
広告運用自動化ツールとは?Web広告業務の自動化ツールの種類と選定・比較のポイント、ツール例を紹介

- 菊池 満長
2025年2月に電通により公開された「2024年 日本の広告費」では「日本の広告費が3年連続で過去最高を更新」とありました。インターネット誕生より四半世紀が過ぎていますが、Web経由で見込み客と接点を図る企業の動きは留まるところを知りません。
それと共に、Web広告の運用ノウハウはかつてないスピードで複雑化しています。Google広告、Meta広告(旧Facebook)、X(旧Twitter)広告、DSPなど、複数チャネルを同時に運用することが当たり前になり、広告運用者は日々膨大な作業と向き合っているのではないでしょうか。
限られたリソースで成果を最大化するためには、単なる作業の繰り返しでは不十分で、「広告運用の自動化」による効率化を図る必要があります。
本記事ではその上で役立つ「広告運用の自動化ツール」について解説します。ツールの機能や比較のポイントに加え、代表的なツールをカテゴリ別に紹介しますので、広告運用の業務負担に悩む方はぜひお役立てください。
広告運用の自動化とは
そもそも広告運用の自動化とは、入札調整や予算配分、レポート作成など、本来手作業で行っていた広告運用の定型業務を、ツールやアルゴリズムによって自動的に処理することを指します。
広告キャンペーンを回す上で発生する作業には「日次での入札価格の微調整」「ターゲティング設定の更新」「複数媒体のレポート集計」など、時間を奪われやすい業務が多く存在します。これらを自動化することで、運用担当者は「数字を追う作業」から解放され、戦略立案やクリエイティブ改善といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。
特に、近年は優秀な広告運用人材の採用が難しくなっている傾向もあり、株式会社ベクトルデジタルの調査では316名の調査対象のうち約6割が「人材採用の難易度が上がっている」と回答しています。

(出典:キーマケLab「事業会社におけるWeb広告運用でのフリーランス人材の活用状況に関する調査結果」)
また、手動では対応が遅れがちなリアルタイムでのパフォーマンス変動にも、ツールを活用することで即座に対応が可能です。結果として、広告費の最適化だけでなく、ROAS(広告費用対効果)やCPA改善にも直結していきます。
広告運用自動化ツールとは
広告運用自動化ツールとは、広告キャンペーンの設定・運用・分析といった業務を効率化し、定型作業をシステム的に処理するためのソフトウェアやクラウドサービスを指します。
これまで広告運用者が人手で行ってきた入札調整、予算配分、レポート作成、成果のトラッキングといった業務を自動化ツールが代替することで、運用者は作業負荷を大幅に削減可能です。結果的に、高付加価値な戦略立案や施策改善に集中できるようになります。
近年は、GoogleやMeta広告などのプラットフォーム公式機能だけでなく、複数媒体を横断的に管理するSaaS型ツールも増え、API連携を活用してより柔軟な運用が可能になっています。
ツールの進化により、企業の広告運用は「手作業で管理する時代」から「仕組みで運用する時代」になったといえます。
広告運用業務を自動化するツールの種類
広告運用自動化ツールと一口にいっても、役割やカバーする領域・機能によっていくつかのタイプに分かれます。広告配信のどの工程を効率化したいかによって、導入すべきツールの種類や組み合わせは異なります。
一般的には、以下の4カテゴリに整理できます。

それぞれ個別にみていきましょう。
種類①:キーワード選定のツール
キーワード選定ツールは、広告配信で狙うべきキーワードやテーマを発見・分析するためのツールで、Googleキーワードプランナーが代表格です。リスティング広告やSEO連動型広告では「どのキーワードをターゲットに設定するか」が成果を大きく左右します。
これらのツールは検索ボリューム、競合性、関連キーワード、CPC(クリック単価)の目安などをデータとして提供し、効率的なキーワード戦略立案をサポートしてくれます。

(出典:Googleキーワードプランナー)
選定すべきキーワードは膨大にありますので、広告運用においてはまず最初に導入を検討すべきツールです。
種類②:広告運用ツール
広告運用ツールは、実際の広告配信における入札調整、予算配分、ターゲティング設定などの業務を自動化するツールです。複数媒体を横断的に管理し、入札ルールや配信スケジュールをあらかじめ設定しておくことで、24時間体制で広告の最適化を進められます。

