランド認知や信頼性の向上に強い。デジタルと連動させることで相乗効果を発揮する。 |
広告運用担当者にとって大切なのは、ただ単に「どのメディアを使うか」ではなく「顧客のどの行動段階に適したメディアか」を考える視点です。メディアごとの特性を把握しておくことが、最適なプランニングの基盤になります。
メディアと広告の関係性
メディアと広告は常に表裏一体の関係にあります。広告はメディアを介して生活者に届けられるため、どのメディアを選ぶかによってメッセージの到達度や受け取られ方が大きく左右されます。
たとえば、商品を広く認知させたい段階ではテレビCMやYouTubeといった映像メディアが効果的です。一方で、購買検討を後押しするフェーズでは検索広告や比較サイトのように、ユーザーの意思決定に直結しやすいメディアが力を発揮します。
実際に、米SolomonPartners社の2023年ベンチマーク調査では、屋外広告(OOH)はテレビやオンライン広告よりも高い広告リコール率(広告を見た人のうち、後でその内容を覚えていた割合)を記録し、媒体選択が広告効果に直結することが示されています。

(出典:SolomonPartners「ソロモン・パートナーズの2023年ベンチマークレポートによると、屋外広告は他のメディアチャネルと比較して最も高いレベルの消費者想起を生み出している。」)
つまり広告は「同じ予算を投じても、使うメディアによって成果が変わる」という性質を持っているのです。
これはオフライン・オンラインを問わず共通する考え方であり、とりわけオンラインメディアではクリック率やコンバージョン率といった指標を通じて効果を可視化できるため、各メディアの貢献度を比較しやすい特徴があります。
メディアプランニングを学ぶための本
メディアプランニングの考え方を体系的に学ぶには、専門書の活用が効果的です。特に現場担当者にとっては、用語の定義やフレームワークを正しく理解しておけば、その後の施策の質を大きく左右します。
代表的な書籍のひとつが「MEDIAPLANNINGNAVIGATION」です。本書は、広告会社ADK(アサツーディ・ケイ)の「コミュニケーション・チャネル・プランニング・プロジェクト」によって執筆されました。広告代理店や事業会社の実務を前提に、メディアの種類ごとの特性や、プランニングのプロセスを豊富な図表と事例を交えて解説しています。

(出典:Amazon)
基礎的な概念から応用的な戦略設計まで網羅しているため、新人研修用の教材としても、すでに広告運用を担当している実務者の知識整理としても活用可能です。
このようなリソースを活用すれば、日々の運用に追われがちな担当者でも理論と実践を結びつけ、自らのスキルを体系的に底上げできます。
メディアプランニングがなぜ大切なのか
メディアプランニングは、単に広告出稿のスケジュールを組む作業ではありません。事業目標と広告施策を結びつけ、限られたリソースを最大限に活かすための施策です。
それを踏まえると、以下の観点からメディアプランニングは重要だといえます。それぞれ個別にみていきましょう。

