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リスティング広告とディスプレイ広告の違いとは?特徴や注意点を踏まえた使い分け方を具体例で解説

戸栗 頌平

デジタル広告費の中でも大きな割合を占めているのが、リスティング広告(検索連動型広告)とディスプレイ広告です。

たとえば、米国では2024年のデジタル広告費約2586億ドルのうち、検索広告が約1029億ドル(39.8%)、ディスプレイ広告が743億ドル(28.7%)を占めるというデータが明らかに。

また、日本でも検索広告がインターネット広告費の約4割、ディスプレイ広告が約25%と、いずれも市場の中核フォーマットだといえるでしょう。

しかし、「どちらを使うべきか」「どう組み合わせるべきか」と悩むマーケターも少なくありません。

そこで本記事では、リスティング広告とディスプレイ広告それぞれの仕組みと役割の違い、費用対効果、具体的な使い分けパターンまでを体系的に解説します。

目的や顧客の状況に応じて両者を最適に活用し、デジタル広告キャンペーンの成果最大化につなげましょう。

リスティング広告・ディスプレイ広告とは

まず、リスティング広告とディスプレイ広告の全体像を整理してみましょう。

リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンで入力したキーワードに連動して検索結果ページ(SERP)上に表示されるテキスト広告です。

一方、ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ上で表示されるバナー画像や動画などのビジュアル広告を指します。

どちらもクリック課金型(PPC)で配信され、GoogleではそれぞれSearch Network(検索ネットワーク)Display Network(ディスプレイネットワーク)という別個の配信ネットワークで運用されています。そのため、広告主はキャンペーン作成時に検索広告用とディスプレイ広告用でネットワークを選択する必要があります。

ここからは、両者の配信の仕組みや狙えるユーザーの違いを詳しく解説していきます。

リスティング広告の定義と配信の仕組み

リスティング広告(検索広告)とは、ユーザーが検索エンジン(例:Google)で特定のキーワードを検索した際、検索結果ページにテキスト形式で表示される広告です。

広告主はあらかじめ入札キーワードと入札単価、広告文を設定し、ユーザーの検索クエリにマッチした場合に広告オークションに参加します。

オークションは、入札額と広告の品質スコア(広告の関連性や想定クリック率、ランディングページの体験品質などの指標)に基づく広告ランクによって、表示順位が決定される仕組みです。

また、広告が掲載される位置は通常、検索結果の上部(トップ枠)または下部(ボトム枠)であり、広告であると明示されたテキスト枠に表示されます。

リスティング広告はクリック課金制(CPC)モデルのため、広告が表示されるだけでは費用は発生せず、ユーザーにクリックされた場合に初めて課金されます。

また、Googleの場合は検索連動型広告が自社検索だけでなく、検索パートナーのサイト(Googleと提携した他社の検索サイトやGoogleマップなど)にも表示される仕組みです。配信面は検索結果を中心に限られた範囲となっています。

リスティング広告で狙えるユーザーの特徴

リスティング広告は、主に「顕在層」を捉える広告フォーマットだといえます。理由は、「特定のキーワードを検索している=何らかの課題やニーズを自身の中ですでに自覚できているユーザー」であると考えられるためです。

つまり、購買ファネル上では「検討~比較・購入段階」に近いユーザーが多く、平均CTRやCVRはディスプレイ広告に比べて高い傾向にあります。具体的なデータでは、検索ネットワークの平均CTRは約6.6%、ディスプレイネットワークは0.5%台です。また、検索広告は高い意図を持つユーザーを捉えるため、CVRがディスプレイより7倍程度高いというデータも。

リスティング広告では「比較検討・購買の後押しになる情報を能動的に求めているユーザー」をターゲットにすることで、ディスプレイ広告とCTRやCVRに大きな差が出てくると考えられます。

このことから、BtoB領域では課題解決に向けた情報収集フェーズで有効だといえるでしょう。具体的なキーワードの一例としては、「給与計算代行 サービス 資料請求」「法人向けオンラインストレージ 無料トライアル」などが挙げられます。

比較検討中のユーザーが、購買の決め手となる情報を能動的に探しているシチュエーションを想定し、ユーザーを捉えられるようなキーワードを設定することが、広告成果を挙げるためのポイントとなるでしょう。

ディスプレイ広告の定義と配信の仕組み

ディスプレイ広告とは、ニュースサイトやブログ、動画サイト(YouTubeなど)、メールサービス(Gmail)等のコンテンツページを閲覧しているユーザーに対し、バナー画像やレスポンシブ広告、動画広告などの形式で配信される広告です。

Googleにおけるディスプレイ配信の代表例であるGoogle Display Network(GDN)は数百万以上の提携サイト・アプリで構成されており、世界のインターネットユーザーの約90%にリーチできる巨大なネットワークです。

広告主はキャンペーンのターゲティング設定(例:年齢・性別、興味関心、トピック、プレースメント指定など)や入札戦略(例:コンバージョン単価目標)を調整することで、配信するユーザー層や媒体をある程度コントロールできます。

ユーザーの属性や行動履歴にマッチした枠に広告が表示されるため、検索広告のようにユーザーからの能動的な検索行動を伴わなくても、広告主側から能動的に潜在顧客へリーチ可能です。

また、GDN全体では毎月数兆回規模のインプレッション(広告表示)が発生しており、広告主はその中から自社のターゲットに近いオーディエンスへ効率的に広告露出を配分できる仕組みです。

ディスプレイ広告で狙えるユーザーの特徴

ディスプレイ広告は、検索していない状態のユーザー、つまり、まだ課題やニーズが明確でない潜在層や、情報収集中の準顕在層に対して大量リーチできるフォーマットだといえます。