運用者が設定したKPI(例:CPA、ROAS)に基づき、自動で入札変更や配信停止を行うことも可能です。そのため、手動管理では難しい「リアルタイム最適化」を実現できるのが大きな特徴といえます。
種類③:広告レポート作成ツール
広告レポート作成ツールは、複数の広告媒体のデータを一元化し、レポートやダッシュボードを自動生成するツールです。
Google AdsやMeta広告、DSPなど複数の媒体を運用している場合、レポート作成のためにデータをエクスポートし、ExcelやGoogleスプレッドシートで加工して表化やグラフ化をする作業が発生します。これをツールが代行することで、レポート作成のための作業時間を大幅に短縮できるのが大きなメリットです。

(出典:Lisket)
定型レポートをボタンひとつで生成できるだけでなく、KPIに応じたカスタムレポートを作成すれば、社内報告やお客様への提出までのタイムラグも大きく削減できます。
種類④:広告の効果測定ツール
広告の効果測定ツールは、配信した広告が実際にどれだけ成果につながったかを追跡し、数値化するためのツールです。代表的なGoogle Analyticsの場合、計測タグやAPIを活用してデータを収集します。広告主はこのデータをもとに、次の施策の最適化や広告配分の判断を行います。

(出典:AIアナリストブログ「【Googleアナリティクス(GA4)の使い方】最初に絶対マスターしておきたいポイント!」)
コンバージョン(例:購入・問い合わせ)やLTV(顧客生涯価値)を正確に計測することで、広告投資のROIやROASを分析し、改善に必要なインサイトを得られるでしょう。
広告運用自動化ツールの活用が重要なのか
広告運用は、年々複雑化するプラットフォームや増え続けるデータ量により「作業の多さ」と「判断の難しさ」が増している領域です。
Google広告やMeta広告(旧Facebook)だけでなく、DSPやX広告(旧Twitter)など複数チャネルを横断的に運用するのが当たり前になり、広告担当者は日々、入札調整・レポート作成・効果検証といった膨大な作業をこなさなければなりません。
こうした背景から、「人の手で全てを管理する」やり方では効率も成果も限界がきているのが実情であり、広告代理店・インハウスマーケターを問わず、自動化ツールの必要性も高まっているのだといえます。
それを踏まえると、自動化ツールの活用が重要な主な理由としては、以下のものが挙げられます。

それぞれ個別に解説します。
作業の負荷を削減し、戦略立案に注力できるため
広告運用の現場で毎日・週単位で繰り返す大量のルーティン作業は、もちろん確認を通してPDCAを回していくという重要な点があります。その一方で、運用担当者の時間を奪ってしまうことや、定型の作業のため「あえて人がやる意味」も薄い可能性も潜んでいます。
自動化ツールを導入することで、こうした定型作業の大部分をシステムに任せられるようになります。たとえば、Google AdsやMeta広告の入札額調整をあらかじめルール化しておけば、日々の入札変更を手作業で行う必要はなくなります。同様に、複数媒体のレポート集計もAPI連携によって自動化でき、Excelを開いて数字を貼り付ける作業から解放されます。
その結果、広告運用担当者は「データを集め、整理する人」から「データを活用して考える人」へと役割をシフトできるでしょう。浮いた時間を戦略の立案、施策の改善、クリエイティブ検証といった付加価値の高い業務に回せるようになり、結果として運用全体の質とスピードが向上します。
リアルタイム最適化で機会損失を防げるため
広告の成果は常に変動しており、手動管理ではどうしても「対応の遅れ」が生じます。
仮に、競合の入札強化や市場トレンドの変化でCPA(顧客獲得単価)が急上昇しても、翌日のレポート確認後に手動で入札を調整するのでは遅れが出てしまいかねません。その間も、高単価なクリックを払い続けてしまうリスクがあります。
広告運用自動化ツールを活用すれば、設定したKPI(例:CPA、ROAS)をトリガーにリアルタイムで入札調整やターゲティングの変更を実行できます。市場の変化やパフォーマンスの急なブレにも即座に反応し、無駄な出費や機会損失を最小限に抑えられます。
結果として、広告投資対効果(ROAS)を高い水準で安定的に維持できるようになり、予算をより効率的に活用できるでしょう。
複数のチャネル運用を一元管理できるため
2025年現在、多くの企業でGoogle AdsやMeta広告、X広告、DSPなど、複数の媒体を横断して運用しているのではないでしょうか。しかし、各媒体の管理画面で設定やレポートを個別に確認する作業は煩雑で、媒体間の比較や予算配分の判断が遅れがちです。
広告運用自動化ツールを導入すれば、API連携を活用して複数媒体のデータを単一のダッシュボードに統合できます。さらに、共通ルールを設定することで「このCPAを超えたら配信停止」「このROASを下回ったら入札調整」といった指示を媒体横断で適用可能です。
これにより、運用規模が大きくなっても全体を俯瞰しながら最適な判断をスピーディに下せるようになります。企業としても「いつ、どのチャネルに、いくら配分しているか」をリアルタイムで把握できますので、リスクヘッジにもつながるでしょう。
広告運用自動化ツールを活用するときに気をつけること
広告運用自動化ツールは、膨大な作業を効率化し、成果改善にも直結する便利な仕組みです。しかし、「設定して終わり」ではないという点を忘れてはいけません。ツールはあくまで人間が設計したルールやデータをもとに動くため、使い方を誤れば逆に成果を落としたり、思わぬコストを発生させたりするリスクがあるのです。
ここからは、広告運用自動化ツールを活用する際に特に注意すべき3つのポイントを整理します。