理由①:事業目標とマーケティング施策の橋渡しになるから
メディアプランニングの第一の意義は、経営上の成果と広告運用の指標を結びつけられる点にあります。売上げや利益といった事業KPIと、ROAS・CPAといったマーケティング指標の間にはしばしば距離があり、広告運用の成果を経営層に説明しづらい場面は少なくありません。
この課題に対して、プランニングの段階で評価軸をあらかじめ設定しておけば、施策の効果を「事業成長にどう寄与したか」という観点から説明できるようになります。たとえば、以下のような設計が実務で役立ちます。
【ケース①:短期間で投資回収を求めたい場合】
- LTV(顧客生涯価値)を評価する期間を「1年」と設定すれば、初年度からの売上効率を重視する配分になる。
- 逆に「3年」で評価すると、多少の初期赤字を許容しつつ長期的な継続利用や契約更新を前提にしたプランニングが可能になる。
【ケース②:効率と将来価値を両立させたい場合】
- 単純にCPA改善だけを追うのではなく、リピート購入やアップセルにつながる顧客像を設計に組み込む。
- その結果、短期の獲得効率と長期的な収益成長の双方を意識したバランスのとれた投資判断ができるようになる。
こうした視点を持ち込むことで、広告は「短期的な集客の施策」ではなく「将来の収益を生む投資」として説明可能になります。その結果、経営層や関係部署との合意形成が容易になり、施策の実行スピードと確実性が高まります。
理由②:戦略に基づいた広告予算の最適化ができるため
広告予算は限られた資源であり、戦略的な配分によって成果の出方は大きく変わります。単純に「一番安い媒体に投下する」あるいは「過去の慣習に従う」といったやり方では、費用対効果の最大化は望めません。
メディアプランニングの役割は、事業目標や顧客の行動段階に合わせて、どの媒体にどの程度予算を配分するかを合理的に設計することにあります。
このとき考慮すべき主な観点は次のとおりです。
- リーチ(到達人数):どの程度の規模でターゲットに届ける必要があるのか
- フリークエンシー(接触頻度):どの程度繰り返せば態度変容につながるのか
- 広告効果の逓減:一定以上投下しても成果が頭打ちになる局面をどこで見極めるか
- クリエイティブ疲労:広告表現が見飽きられるタイミングをどう予測するか
こうした要素を織り込みながら配分を設計することで、「どこに投資すれば最も効率的に成果を出せるか」を数値と戦略の両面から説明できるようになります。結果として、限られた資金を「場当たり的に消費する予算」ではなく、「戦略的に配分された投資」へと転換できるのです。
理由③:意思決定の明確化と仮説検証がしやすくなるから
メディアプランニングを行うと、広告運用における意思決定を「属人的な勘や経験」から「再現性ある根拠」に引き上げることも可能です。
実際に、当社と株式会社キャスターが合同でBtoB企業を対象に行った調査では、インハウスで広告運用を行っていない企業は内製しない理由として「自社運用の場合、最新ノウハウを収集することが難しいため」が31%と最多」となっていました。

(出典:Unyoo.jp「運用型広告、BtoB企業の半数以上がインハウス化という調査結果に」)
広告運用では、配信途中で「予算を追加すべきか」「媒体を切り替えるべきか」といった判断が求められる場面は少なくありません。
その際、事前にプランニングをしておけば、以下のような観点をもとに素早く合意形成ができます。
- どの指標(CPA・ROAS・到達率など)を、どの期間で見るか?
- 計画段階で想定したKPIと現在の実績との差分はどうか?
- 修正を行う場合のシナリオ(予算増額/媒体シフト/クリエイティブ刷新など)は?
判断基準をあらかじめ定義しておくことで、上司や関連部署への説明がスムーズになり、場当たり的な対応を避けられるでしょう。
メディアプランニングの際に知っておくべき関連用語
メディアプランニングを正しく理解するには、基礎的な用語やフレームワークを押さえておくようにしましょう。これらの概念を知らずに計画を立てると、施策の方向性が曖昧になる。あるいは、社内外での議論に説得力を持たせられなくなる恐れがあります。
まず押さえておきたいメディアプランニングに紐づく考え方としては、以下の4つが挙げられます。
- PESOモデル
- メディアミックス
- クロスメディア
- メディアバイイング
それぞれ個別にみていきましょう。
PESOモデル
PESOモデルとは、メディアを「Paid」「Earned」「Shared」「Owned」の4つに分類して整理するフレームワーク。それぞれの定義は、以下のとおりです。
| 区分 | 具体例 | 特徴 |
| Paid | リスティング広告、SNS広告、ディスプレイ広告 | 即効性が高く、コントロールしやすい |
| Earned | PR記事掲載、メディア露出、口コミ | 信頼性が高いが、自社でコントロールしにくい |
| Shared | SNSでの拡散、UGC(ユーザー生成コンテンツ) | 拡散力が強いが、炎上リスクもある |
| Owned | 自社サイト、オウンドメディア、メルマガ | 長期的に資産化できるが、成果創出に時間がかかる |
メディアプランニングでは、この4つをどう組み合わせるかが重要になります。たとえば、短期的にリードを獲得したい場合は「Paid」を中心に据え、並行して「Owned」を育てて長期的な顧客基盤を築く戦略が有効です。
逆に、ブランド認知や信頼性を高めたい局面では「Earned」や「Shared」を強化することで効率が高まります。
つまりPESOモデルは、媒体を選ぶ際の「どの局面で何を強化すべきか」を整理する枠組みとして、メディアプランニングの意思決定を支える実践的なツールといえるのです。
メディアミックス
メディアミックスとは、複数のメディアを組み合わせて広告効果を高める戦略を指します。単一のチャネルに依存するよりも、異なる特性を持つ媒体を組み合わせることで、接触機会を増やし、態度変容を促進できます。
メディアミックスというと、漫画やアニメなどのBtoC領域での取り組みがまず想起されるでしょうが、BtoBでも有効な施策です。
たとえば、イギリスの料理器具メーカーFooditude社は、デジタル広告・メールマーケティング・オウンドメディアを組み合わせた統合キャンペーンを展開し、営業機会を6倍、オーガニックトラフィックを160%増加、MQLを202件獲得する成果を上げています。