コンテンツ閲覧中の「ながら状態」にあるユーザーに接触するため、クリック率・コンバージョン率はリスティング広告と比較して低めになりますが、画像や動画といった視覚情報による想起やブランド認知には優れています。

加えて、興味関心や行動履歴に基づくオーディエンスターゲティングにより、テーマや趣味嗜好で絞り込んだユーザーにリーチできる点も強みです。

ディスプレイ広告の平均CTRは1%未満、平均CVRは0.5〜1.5%台がひとつのベンチマークであり、検索広告と比べてCPCは大幅に低くなります。マーケティングファネルの上流にいるユーザー(=ブランドと接触したばかりのユーザー)が多く、潜在層・準顕在層を狙うためのフォーマットだといえるでしょう。

また、GDNに関する「世界のインターネットユーザーの90%にリーチできる」というデータを踏まえると、大量露出によるブランド想起形成に向いている点も特徴です。

リスティング広告とディスプレイ広告の主な違い

この章では、リスティング広告(検索広告)とディスプレイ広告の違いについて以下の5つの観点で整理します。

  • 「プル型 vs プッシュ型」(ユーザーへのアプローチ方法)
  • 「掲載場所」
  • 「広告クリエイティブ形式」
  • 「ターゲティング手法」
  • 「平均的な費用対効果」
比較軸特徴想定されるユーザーの意図や行動CTRCVR
ユーザーへのアプローチ方法の違いリスティング広告=プル型広告課題解決を求めている、ニーズを自覚している
ディスプレイ広告=プッシュ型広告潜在的に興味があるが、まだニーズを自覚してはいない
掲載場所リスティング広告=主に検索エンジンの結果ページユーザーが能動的に情報を探している瞬間に露出できる
ディスプレイ広告=多様なWeb媒体ユーザーが他のコンテンツを閲覧している様々な場面に露出を行う
広告クリエイティブ形式リスティング広告=文字情報のみで構成ユーザーは広告コピーに惹かれる訴求するクリエイティブ次第でテキストが優位な場合もあれば、視覚情報が優位な場合もあると想定される
ディスプレイ広告=画像・動画など多様なフォーマットユーザーは視覚情報に惹かれる
ターゲティング手法リスティング広告=キーワードベースのターゲティングユーザーの検索クエリとマッチするかどうかで広告を露出ユーザーが今まさに求めている情報とマッチすれば引きつけられる
ディスプレイ広告=オーディエンスベースのターゲティングユーザーの興味関心や行動とマッチするかどうかで広告を露出ユーザーの興味関心や過去の行動とマッチすれば惹きつけられるリマーケティングは顧客獲得率を上げるために有効
平均的な費用対効果検索広告=CPCは高いもののコンバージョン率(CVR)も高い購買意欲の高いユーザーからのコンバージョン獲得に直結しやすいため、予算対効果が見合いやすい
ディスプレイ広告=CPCが安い代わりにCVRは低い1クリックのコスト自体は低いため大量トラフィックを獲得しやすいが、その中からコンバージョンに至る割合は低めであり、直接的な費用対効果では見劣りするケースが多い

ユーザーへのアプローチ方法の違い(プル型 vs プッシュ型)

まず、両者で以下のような大きな違いがあります。

検索広告:ユーザーが自ら検索して情報を引き寄せる=プル型広告ディスプレイ広告:コンテンツ閲覧中のユーザーにこちらから広告を押し出す=プッシュ型広告

つまり、検索広告は課題解決を求めているユーザーの「今、この瞬間」の需要を捉え、ディスプレイはまだ顕在化していないニーズや潜在的興味を喚起する役割が強いといえます。

具体的には、マーケティングファネル上部で「認知」の段階にいるユーザー、つまり、企業やブランドと初めて接触し、これから知ってほしいユーザーにアプローチしたい際にはディスプレイ広告を利用するとよいでしょう。

一方、「◯◯県内で会計業務のサポートを受けられる会計事務所を探している」など具体的なニーズを自覚しているユーザーを引き付けたい場合には、リスティング広告を利用するのが適していると想定できます。

広告の掲載場所・媒体の違い

リスティング広告(検索広告)は、主に検索エンジンの結果ページに表示されます。ユーザーが検索クエリを入力し、検索結果が表示されるタイミングで、結果ページの上部または下部にテキスト広告枠が現れます。

表示面は検索サイト内(および一部検索パートナーサイト)に限られるため、広告がユーザーに届く文脈は「ユーザーが能動的に情報を探している瞬間」です。

一方、ディスプレイ広告は多様なWeb媒体に配信可能です。ニュースサイト、ポータルサイト、専門ブログ、SNSアプリ、動画プラットフォーム(YouTube)、Webメール(Gmail)など、インターネット上の幅広い場所にバナー広告や動画広告が表示されます。

特にGoogleのGDNは、YouTubeやGmailを含む数百万以上のサイト・アプリを網羅し、全世界インターネットユーザーの90%以上に到達しうる膨大な媒体ネットワークです。

つまり、検索広告はユーザーが検索という行為をしている検索エンジン上でのみ露出されるのに対して、ディスプレイ広告はユーザーがコンテンツを閲覧しているさまざまな場面に露出するという違いがあります。

同じ広告でも、ユーザーが目にするシチュエーション(文脈)が「検索中」か「情報閲覧中」かによって、広告への反応率や受け取られ方が大きく異なる点に注意が必要です。

広告クリエイティブ(フォーマット)の違い

リスティング広告(検索広告)は、文字情報のみで構成されたテキスト広告です。見出し(タイトル)・説明文・表示URLなどのテキスト要素のみで訴求し、画像や動画など視覚的な要素は含まれません。