次項より、詳しく解説します。
データやトラッキング設定の不備による判断の誤り
自動化の判断材料となるのは「収集されたデータ」だけです。仮に「計測タグが正しく設置されていない」「UTMパラメータの付与が統一されていない」といった状態では、ツールが受け取るデータが不正確になり、誤った指標をもとに運用が進んでしまいます。
一例を挙げると、コンバージョンタグの設置漏れや二重計測が起きると、実際には成果が出ていないのに「成果が出ている」と判断され、入札額を引き上げてしまうこともあります。
そもそもデータ関連の業務は煩雑で、ミスが起きるリスクが高いものです。富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の調査では、「データの分析に時間がかかる」が44.6%、「データの収集が煩雑である」が42.5%とそれぞれ半数近くが課題感を感じていたことからも、負荷の高い業務であるとわかります。

(出典:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社「【Web広告運用の成果が見えない?】50.7%が、成果に『満足していない』実態約8割が、広告運用の成果把握に課題を実感」)
そのなかで、データ設定に関するトラブルを防ぐ上では、導入時に計測設定を徹底的にチェックし、定期的にテストを行う必要があります。ツールを信頼するためには、まず「正しいデータを渡す環境」を整備しましょう。
自動化ルールの設計ミスや過度適用による予算浪費
自動化ツールは「設定したルール」に忠実に従います。しかし、そのルール設計が適切ではなかった場合や、極端な値を誤って設定してしまった場合、運用担当者の想定していない動作をしてしまうことがあります。
たとえば、CPAが一時的に上昇しただけなのに、「CPAが◯円を超えたら配信停止」というルールが即時発動し、まだ検証途中のキャンペーンが強制的に止まってしまうケースもあります。
そのため、はじめのうちは緩急を持たせたルール設計を行った上で小規模でのテスト運用を行い、その後数字が落ち着いてきたタイミングで本格適用をするという段階を踏むようにすることも重要です。
ツールへの依存とプラットフォーム変更リスク
便利だからといって「すべてを自動化ツールに依存しきる」のも危険です。一度特定のツールやAPI連携設計に頼りきりでは、プラットフォームの仕様変更やAPI制限が入った際「運用がストップする」「ルールが正しく作動しなくなる」といった可能性があります。
このケースの場合、対策としては次のようなものが考えられます。
- 主要設定はドキュメント化し、別ツールへの移行についても想定しておく
- 複数の運用パターンを持ち、手動運用に戻せるバックアップ体制を確保する
- ツール提供元の開発・サポート体制を定期的に確認する
「便利だから使う」だけでなく、「万一の時どうするか」まで含めた運用設計をしてこそ、自動化ツールを安全かつ長期的に活用できると肝に銘じておきましょう。
広告運用自動化ツールの比較・選定時にチェックすべきポイント
広告運用自動化ツールは年々増えており、見た目や機能は似ていても、「どこまでできるか」「どの媒体に対応しているか」「サポート体制は十分か」など細かな部分で差があります。
ツール選びを間違えると「期待していた自動化が実現できない」「コストだけがかかる」「使いこなせず放置される」といった事態にもなりかねません。一度導入した後のスイッチングコストは費用・労力ともに多大なものになりやすいので、導入前にきちんと「どのポイントを比較し、どこまで確認するか」を明確にしておく必要があります。
具体的には、以下の観点からツールを選定しましょう。