(出典:DIGITALLITMUS「FUSIONCAMPAIGNGENERATES6XPIPELINEGROWTHIN6MONTHS」)
メディアミックスのポイントは「役割分担を明確にすること」です。以下のように整理しておくと、プランニングの精度が上がります。
- 認知拡大:テレビCM、動画広告、ディスプレイ広告
- 比較検討:検索広告、比較サイト、ホワイトペーパーDL
- 購買促進:リターゲティング広告、メール配信
このように目的ごとにメディアを組み合わせることで、ユーザーの購買行動に沿ったシナリオを描けるようになり、メディアプランニング全体の戦略設計に一貫性を持たせられます。
クロスメディア
クロスメディアとは、異なるメディアを相互に連携させ、ユーザー体験を一貫して設計することで広告効果を高める手法です。メディアミックスが「複数媒体を同時に活用する戦略」であるのに対し、クロスメディアは「媒体間の連動性」に重点を置く点が特徴といえます。
クロスメディアの事例を挙げると、ユニ・チャーム株式会社はテレビCMとYouTube広告を連携させることで、単独出稿よりも到達率を約12ポイント拡大し、さらに25〜34歳女性層ではテレビ単独より39%低いコストでリーチを獲得しました。

(出典:ThinkwithGoogle「テレビとYouTubeのクロスメディアリーチの可視化:ユニ・チャーム、ピザハット、JR東日本の事例を『X-mediaUniqueReachReport』で分析する」)
このように「一連の体験」をデザインすることで、単発の露出では得られにくい行動変容を促すことが可能になります。
クロスメディア戦略を成功させるには、媒体ごとの役割を切り分け、「どのタイミングで、どの順番で接触させるか」をメディアプランニングの段階で明確にすることが大切です。特にオフラインとオンラインをまたぐ場合には接触のトリガーを定義しておくと、成果を測定しやすくなり、全体戦略の一貫性を確保できます。
メディアバイイング
メディアバイイングとは、広告主や代理店が広告枠を購入するプロセス全般を指します。広告を掲載するためには媒体社との交渉や取引が必要となり、その手続きを通じて広告がユーザーに届けられます。
メディアバイイングには、以下のような種類があります。
- 交渉型バイイング:媒体社と直接取引し、枠や料金を交渉する
- オークション型バイイング:DSPや広告プラットフォームを介して自動入札する
- ハイブリッド型:特定枠は交渉で確保しつつ、残りをオークションで最適化する
デジタル技術の発展により、メディアバイイングは大きく変化しました。従来はテレビや新聞のように「枠を買う」ことが中心でしたが、現在はオークション方式で配信枠が自動的に売買されるプログラマティックバイイングが主流になりつつあります。
たとえば、2025年8月、日本テレビは「プログラマティックネット(運用型全国CM)」という新商品を開発し、2025年10月から一部番組で全国規模の地上波CMに対するプログラマティック入札のトライアルを開始する予定であると発表しました。