一方、ディスプレイ広告は静止画像バナー、レスポンシブ広告、動画広告、リッチメディア広告など多様なフォーマットに対応しています。

つまり、フォーマットの自由度という点では、ディスプレイ広告の方がサイズや表現形式を柔軟にコントロールできます。それに対して検索広告は、文字情報に限定される点が特徴です。

この違いから、検索広告はユーザーに伝えたいメッセージ(オファーや訴求ポイント)を簡潔なテキストで届けることに長け、ディスプレイ広告はビジュアルによるブランド体験や直感的な印象付けに長けています。

たとえば、検索広告では「〇月限定セール実施中」「今すぐ無料資料ダウンロード」といった具体的なテキストでユーザーの興味を引きます。一方でディスプレイ広告では、製品の写真やブランドイメージ動画を見せてユーザーの記憶に残す、といった役割の違いがあります。

ターゲティング手法の違い(キーワードターゲティング vs オーディエンスターゲティング)

リスティング広告では、ユーザーが入力する検索キーワードに基づいて広告が表示される「キーワードターゲティング」が基本です。

一方、ディスプレイ広告では、興味関心や閲覧行動、デモグラフィック、リマーケティングなど「オーディエンスベースのターゲティング」が中心となります。

たとえば、横浜市内に拠点を構える会計事務所が「横浜市 中小企業 確定申告」といったキーワードを狙ってリスティング広告を出稿することで、同様の検索を行っているユーザーにアプローチでき、近隣の会計事務所を探している見込み顧客を引き付けやすくなるでしょう。

一方、ディスプレイ広告を出稿する場合には、先に述べた通り興味関心、閲覧行動、リマーケティングなど「オーディエンスベースのターゲティング」を利用できる点が強みです。

つまり、「企業会計についてナレッジを探している経理担当者が見るメディア」を狙ってディスプレイ広告を配信することで、会計事務所について具体的に自社を知ってもらえるきっかけになると想定されます。

また、リマーケティングを活用すれば、一度自社サイトを閲覧したことがあるが、資料請求や問い合わせに至らなかったユーザーに再アプローチする、といった手法も有効でしょう。リターゲティング広告の平均クリック率は0.7%、クリックしたユーザーはコンバージョンして顧客になる可能性が70%も高くなるというデータもあります。

費用対効果(クリック単価・コンバージョン率等)の違い

平均的な傾向として、検索広告はクリック単価(CPC)は高いもののコンバージョン率(CVR)も高く、ディスプレイ広告はCPCが安い代わりにCVRは低いという違いがあります。

最新のベンチマークデータでも、全業種平均で検索広告のCVRが約4%台、ディスプレイ広告は0.5%前後と数倍の開きがあり、一方で平均CPCは検索広告が約2.4ドル、ディスプレイ広告が0.6ドル程度とディスプレイの方が大幅に安価です。

つまり短期的に「1件あたりの獲得効率」を求めるなら検索広告が有利ですが、低コストで幅広くリーチを拡大したいならディスプレイ広告が適しているともいえます。

ただし最終的な費用対効果は業種や商材、ターゲットによっても異なり、また広告の運用次第で改善可能な点にも留意が必要です。

検索広告はクリック1回あたりのコストは高いものの、購買意欲の高いユーザーからのコンバージョン獲得に直結しやすいため、予算対効果が見合いやすい傾向があります。

一方ディスプレイ広告は1クリックのコスト自体は低いため大量トラフィックを獲得しやすいですが、その中からコンバージョンに至る割合は低めであり、直接的な費用対効果では見劣りするケースが多いです。

ただし、ディスプレイ広告経由で接触したユーザーが後日検索や他チャネルで最終コンバージョンする、といった間接効果(アシスト効果)もあるため、単純な数値比較だけで優劣判断すべきではありません。

つまり、両者の特性を理解した上で、マーケティングファネルのどの段階を強化したいかによって使い分けることが重要です。

リスティング広告のメリット・デメリット

この章では、リスティング広告ならではの強みと注意すべき弱点を整理します。

具体的に「どういったビジネスや状況で特にそのメリットが活きるか」もしくは「デメリットが顕在化しやすいか」にも触れながら、リスティング広告活用のポイントを解説します。