それぞれ個別にみていきましょう。
選定ポイント①:自動化ルールの柔軟性・カスタマイズ性
どの業種でも同じ自動化ルールが使えるわけではありません。たとえば、ECサイトとBtoBリード獲得型キャンペーンでは、最適な入札判断やKPIが異なります。テンプレート化された機能だけでは限界があり、「自社の商材・運用方針に合わせてどこまで調整できるか」がツール選定のコツです。
カスタマイズ性が高ければ、最初は基本的なテンプレートを使いつつ、運用が成熟するにつれて細かい最適化に対応できるため、長期的に活用していけるツールになります。ただし、運用初期段階では必要がない機能もあるケースもあるので、自社の現状の運用状況や今後の展望、許容できる費用対効果などをもとに検討していけるとよいでしょう。
<主なチェックポイント>
- CPA/ROAS/CVR/CTRなど、多様なKPIをベースにルール設定できるか?
- スケジュール(曜日・時間帯)や日次予算シフト、クリエイティブのローテーションなど複数条件を組み合わせたルールが作成できるか?
- JavaScriptやPythonなどのスクリプト、Webhook連携による独自ロジックの組み込みが可能か?
選定ポイント②:対応プラットフォーム・API連携の範囲
広告運用自動化ツールの価値は、どれだけ多くのプラットフォームに公式対応しているかで大きく変わります。
非公式のスクレイピングや画面キャプチャ方式でデータを取得するツールも存在しますが、これはプラットフォーム側の仕様変更に弱く、突然ツールが動作しなくなるリスクやデータの読み取りミスが発生するリスクなどが存在します。
公式API連携を軸にしているツールであれば、仕様変更が起きても影響を最小限に抑えられ、安定的な運用と将来的な拡張性が確保できます。
<主なチェックポイント>
- 自社が運用している主要チャネル(Google Ads、Meta広告、X広告、DSPなど)に対して、公式API連携があるか?
- API経由で取得できるデータ範囲(入札額・成果データ・オーディエンス情報など)が十分か?
- 今後の新しい媒体追加やAPI仕様変更に、ツール側がどれだけ迅速に対応できるか?
選定ポイント③:データ統合・レポーティング機能
自動化ツールを導入する最大の目的は、作業を減らすことだけでなく「得られた成果を正しく測り、改善に活かすこと」です。複数の広告媒体を運用している場合、ツールにデータを集約し、レポート作成から社内共有までをスムーズに行える機能があるかも選定基準になります。
こうしたレポーティング機能が整っていれば、上長や経営層への報告が迅速になり、運用体制全体の信頼度も高まるでしょう。さらに、定期的な検証と改善サイクルを回しやすくなり、ツール活用の効果を長期的に最大化できます。
<主なチェックポイント>
- BIツール(Looker/Tableau等)や社内データウェアハウスとの連携が容易か?
- 複数媒体のKPIを時系列や媒体間で比較分析できるダッシュボードUIがあるか?
- アラート機能や自動レポート配信機能が充実しているか?
選定ポイント④:サポート体制・導入支援の充実度
広告運用自動化ツールを導入しても、初期設定が不十分である。あるいは不具合が起きたときに対応が遅れてしまうと、せっかくの自動化効果を引き出せないまま運用が停滞する可能性があります。
特に、広告運用ツールはプラットフォームのAPIや仕様変更に依存しているため、突然の不具合や仕様変更への対応力が求められます。このとき迅速かつ的確なサポートがあるかどうかが、運用の安定性を大きく左右します。これらのサポートが充実していれば、運用チームは安心してツールを使い続けられ、自動化の効果を効率的に最大化できます。
<主なチェックポイント>
- 日本語でのトラブル対応や問い合わせ窓口はあるか?
- 導入時のオンボーディング支援が提供されているか?
- 定期的なアップデート情報やFAQ、ユーザーコミュニティ、ナレッジベースなど学習・改善のための情報源が整備されているか?
選定ポイント⑤:運用コストと費用対効果
どんなに高機能なツールでも、導入コストや運用コストが過大だと「自動化による削減効果」を上回り、結果的にROI(投資利益率)がマイナスになる可能性があります。また、価格モデルが複雑すぎれば「実際にどの範囲まで使えるのか」「追加料金は発生するのか」が分かりづらく、長期的な運用判断が難しくなりかねません。
コスト面の確認を怠ると、「導入したけれど結局高くついた」という失敗になりがちです。ツールにかかる費用と、そこから得られる削減効果や収益改善のバランスを必ず可視化してから導入を判断しましょう。
<主なチェックポイント>
- 初期費用・月額固定費・成果報酬型などの価格体系が、自社の予算感と合っているか?
- 利用ライセンス数や広告費に応じたボリュームディスカウント(割引)があるか?
- 工数削減やROAS向上など、自動化による効果とコストを比較するシミュレーションを社内で簡単に組めるか?
代表的な広告運用自動化ツールを紹介
前述のとおり、広告運用自動化ツールと一口にいっても「どの作業を効率化するか」によって得意分野や提供機能が異なります。
ここからは、広告運用の4つの主要領域(キーワード選定、広告運用、レポート作成、効果測定)に分けて、2025年時点で利用されている代表的なツールを紹介します。なお、ツールの料金や機能は随時アップデートされるため、最新情報は各サービスサイトで必ずチェックしましょう。
キーワード選定ツール
広告運用の第一歩は「どのキーワードを狙うか」を決めることです。この段階で誤った判断をすると、無駄な広告費が発生することや、意図しない層に広告が届いてしまうリスクがあります。
「キーワード選定ツール」で代表的なのが、GoogleキーワードプランナーとSEMrushの2つです。どちらも有力なツールですが、得意分野や使い方、得られるデータの粒度が異なりますので、自社の規模感に適したツールを選びましょう。
Googleキーワードプランナー