(出典:日本テレビ放送網株式会社「新商品『プログラマティックネット(運用型全国CM)』の検証運用を開始予定」)
メディアプランニングにおいては「どの媒体に投資するか」を決めるだけでなく、「どのバイイング方式を選ぶか」も戦略設計の一部です。方式の違いによって予算配分の柔軟性やターゲティング精度が変わるため、目的やKPIに応じて最適な手段を選択することが求められます。
メディアプランニングはどのようなときに必要なのか
広告運用は常に行われていますが、すべての局面で同じアプローチを取れば成果に繋がるわけではありません。特に、以下のように大きな変化が求められる場面では、事前に戦略を描くメディアプランニングが求められます。
市場拡大や新規参入で認知を獲得したいとき

新商品や新しいカテゴリに参入する場合、既存ユーザーや従来のチャネルだけでは十分な認知を得られません。
そもそも新規事業のような新しい試みは「千三つ」といわれるほど難しいものです。少し古いデータではありますが、2018年のアビームコンサルティングの調査でもそれは明らかになっています。

(出典:アビームコンサルティング「アビームコンサルティング、新規事業創出の実態調査を発表」)
そのため、市場拡大や新規参入を図る際には、メディアプランニングを駆使して競合に埋もれる前に「どれくらいのターゲットに、どの程度の頻度で、どんな媒体を通じて接触するか」を計画する必要があります。
- ターゲット規模:市場全体のどの層にリーチすべきか?
- 必要到達率:短期間でどの程度の認知を獲得するか?
- チャネル配分:テレビ・動画・SNS・業界紙など、目的に合せてどの媒体を組み合わせるか?
BtoBであれば、業界専門メディアや展示会とオンライン広告を組み合わせて接触機会を増やすのも効果的です。BtoCではSNS・動画・ディスプレイ広告を多面的に活用し、高頻度で目に入る仕組みをつくることが成果につながるでしょう。
新しい検討フェーズの見込み客を獲得したいとき
広告運用では短期的にCPAだけを追求すると、効率は良くても「受注確度の低いリード」ばかりを集めてしまい、長期的なLTV(顧客生涯価値)やブランド価値の向上につながらない場合があります。
そこで必要になるのが、検討度合いの高い顧客を意識したプランニングです。たとえば以下のような組み合わせが考えられます。
- 検索広告:顕在層を効率的に獲得
- 比較サイトやレビューサイト:検討段階に入ったユーザーに接触
- ホワイトペーパーや資料請求導線:関心の強い見込み客を育成
こうした媒体を計画的に組み込むことで、後工程の営業転換率や継続利用率が改善し、結果的に収益効率が向上します。
競合の広告戦略で差別化を出したいとき
市場で競合が広告出稿を強化すると、自社の広告がターゲットに届く割合である「SOV(Share of Voice)」が低下します。SOVが下がれば、ブランド想起や指名検索数が競合に奪われ、結果的に自社のコンバージョン率(CVR)にも悪影響を及ぼします。
この局面で重要なのは、単純に入札を強化するのではなく、戦略的な差別化を設計することです。メディアプランニングを通じて以下のような対応が可能になります。
- 競合モニタリング:媒体別の出稿量やクリエイティブを継続的に分析する。
- 到達量の目標設定:SOVを一定水準で維持するための必要リーチを算出する。
- 集中投資の判断:一部の媒体に重点を置き、競合に埋もれない露出を確保する。