リスティング広告のメリット

①高い意図を持ったユーザーを捉えやすくコンバージョン率が高い 

リスティング広告は商品やサービスを自ら検索している顕在層ユーザーにリーチできるため、コンバージョン率が高い傾向があります。

平均CVRは業種横断で「3〜6%前後」とされており、これはディスプレイ広告の「0.5%前後」を大きく上回ります

購買意欲が高いユーザーをピンポイントで捕捉できるため、クリックから問い合わせ・購買まで直結しやすく、リード獲得や売上げにつながる効果が期待できるのです。

②成果計測が容易でROIを改善しやすい

リスティング広告はクリックやコンバージョンといった成果が数値で明確に計測できるため、広告費に対する投資対効果(ROI)を把握・最適化しやすいのもメリットです。

コンバージョン計測タグを活用すれば、どのキーワード・広告文が何件の成果を生んだかを把握できます。

これにより、成果の良い要素に予算を重点配分し、悪い要素は修正・停止するといったPDCAサイクルを高速で回すことが可能です。

デジタルマーケティング全体で見ても、検索広告は特に測定可能性と最適化の余地が高いチャネルといえます。

③少額予算からテスト運用しやすい

リスティング広告は1クリックあたり数十〜数百円程度から入札設定でき、日予算も自由に設定できるため、広告費が限られる場合でもスモールスタートしやすい施策です。

たとえば月数万円規模の予算でも、絞り込んだキーワードでテスト運用して効果検証し、成果に応じて徐々に予算を増やすような柔軟な展開が可能です。

これは最低出稿金額が高額になりがちなマス広告やアフィリエイトとは対照的で、中小企業や予算制約のあるプロジェクトでも取り組みやすい利点として挙げられます。

④高速な改善サイクルで成果を最大化できる

キャンペーンや入札単価、広告クリエイティブ(広告文)はリアルタイムで編集・改善が可能なため、短期間で効果を高められるのも強みです。

たとえば週単位・日単位で検索クエリの成果を分析し、無駄なクリックの多いキーワードを除外したり、クリック率の低い広告文を差し替えたりできます。

クリックやコンバージョンのデータが即時に蓄積されるので、小さなPDCAを回しながら数週間〜数カ月で広告効率を大幅に改善することも十分可能です。

迅速なテストと改善が成果に直結する運用型広告ならではのメリットといえるでしょう。

リスティング広告のメリットが活きやすいビジネス例

即時性が求められるサービスや明確な課題解決ニーズがある商材では、検索広告のメリットが最大限発揮されます。

たとえば「水道修理」「鍵開け」など緊急性の高いサービス業種、また「BtoBのリード獲得(企業担当者が、自社の課題を解決するソリューションを求めて検索している状況)」などでは、検索経由の問い合わせが成果に直結しやすく、高い投資対効果を示すでしょう。

こうした領域では検索ニーズ自体が確実に存在するため、少額のクリック費用でも高確率でコンバージョンにつながると期待でき、結果的にROIが良好になるケースが多いです。

リスティング広告のデメリット・注意点

①競争の激しいキーワードはCPCが高騰しやすい

人気の高いキーワード領域では広告主間の入札競争が激化し、1クリックあたりのコストが非常に高くなる傾向があります。

一般的なGoogle検索広告の平均CPCは1〜5ドル程度といわれますが、法律・保険など競合の多い業界では1クリック数十ドル(数千円)に達する例も。そのような場合、小規模予算では予算消化が早いため配信量を確保しにくく、費用対効果も合いづらくなります。広告費の大半がクリック単価に消えてしまい、十分な成果件数を確保できないリスクがある点に注意が必要です。

②検索ボリュームへの依存(ニッチ領域では露出機会が限定) 

ユーザーが検索しないキーワードでは広告を配信できないため、新しいコンセプトの商品やニッチすぎる商材では、そもそも検索広告で十分なインプレッションを得られない場合があります。

たとえば市場にまだ認知がない革新的製品や、専門性が高く一般には知られていないサービスだと、関連キーワードの検索数自体が少なく広告表示機会が限られます。

このように検索需要に依存するフォーマットゆえの制約があり、「検索されるほど認知が広がってからでないと、広告効果を発揮しにくい」という側面があります。

③テキスト広告のみのため訴求表現に限界がある

視覚的要素を伴うディスプレイ広告と異なり、検索広告は文章だけで勝負する必要があります。

商品やブランドの魅力を画像・動画で伝えたい場合、テキストだけでは限界があり、ユーザーに十分な印象付けができないことがあります。

特にデザイン性が訴求ポイントとなるファッション・インテリア商材や、視覚的インパクトが重要なブランディング施策では、テキスト中心の検索広告だけでは情報量が不足しがちです。

ブランド体験や世界観を伝えるには不向きなフォーマットである点はデメリットといえます。

④入札やキーワード設定次第では無駄クリックが発生しやすい 

適切でない運用を行うと、費用対効果が大きく悪化し得る点にも注意が必要です。

たとえばキーワードのマッチタイプ設定を誤ると、意図しない検索語句に広告が表示され、不要なクリック費用を浪費する可能性があります。

また、入札額の調整ミスで必要以上に高単価を支払ってしまったり、的外れなキーワード選定で見込みの低いユーザーばかり集めてしまったりと、運用ミスがダイレクトに無駄なコストにつながりやすい側面も。

検索広告は成果が明確に測れる反面、注意深く管理しなければ「知らない間に広告費を消耗していた」という事態になりかねません。

常に検索クエリレポートを確認し、除外キーワード設定や入札戦略の見直しを行うなど、きめ細かな運用が求められます。

リスティング広告のデメリットが顕在化しやすいビジネス例

競合が多いレッドオーシャン市場や、検索量が極端に少ないニッチ市場では、リスティング広告の弱点が表れやすくなります。

たとえば「不動産」「クレジットカード」など、クリック単価が非常に高騰しがちな業界では、大企業が巨額の入札をする中で、中小企業の少額予算が埋もれてしまう懸念も。

また、世界にもほとんど類似製品がないような新規カテゴリ商品では、検索広告でユーザーにリーチすること自体が難しく、ディスプレイ広告やSNS広告など他チャネルで認知醸成を行って、検索需要を創出する施策が必要になるでしょう。

ディスプレイ広告のメリット・デメリット

続いて、ディスプレイ広告の強みと弱みも整理しましょう。

特にディスプレイ広告を効果的に活用するには、リマーケティングを含めた設計が重要です。

単に新規ユーザーへ闇雲に配信するのではなく、サイト訪問者へのフォローや類似オーディエンスへの配信と組み合わせることが成功の鍵になります。

ディスプレイ広告のメリット

①非常に広いリーチを安価なCPCで獲得できる

ディスプレイ広告は、GDNをはじめとして極めて広範囲のユーザーにリーチできます。

先述の通り、GDNだけでも世界のインターネットユーザーの約90%に到達可能です。加えてFacebookなど他のディスプレイ系チャネルも含めれば、オンライン上でほぼ網羅的なカバレッジが得られます。