(出典:Googleキーワードプランナー)
Googleキーワードプランナーは、Google広告アカウントから無料で使える公式のキーワード調査ツールです。検索ボリューム、競合性、クリック単価(CPC)の目安といった、広告出稿やSEOの判断に必要なデータを手軽に取得できます。
特に「広告を始めたいが、何から手をつけるべきかわからない」初心者や中小企業の担当者に適しており、アカウント連携後すぐに利用できる導入のしやすさが魅力といえるでしょう。
リスティング広告の出稿準備や、初期のSEO戦略立案など「シンプルな市場調査を素早く行いたい場合」に向いています。
SEMrush

(出典:SEMrush)
SEMrushは、SEO・広告・SNS・コンテンツマーケティングなど多機能を統合したマーケティング分析ツールです。特筆すべきは「競合調査の精度と広範さ」で、特定サイトの広告出稿状況や検索キーワードをグローバルに把握できます。
GoogleだけでなくBingやYahoo、さらに国・地域別の検索データや広告データも取得可能です。そのため海外展開を視野に入れている、あるいは多チャネルでの分析が求められている場合向けのツールです。
操作や分析内容はやや上級者向けですが、その分、戦略的な意思決定を支える情報が豊富に得られます。
比較のポイント
キーワード選定ツールを選ぶ際は、「取得できるデータの範囲」と「自社の施策レベル」に着目しましょう。
国内向けのGoogle広告運用であれば、無料で使えるGoogleキーワードプランナーが手軽で実用的です。一方、競合の広告戦略や海外市場まで分析したい場合は、SEMrushの方が情報量に優れています。
また、Googleキーワードプランナーは無料ですが、SEMrushは有料サブスクリプション型でコストがかかる点も考慮が必要です。求める分析精度と予算感のバランスを見極めて選ぶことが大切です。
<キーワード選定ツールの比較表>
| Google キーワードプランナー | SEMrush | |
| 対応媒体 | Google検索広告(リスティング)YouTube(※Google広告として) | Google検索(SEO・PPC分析)Bing検索(一部)YouTube(一部モニタリング)各国ドメインに対応(競合調査) |
| 主な機能 | 月間検索数、競合性、入札単価の調査広告用キーワードの選定支援 | SEO/PPCのキーワード分析競合サイトのトラフィック調査被リンク・広告・SNSの解析 |
| UI・使いやすさ | Google広告アカウント連携ですぐ利用可能、初心者でも簡単 | 多機能&情報量が多く、上級者向け |
(参考:Googleキーワードプランナー/SEMrushの情報を基に、当社にて作成。)
広告運用ツール
広告運用ツールは、日々の入札調整や予算配分、キャンペーン設定といった実務を自動化する「中核的な役割」を担います。ツールを活用すれば「24時間365日」ルールに基づいて最適化を進められますので、自社の課題感に即したツールを選びましょう。
Shirofune