- クリエイティブ差別化:同じ媒体でも訴求軸を変えて差異化を実現する。
こうした計画的な配分戦略があってこそ、競合の広告攻勢に押し負けず、ユーザーに選ばれるブランドとして存在感を維持できます。
オフラインとオンライン両方で認知を取りにいくとき
来店促進やテレビCMなどオフライン施策と、検索広告やSNS広告といったオンライン施策を組み合わせる場面でも、メディアプランニングは大きな力を発揮します。
典型的な例としては以下のような現象があります。
- テレビCM放映後:商品名の検索ボリュームが急増する。
- チラシや交通広告展開後:スマートフォンでの情報検索やSNS投稿が増える。
これらの「ユーザー行動の波」に合わせてオンライン広告を設計することで、相乗効果を最大化できます。
- タイミングの調整:オフライン施策直後に検索広告やSNS広告を集中配信
- 地域の連動:チラシ配布エリアや放映地域に限定したジオターゲティング
- デバイス最適化:検索増加が見込まれるスマートフォンに重点投資
このように、オフラインとオンラインを一体でプランニングすることで、投資対効果(ROI)は大きく変わります。単発の施策では得られない「体験の一貫性」をつくることが、ブランド浸透と購買促進につながります。
メディアプランニングはインハウス(社内)でやるべきか?代理店でやるべきか?
メディアプランニングは「誰が担うか」によって成果やスピードに大きな違いが出ます。近年は広告運用をインハウス(社内)で完結させる企業も増えていますが、代理店を活用する選択肢も根強く存在します。
インハウスと代理店のどちらが最適かは、企業のリソース状況や事業規模、求めるスピード感によって変わります。ここでは、それぞれの特徴を整理していきましょう。
インハウスでメディアプランニングを行う場合
インハウスで行う最大のメリットは、意思決定の速さです。営業や事業部と物理的・心理的な距離が近いため、施策を即時に反映しやすくなります。また、学習したノウハウやデータがそのまま社内に蓄積されるため、長期的には独自の強みとなるでしょう。
一方で課題となるのは、専門知識や人材不足です。広告運用の最新手法や複雑な媒体設計には一定の経験が必要であり、小規模チームではカバーしきれない場合があります。特に大規模キャンペーンやマルチチャネル戦略を展開する際には、限界を感じやすい点に留意が必要です。
代理店会社でメディアプランニングを行う場合
代理店を活用するメリットは、媒体交渉力や横断的な知見を持っている点です。複数の企業案件を扱っているため、最新の成功事例やトレンドに基づいた提案を受けられるのは大きな強みです。加えて、豊富な人材リソースを背景に、大規模かつ複雑な施策でも柔軟に対応可能です。
一方で、代理店ならではの課題もあります。社内の承認フローを経て調整を行うため、意思決定までに時間がかかるケースが少なくありません。また、プランニングや運用の知見が代理店側に蓄積され、自社にノウハウが残りにくいリスクも存在します。
メディアプランニングの考え方と計画の手順
メディアプランニングは、感覚的に進めるのではなく、再現性のある「型」どおりに進めることで、成果を生み出せます。目的や予算が曖昧なまま進めると、途中で方向性がぶれてしまい、効果検証も正しく行えません。
メディアプランニングの基本的なプロセスは、以下6ステップに大別できます。