その膨大なインプレッションを、比較的低いクリック単価で購入できるのが最大の強みです。Googleの平均ではディスプレイ広告のCPCは「約0.6ドル」と、検索広告(約2.6ドル)の4分の1以下に留まるとのデータもあり、限られた予算でより多くの潜在顧客との接点を持ちやすいといえます。

特に新規顧客層の開拓や認知度向上を狙うフェーズでは、この「安価に大量露出できる」メリットが大きな武器となります。

②ビジュアル訴求によりブランド認知・想起を高めやすい

ディスプレイ広告は画像や動画といった視覚情報を使えるため、ユーザーの記憶に残るインパクトを与えやすいです。

静止画バナーで製品の魅力的な写真やブランドロゴを繰り返し露出したり、動画広告でブランドストーリーを伝えたりすることで、ユーザーの潜在的な興味喚起やブランド想起の形成に寄与するでしょう。検索広告のテキストだけでは伝えきれない製品の質感・使用シーンなども、ビジュアルなら直感的に伝達可能です。

特にブランド認知度が低い段階では、ディスプレイ広告によるイメージ浸透が効果的で、検索需要の発生(指名検索の増加)につなげる役割も期待できます。

③高度なオーディエンスターゲティングが可能(リマーケティング等) 

ディスプレイ広告はユーザーの興味関心、閲覧履歴、デモグラフィック情報などに基づいて細かいターゲティングができる点も強みです。

たとえばサイト訪問履歴を元にした「リマーケティング」や、サイトの既存利用者と似た興味関心を持つと想定される「類似ユーザー(Lookalike)」への配信、特定の興味関心カテゴリやカスタムセグメントへの配信など、多彩なアプローチがあります。

特にリマーケティングでは、通常の新規向けディスプレイ配信と比べてクリック率・コンバージョン率が飛躍的に向上するケースが多く、あるデータではリマーケティング広告は通常のディスプレイ広告より76%もクリックされやすく、コンバージョン率も約70%高くなると報告されています。

このように、一度自社に関心を示したユーザーに対して追撃できる点は、ディスプレイ広告ならではの大きなメリットです。

④他チャネルと組み合わせることでフルファネル戦略が可能 

ディスプレイ広告は単独でも効果がありますが、検索広告やSNS広告など他チャネルと組み合わせることで、顧客の購買ファネル全体をカバーする戦略が取りやすいです。

たとえばディスプレイ広告で潜在層にブランドを刷り込み、興味を持った人が検索してきたら検索広告で刈り取る、という連携プレーが可能です。

また、ディスプレイ広告でサイト訪問者にリマーケティングしつつ、メールやSNSで別角度からフォローするなど、一貫したマルチチャネル接点を構築できます。

検索広告はどうしてもユーザーの能動行動が前提ですが、ディスプレイ広告を組み合わせれば受動的なユーザーにもアプローチできるため、マーケティング施策のカバー範囲を広げられるのもメリットです。

ディスプレイ広告のメリットが活きやすいビジネス例

認知拡大が課題の新商品ローンチや、購買フェーズの前段階で比較検討を促したい商材ではディスプレイ広告の強みが発揮されます。

たとえば市場参入直後のブランドの場合、ディスプレイ広告で大規模露出しブランド名や製品特徴をターゲット層に覚えてもらうことで、その後の検索数増加やSNS言及増加につなげられます。

また、ECサイトで商品を閲覧したものの離脱したユーザーに追跡バナーを見せて購入を促す手法(リマーケティング)は、多くの業種でコンバージョン改善に寄与しています。

大規模な母集団に薄く広くリーチして興味喚起する役割や、他チャネルで取りこぼしたユーザーを再エンゲージメントする役割として、ディスプレイ広告は様々なビジネスで有効です。

ディスプレイ広告のデメリット・注意点

①ユーザーの受動状態ゆえCTR・CVRが低く直接成果は出にくい 

ディスプレイ広告はユーザーが何かを調べている積極的なタイミングではなく、コンテンツ閲覧の合間に表示されるため、どうしてもクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)は低い傾向があります。

平均CTRは概ね0.1〜0.5%程度とされ、検索広告の数%台と比べると桁違いに低い水準です。

加えてCVRも0.5%前後と低く、直接そのクリックから成約に至るケースは稀です。

したがって、ディスプレイ広告単体で短期的な成果(コンバージョン)を大量に獲得しようとすると、期待外れになりやすい点に注意が必要です。

基本的には、ディスプレイ広告は潜在層の興味喚起や中長期的なリード育成に向いており、直接的な獲得は検索広告やリスティング以外のチャネルに委ねる設計が望ましいでしょう。

②広告の出稿頻度やクリエイティブによってはユーザーに嫌われる

ディスプレイ広告は露出頻度が高いため、適切にコントロールしないと、ユーザーから「しつこい」「鬱陶しい」と感じられ、ブランドイメージを損なうリスクがあります。

特にリマーケティングで同じユーザーに何度も広告を表示しすぎると、逆効果になりかねません。ひとつの目安として、同じユーザーに対して週2〜3回程度の露出に留めるのが適切といわれています。それ以上は「広告疲れ」を起こしクリック率が大幅に低下したり、広告ブロックの対象にされたりする恐れがあります。

またクリエイティブの内容も重要で、あまりに刺激的すぎる表現や不快感を与える画像は敬遠されます。「気付かれない」こと以上に「嫌われる」ことがディスプレイ広告では致命的になり得るため、頻度キャップの設定やクリエイティブ品質の管理には細心の注意が必要です。

③配信面の品質・ブランドセーフティの問題 

ディスプレイ広告は配信面(広告が掲載されるWebサイトやアプリ)が多岐にわたるため、中にはブランドにふさわしくないコンテンツ(たとえば、極端な政治的主張サイトや低俗なコンテンツ)も含まれ得ます。

広告ネットワーク任せにしていると、そうした媒体にも自社広告が表示され、ブランドイメージを既存するリスク(ブランドセーフティ問題)が生じます。

これを防ぐには、業種によってはあらかじめ除外すべきサイトをブラックリスト設定することや、アダルト・ギャンブル等不適切カテゴリーを除外設定することが重要です。

また、広告が表示されてもユーザーに全く見られないような低品質サイト(いわゆるメイドフォー広告サイト=デジタル広告収入を得ることだけが目的のサイト)を除外する工夫も必要でしょう。

ディスプレイ広告運用では配信レポートを確認し、場合によってはプレースメント単位で掲載面を精査・除外するなど、配信先の品質管理を行うことが求められます。

④成果への貢献度が見えにくく評価が難しい

ディスプレイ広告は直接コンバージョンにつながりにくいため、他施策への貢献度合いを測定しなくては正当な評価が困難です。

たとえばディスプレイ広告経由ではコンバージョン「0」でも、実はその広告を見たユーザーが後日検索して購入している、といったケースは少なくありません。

「広告を見たけれどクリックしなかったユーザーの行動変化」を捉えにくく、隠れた課題になりやすいともいえます。

これを解決するには、ビュースルーコンバージョン(視聴ベースの効果計測)の活用、ブランドリフト調査を行って「広告曝露群 vs 非曝露群」の指名検索数や認知度の差を測定したりする方法があります。

ディスプレイ広告の効果は数字に直接現れにくいため、裏で効いている効果も含めて総合的に判断する視点が必要です。短期的な指標だけで「意味がない」と切り捨ててしまうと、中長期で得られる成果を逃す可能性がある点に留意しましょう。

ディスプレイ広告のデメリットが顕在化しやすいビジネス例

即時のCPA(顧客獲得単価)目標が厳格に定められているキャンペーンや、予算対効果を短期間で証明する必要がある施策では、ディスプレイ広告の低CVRゆえに評価が難しい傾向があります。

特にスタートアップなどで「◯カ月以内に◯件のコンバージョンを獲得する」ことが至上命題となっている場合、時間のかかる認知醸成よりも即効性の高い検索広告やSNS広告に集中すべきケースもあるでしょう。

また高級商材やイメージ訴求が重要な商材では、誤った配信面に広告が出てブランド価値を毀損するリスクも相対的に高く、そうした企業はディスプレイ広告の掲載面を厳しく管理するガイドラインを設けています。

リスティング広告とディスプレイ広告の使い分け具体例

ここからは、代表的なビジネスシーンごとに「リスティング広告とディスプレイ広告のどちらを優先すべきか」「どう組み合わせるべきか」の具体例を解説します。

  • 新商品のローンチ
  • 期間限定キャンペーンの集客
  • 長期的なブランド認知向上
  • ニッチターゲットへの訴求
  • 顕在層ユーザーの効率獲得
  • サイト訪問者へのリマーケティング
  • 少額予算での効率運用

上記で挙げたような、現場でよく直面するシナリオごとに両フォーマットの役割分担と活用ポイントを示していきます。

それぞれのケースで、どちらの広告に比重を置くべきか、また両者をどう連携させると相乗効果を得られるかを具体的に見ていきましょう。

新商品・新サービスの認知拡大を図りたい場合

まだ市場で認知されておらず、検索ボリュームもほとんどない新商品・新サービスの場合、まずはディスプレイ広告(特にGDNやYouTube)で関連トピックに関心を持つオーディエンスへの認知拡大から始めるのが有効です。

そのうえで、ブランド名やカテゴリ名での検索が増えてきた段階でリスティング広告に予算をシフトする、という流れが効果的といえます。

ディスプレイ広告は、商品・サービスやブランドについて、まだ全く知らない人に対して、ブランドの存在や世界観を視覚的に訴求し、興味を持ってもらうきっかけとして有効です。自社サイトのファーストパーティデータから、自社のユーザー像を明らかにし、似た興味関心や属性を持つオーディエンスに向けてターゲティングを行うとよいでしょう。

一例として、旅行のスーツケースの中身を圧縮・整理収納するための革新的な商品「パッキングキューブ」を販売している「Bagali」という企業は、Amazonのサイト内にディスプレイ広告を出して、旅行用品を探している人にまずは視覚的に製品の利便性を知ってもらい、比較検討対象に挙げてもらうという施策を実施しました。

「商品の存在を知れば、利便性が理解できる」「しかし、そもそも旅行用品を探している人全員が『パッキングキューブ』という商品名を知っているとは限らない」という状況下で、まずは視覚的にブランドを訴求することで、ディスプレイ広告の施策がうまくいった事例です。

期間限定キャンペーン・セールを告知したい場合

期間や数量が限られたセールやキャンペーンで、短期間に売上げや申込を最大化したい場合は、今まさに商品名やカテゴリ名で検索している顕在層を狙うリスティング広告を主軸に据えるのが効果的です。

検索広告なら「〇月限定セール開催中」「公式サイト限定〇%OFF」など強力なオファーを広告文に盛り込み、今すぐ購入意欲のあるユーザーを逃さずサイトに誘導できます。

一方でキャンペーン期間中には並行してディスプレイ広告も活用し、広く認知とリマインドを行うと相乗効果があるでしょう。

たとえばセール期間の日付や割引率を大きく記載したバナーデザインを作成し、ターゲットユーザーに繰り返し表示することで「現在セール中である」ことを刷り込みます。特に開始直後と終了直前にはカウントダウン要素を入れたクリエイティブで緊急度を演出すると効果的です。