手順1:目的を設定する
最初のステップは「何をもって成功とするか」を定義することです。広告の成果は売上げや利益に直結するケースもあれば、まずはリード数やブランド認知を積み上げることがゴールになるケースも存在します。
この点を曖昧にしたまま進めると、後の予算配分や効果測定がブレてしまいます。具体的には、「リード数を増やす」ことが目的なのに、短期売上げを基準に評価してしまえば、成果が正しく見えなくなるのです。
目的は大きく分けて以下の2種類に整理できます。
| 区分 | 指標の例 | 特徴 |
| 事業KPI直結型 | 売上げ来店数契約数解約率改善 | 直接的に経営成果と結びつく指標。広告施策の最終的な成果を測る軸となる。 |
| マーケKPI重視型 | リード獲得数認知度エンゲージメント率資料請求数 | 広告施策の中間的な成果を示す指標。将来的な事業成果につながるプロセスを評価する。 |
最初にどちらを重視するのかを明示しておくことで、関係者の認識を揃えやすくなり、社内での合意形成もスムーズになります。
手順2:予算を決める
目的が定まったら、それを達成するために必要な投資額を算出します。ここで重要なのは「今年は使える予算が○○万円だから」といった積み上げ式ではなく、目標達成に必要な投資を逆算する発想です。
逆算の際に役立つ指標には次のようなものがあります。
- 目標CPA(顧客獲得単価):1件獲得するのにいくらかけられるか?
- 必要到達率や接触頻度:ターゲットの何割に、何回触れれば成果につながるか?
- LTV(顧客生涯価値):1人の顧客から長期的に得られる収益?
たとえば「半年で500件のリードを獲得する」という目標がある場合、1件あたりのCPAを想定し、必要な投資額を割り出します。こうした数字に基づいた設計をしておけば、経営層に対しても合理的に予算を説明できます。
手順3:ターゲットやカスタマージャーニーを明確化する
予算の大枠が決まったら、次は「誰に届けるのか」を具体化します。
単に「20代女性」「中小企業の経営者」といった属性だけでは不十分で、購買行動や関心領域まで踏み込んだ「理想の顧客像」であるペルソナの定義が必要です。

アプローチ対象を明確にしたら、その人が購入や契約に至るまでのカスタマージャーニーを整理します。「どの段階で広告を作用させるか?」を明確にすれば、媒体やクリエイティブの選定が一貫します。たとえば、認知フェーズでは動画広告やSNSを重視し、検討フェーズでは検索広告や比較サイトを活用するといった形です。

こうして上流から下流までの流れを意識して設計することで、ムダな出稿を減らし、効率的に成果創出につなげられるでしょう。
手順4:媒体を選定する
ターゲットとカスタマージャーニーが整理できたら、それに沿って適切な媒体を選びます。検索広告、SNS、ディスプレイ、動画、マス広告など候補は多岐にわたりますが、「何を目的に、どの段階で使うか」を意識しましょう。媒体選定の際には、あらかじめ「役割」と「期待KPI」を定義しておくと運用がブレにくくなります。
- 検索広告→検討フェーズ強化/期待KPI:CPA、CV数
- SNS広告→認知と関心喚起/期待KPI:リーチ、エンゲージメント率
- 動画広告→ブランド理解促進/期待KPI:視聴完了率、想起率
- マス広告→大規模認知獲得/期待KPI:到達率、検索リフト
このように役割を言語化しておけば、「なぜこの媒体に投資するのか」を社内外に説明しやすくなり、評価もスムーズになります。
手順5:配分を設計する
媒体が決まったら「予算をどのように振り分けるか」を設計する必要があります。この段階では「どの媒体に、どのくらいの比重を置くか」がポイントです。
配分を考える際は、次の視点を取り入れると精度が上がります。
- 到達率と頻度:十分なリーチと適切な接触回数を確保する。
- クリエイティブ疲労:同じ広告を流し続けると効果が薄れるタイミングを見込む。
- 限界効用:投入量が増えるほど追加効果が小さくなる点を見極める。
もちろん、最初から完璧な配分を決める必要はありません。仮説ベースで割り振り、実際の配信結果を見ながら柔軟に修正していく姿勢が大切です。その上でも、「どの条件になったら予算を増やす/減らすか」を事前に決めておくと、意思決定が速くなります。
手順6:測定・改善ルールを検討する
最後に「施策をどう評価し、次に活かすのか?」のルールを決めます。ここを曖昧にすると「施策を実行して終わり」になり、改善のサイクルが回りません。
評価指標は、短期と長期の両方を設定しておくのが理想です。
- 短期指標:CPA、ROAS、CTR、CVRなど即時性のある数値
- 長期指標:リードの質、LTV(顧客生涯価値)、継続率、ブランド想起率
また「どの期間で評価するのか」を明示するようにしましょう。キャンペーン施策は1〜2週間単位、ブランド施策は数か月単位で評価するなど、目的に応じた期間を設定します。測定ルールを明文化しておけば、改善内容を次回のプランニングに資産として活かせられますので、広告運用が経験頼みではなく再現性のあるプロセスを実現できます。
メディアプランニングの事例
理論や手順を学んでも、実際にどのように活用されるのかがイメージできなければ応用は難しいものです。
ここからは、実在する企業や組織のメディアプランニングの事例を紹介します。どのようにメディアプランニングを行ったかを整理して、自社の施策に活かしましょう。
事例①:米Dot IT社、データドリブンなメディアプランによりROI25%改善を達成
米国のデジタルマーケティング代理店Dot IT社は、クライアント企業に対してデータドリブンなメディアプランを構築しました。
市場調査を起点にターゲットがどのチャネルで情報収集を行っているかを分析し、その結果をもとに広告媒体を選定。その上で、オンライン広告・検索広告・ディスプレイ広告などを組み合わせ、段階的に展開するという流れです。
このメディアプランは「認知→検討→行動」というカスタマージャーニーに沿って設計され、各媒体の役割と配分が明確化されていました。結果として、広告費の無駄を抑えつつ効率を高め、ROI(投資収益率)は25%改善したとのことです。