実際、季節商品や短期キャンペーンでは検索広告が即時の売上獲得に高い効果を発揮することが多く報告されています。検索経由の平均CVRが高い(場合によっては4〜5%を超えることもある)ため、セールのように限定期間で成果を最大化したい場合に検索連動型に予算を厚く配分するのは合理的です。

ただし検索広告だけではリーチできない層へ認知を広げたり、購買を迷っているユーザーの背中を押したりする役割にディスプレイ広告を使う意義も大きいです。

「検索+ディスプレイの併用」で短期キャンペーンの成果を最大化した海外事例も多く、たとえばカウントダウンバナーを活用してキャンペーン終了前に駆け込み購入を促進したケースなどが報告されています。

短期決戦のプロモーションでは検索広告で顕在層を刈り取りつつ、ディスプレイ広告で潜在層への周知と購買意欲の喚起を行う組み合わせがベストプラクティスといえるでしょう。

長期的なブランド認知を向上したい場合

中長期的にブランド想起や好意度を高めたいケースでは、ディスプレイ広告(バナー・動画)を軸に、広告露出の頻度のコントロールとクリエイティブ刷新を行いながら、ブランドストーリーを伝えていく施策設計が有効でしょう。

この場合、検索広告はブランド名検索(指名検索)の取りこぼし防止や、キャンペーン連動時の受け皿として位置付けます。

そして、ディスプレイ広告の効果検証指標では、「ブランドリフト(ディスプレイ広告を見たことで、ブランドが好印象になったかどうかを尋ねる調査)」や、指名検索数の推移などを追跡していくとよいでしょう。

特にブランド認知を高めたい場合には、GDCの高リーチ力(インターネットユーザーの90%)を活かすことが推奨されます。GDNはブランド認知・想起向上に向いており、ブランドイメージの構築に有効です。CPCも配信面や業種によってはかなり低いため、低予算で一挙に大量露出し、認知を獲得したい場合に向いています。

ニッチなターゲット層へ訴求したい場合

ターゲットとする顧客層が非常にニッチで母数が小さい(例:特定の専門職、特定の趣味嗜好の人々、高級志向の富裕層など)場合には、ディスプレイ広告の緻密なオーディエンスターゲティング能力が活きてきます。

たとえば特定業界の専門職だけに訴求したい場合、その業界人が集まるコミュニティサイトや業界メディアに絞ってプレースメント配信する、といった方法が取れます(例:中小企業の経理担当者が見る金融メディアなど)。

あるいは、DSP(Demand-Side Platform)などを活用して、年収や購買履歴など細かなセグメント条件で配信対象を限定することも可能です。このようにディスプレイ広告は、特定の狭い層に無駄なくリーチする設計を組みやすいのが強みです。

一方で、そのニッチ層が関連情報を検索エンジンで探している場合もあります。たとえばBtoBの特殊な製造機械を探しているエンジニアや、希少な趣味用品を求めている愛好家などです。

そうしたユーザーが発する専門的な検索キーワードに対しては、リスティング広告を併用して確実に捕捉するべきでしょう。検索広告なら該当製品やサービスを探し求めている「顕在ニッチ層」を漏れなくサイトに誘導できます。

ディスプレイ広告で興味関心ターゲティングしているユーザーが、関連キーワードで検索して訪れるケースも考えられるため、両チャネルを補完的に使うのが理想的です。

さらに、Google広告の機能には「カスタムインテントオーディエンス」というものがあり、ディスプレイ広告で「特定の検索キーワードに近い意図を持つユーザー」をターゲティングすることもできます。

たとえば「高級腕時計 限定モデル」といった検索ニーズを持つユーザーを推定し、ディスプレイ広告を配信することが可能です。

これにより「本来は検索広告で捉えたいユーザー」をディスプレイ広告側でもカバーでき、ニッチ領域でも取りこぼしを減らせます。ニッチ層へのアプローチでは、ディスプレイ広告で層全体へ網をかけつつ、検索広告で今まさに能動的に動いている層を確実に拾う戦略が有効です。

活用例を具体的に見てみましょう。とても限定的な職種(特殊なエンジニア等)だけにリーチしたいBtoB商材の場合、業界専門サイトに限定配信のディスプレイ広告で露出し認知してもらいます。

その上で、興味を持った相手が製品名や課題キーワードで検索してきた際には、検索広告で逃さずキャッチし、詳細資料請求や問い合わせにつなげるという流れが考えられます。

また高価格帯のラグジュアリー商材では、富裕層が閲覧する富裕層向けメディアにディスプレイ広告を載せつつ、指名検索や類似製品検索が発生した際には検索広告で公式サイトへ誘導するといった組み合わせが有効でしょう。

ニッチ層ゆえにユーザー数は少ないものの、一件あたりの価値が高い場合、一点集中で質の高い接触を実現するために両フォーマットの使い分けが重要になります。

購入意欲の高い顧客(顕在層)の獲得を狙いたい場合

既に商品カテゴリ名や比較系キーワードで検索している顕在層を効率的に獲得したい場合、リスティング広告を主軸とするべきです。

理由は、「ニーズをすでにユーザー自身の中で自覚していて、今まさに商品・サービスへの接触を求めている」という人に対して、即時にアプローチが可能であるためです。

そのようなユーザーにうまく自社の広告を届けるためには、キーワード戦略が肝心です。ただし、商標や会社名は、入札NGが想定されます。

また、競合他社が指名検索を獲得しているキーワードは、キーワード調査ツールなどを活用することで簡単に調査が可能ですが、競合が多い場合には入札単価が高くなるデメリットもあります。

そのため「自社商品を広告露出したい」という場合に、どのようなキーワードにマッチすれば、コンバージョンに近いユーザーに広告を配信できるのか戦略を練ることが必要です。

加えて、キーワード戦略やリスティング広告の出稿だけではなく、広告から自社Webサイトに来てくれたユーザーを「問い合わせ」「資料請求」といったコンバージョンにつなげるためには、わかりやすいランディングページ整備の取り組みも不可欠です。

このように、「コンバージョンに近い顕在ユーザー」を掴む体制を整えておくことで、ディスプレイ広告の数倍は高いCVRを狙えるポテンシャルがあるのです。ユーザー体験の向上次第では、検索広告のCVRは5〜15%になるケースもあるほどです。

サイト訪問者を再度ターゲティングしたい場合

自社サイトに訪問したものの初回ではコンバージョンに至らなかったユーザーを、後日呼び戻したい場合には、ディスプレイ広告によるリマーケティング(リターゲティング)が極めて有効です。

一般にWebサイトを訪れたユーザーの約97%は初回訪問では購入や問い合わせなどのコンバージョンに至らないといわれます。また一度リマーケティング広告を見たユーザーの約26%がサイトに再訪するとのデータもあります。取りこぼしたユーザーに対して追跡広告を配信することで、再訪・再購入を促進できるのです。

具体的には、Google広告や各種DSPのリマーケティング機能を使ってサイトにタグを設置し、「商品ページまで見たがカートに入れなかったユーザー」「資料請求フォームを開いたが送信しなかったユーザー」等のリストを作成します。

そして、それらの見込み度が高いユーザーに絞ってディスプレイ広告を配信します。

これにより、初回訪問時には離脱してしまったユーザーにも再アプローチでき、購入や問い合わせの第二のチャンスを創出できます。

実際、リマーケティング広告の効果指標は非常に優れており、平均して通常のディスプレイ広告より76%もクリックされやすく、コンバージョン率も約70%向上するとの報告があります。また、一部の事例ではリマーケティング導入によりコンバージョン数が従来比+150%以上増加したケースもあるほどです。

運用上のポイントとして、リマーケティングリストのセグメント設計と配信頻度の管理が挙げられます。前者については、先述のようにユーザーのサイト上の行動に応じて細かくリストを分け、それぞれに適したクリエイティブを出すことが重要です。

たとえば、カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーには「カートに残っています」といったメッセージのバナーを見せる、といった具合です。

後者の頻度管理については、何度も広告を見せすぎると逆効果になるため、週2〜3回程度までに露出を制限するのがよいでしょう(フリークエンシーキャップの設定)。適切なリスト分類と頻度設定のもとでリマーケティングを実施すれば、ディスプレイ広告の中でもトップクラスに高い費用対効果が見込めます。

最後に、リマーケティングは他チャネルとも連携可能です。たとえばFacebookやInstagramのカスタムオーディエンス機能で同じリストに広告を出す、メールアドレスを取得しているならメールでフォローアップする、といった複合アプローチでさらなる効果向上も期待できます。

重要なのは、せっかくサイトに訪れて関心を示してくれたユーザーを一度で諦めないことです。ディスプレイ広告を活用して粘り強く再アプローチすることで、失われるはずだったコンバージョンを確実に取り戻すことができます。

広告予算が小さい・効率重視の場合

月数十万円以下など広告予算が限られている場合、リスティング広告とディスプレイ広告にどう配分すべきかを解説します。

一般論としては、購買意図の高いユーザーを狙える検索広告に予算を集中させることで、無駄なクリックを抑えやすくなります。一方で、クリック単価の低いディスプレイリマーケティングも、少額で併用する価値があるといえるでしょう。

段階的な拡張のステップとして、具体例に以下のようなプランも考えられます。

ステップ1リスティング広告のみ実行
ステップ2リスティング広告+ディスプレイ広告のうちのリマーケティング広告の組み合わせを実行
ステップ3予算の範囲内の規模で、ディスプレイ広告出稿による認知獲得施策を追加

アメリカのアドテク関連企業のブログでは「予算が1万ドル未満(日本円で約150万円未満)と小さい場合には、まず検索広告に集中すべき」という趣旨が述べられています。

検索広告のCPCは1.5〜8ドルディスプレイCPCは0.6ドル前後」といった値がひとつのベンチマークです。コンバージョンに近いユーザーにアプローチできるようキーワード戦略を万全に練り、ランディングページを整え、狙ったユーザーを確実に掴む(リスティング広告出稿費をできる限り無駄にしない)施策がまずは求められます。

加えて、ディスプレイ広告のリマーケティングはCPM・CPCが安く、少額でも一定のリーチとCVを狙えるため、リスティング広告施策の補助施策として追加するのも有効でしょう。

まとめ

本記事では、リスティング広告(検索連動型広告)とディスプレイ広告の違いを特徴・データとともに概観してきました。

大事なポイントは、「検索広告とディスプレイ広告のどちらが優れているか」ではなく、「自社の目的や顧客の状況に応じて適切に組み合わせること」です。

本記事の冒頭でご紹介した通り、検索広告とディスプレイ広告はいずれもデジタル広告市場の中核をなす主要フォーマットであり、マーケティングファネルの各段階で役割を分担することで費用対効果を得られると期待できます。

たとえば、新規顧客獲得には検索広告で確実に成果を拾いつつ、見込み顧客の醸成にはディスプレイ広告を使ってフルファネルでアプローチする、といったように両者を戦略的に使い分けましょう。

実際、多くの先進的なマーケターは検索+ディスプレイの併用が効果的だと示唆しています。

ぜひ本記事の内容を参考に、読者の皆様も自社の目標・予算・顧客フェーズに照らして最適な広告プランを策定してみてください。

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