(出典:Do IT「Media Planning Case Study」)
この事例は、ターゲット分析を基盤としたデータドリブンなメディアプランニングが、実務において高い成果を生み出すことを示しているでしょう。
事例②:米インディアナポリス大学、包括的なメディアプランにより入学候補者への認知を拡大
2つ目は、企業ではなく教育機関のためにメディアプランが活用された事例です。米国の広告代理店Williams Randall社は、インディアナポリス大学(University of Indianapolis)の学部生募集キャンペーンを支援するため、包括的なメディアプランを策定しました。
このプランでは、潜在的な学生とその保護者、進路選択に影響を与える関係者層を主要ターゲットに設定。オンラインディスプレイ広告、地理ターゲティング、検索広告、SNS広告といった複数チャネルを組み合わせ、認知から検討まで一貫した動線を構築しました。

(出典:Williams Randall「Case Study: An Integrated Media Plan that Delivered A+ Results」)
媒体ごとの役割を切り分け、効率的に予算を配分することで、キャンペーン期間中のランディングページ訪問数が大幅に増加。教育機関における学生募集でも、計画的なメディアプランニングが有効に機能することを示す事例となりました。
まとめ
メディアプランニングは、広告予算を分配するための作業に留まらず、経営の視点と広告運用の現場を結びつけ、再現性のある投資判断を可能にするフレームワークです。
効果的なプランニングを行うためには、事業KPIとマーケKPIを橋渡しする視点を持ち、媒体ごとの役割を明確にした上で予算を配分し、さらに短期効率と長期収益の両立を前提に設計することが欠かせません。こうしたプロセスを踏むことで、広告は単なるコストではなく、事業成長を牽引する投資として説明できるようになります。
広告運用担当者に求められるのは、施策を単発で回すことではなく「それを事業全体の中でどう位置づけるのか」を意識する姿勢です。日々のデータを蓄積し、仮説検証を繰り返して学びを次のプランニングへ還元する仕組みを持てば、変化の激しい広告環境においても安定的に成果を積み重ねられるでしょう。

大手ネット広告代理店に新卒で2006年に入社し、一貫して広告運用に従事。
緻密な広告運用をアルゴリズム化し、誰もが高い広告効果を得られるようShirofuneを2014年に立ち上げ。
2016年7月に国内No.1を獲得し、2022年までに国内シェア91%を獲得。
2023年から海外展開をスタートし、現在までに米大手EC企業や広告代理店への導入実績。
2025年3月に米国広告業界で最古かつ最大級の業界団体である全米広告主協会からMarketing Technology Innovator AwardsのGoldを受賞。