(出典:Shirofune)
当社が提供するShirofuneは、専門知識がなくても広告運用を効率化できる広告運用の自動化ツールです。Google広告、Yahoo!広告、Meta広告、X広告など、主要な広告媒体に対応しており、複数チャネルの入札調整・予算配分・レポート作成をまとめて自動化できます。
専門的なスクリプトや複雑な設定を使わずに、シンプルな操作で運用効果を高められますので、未経験者でも1日10分程度の操作で使いこなすことが可能です。運用工数の削減と広告効果の改善を両立できます。
導入後すぐに活用できるテンプレートや、運用改善を支援するレコメンド機能なども備えており、広告運用の自動化を初めて導入する企業にとっても扱いやすい設計です。
Optmyzr

(出典:Optmyzr)
Optmyzrは、Googleの元エンジニアが設計した米国発の広告運用自動化ツールで、機能の自由度・高度な最適化処理が特徴です。Google広告をはじめとした複数媒体に対応しつつ、自動化ルールの細かなチューニングやスクリプトカスタマイズに強みを持ちます。
特に「クライアントごとに異なるロジックを運用に反映したい代理店」や「多言語・多国籍配信を行うマーケター」など、カスタム性と拡張性を求める上級者向けの運用現場に適したプロフェッショナル向けツールです。使いこなすには一定の知識が必要ですが、一度運用フローに組み込めば、膨大なキャンペーン管理が大いに効率化されます。
比較のポイント
広告運用ツールを選ぶ際は、「どこまで自動化したいか」「どれだけ細かく制御したいか」が主な論点です。
シンプルなUIで入札調整やレポート作成まで自動化したい場合は、初期設定のままでもすぐ運用できるツールが適しているでしょう。一方で、独自の運用ルールや複雑な構成を反映させたい場合は、スクリプトや条件分岐を細かく設定できる上級者向けツールが向いているといえます。
自社の運用体制や担当者のスキルレベルに応じて、無理なく活用できる設計かどうかを確認しましょう。
<広告運用ツールの比較表>
| Shirofune | Optmyzr | |
| 対応媒体 | Google広告(検索・ディスプレイ・動画)Yahoo!広告Meta広告(Facebook/Instagram)X(旧Twitter)広告LINE広告Amazon広告Microsoft広告(Bing Ads)TikTok広告Pinterest広告LinkedIn広告 | Google広告Microsoft広告(Bing Ads)Amazon広告Facebook広告(Meta)Yahoo(米国)広告(※国内未対応)LinkedIn広告(限定) |
| 主な機能 | 広告運用の自動化(入札・予算配分・改善提案)媒体横断での一括最適化とレポート自動生成未経験者でも使えるシンプルな操作画面 | キャンペーンの自動最適化・ルール設定広告アカウントの一括管理・調整レポート・スクリプト・A/Bテスト支援 |
| UI・使いやすさ | 日本語UIで直感的、初心者でも扱いやすい | 機能が多く操作はやや上級者向け |
(参考:Optmyzrの情報を基に、当社にて作成。)
広告レポート作成ツール
広告運用において、レポート作成はもっとも工数がかかる定型業務のひとつですが、広告レポート作成ツールな媒体ごとのデータを自動で集約し、定型フォーマットでレポートを作成・共有できるようになります。
ここからは、日本国内でも利用されることが多いLisketとアドレポの2ツールを紹介します。
Lisket

(出典:Lisket)
Lisket(リスケット)は、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告など主要媒体と連携し、広告レポートを自動で作成できる国産のクラウドツールです。
特徴は「シンプルな操作性」と「実務に即した自動レポート機能」で、あらかじめ設定したフォーマットに各種指標を自動で反映させる仕組みになっており、手作業によるコピー&ペーストやデータ集計を不要にします。
毎週・毎月の定例レポートを短時間で仕上げたい広告代理店やインハウスマーケターにとって、業務負担の大幅な削減につながるツールといえるでしょう。
アドレポ

(出典:アドレポ)
アドレポは、広告代理店を中心に導入が進む広告レポート自動化ツールです。Google広告やYahoo!広告、Meta広告(旧Facebook)、X広告(旧Twitter)など主要な広告媒体とAPI連携でき、媒体データの収集から集計・加工・出力までを自動で行います。
テンプレートのカスタマイズ性にも優れており、既存のレポートフォーマットにそのまま数値を反映させる運用も可能。GoogleスプレッドシートやBigQueryへの出力にも対応しているため、レポートのビジュアル設計やBIツールとの連携もスムーズな点が特徴です。
比較のポイント
広告レポート作成ツールは、機能に大きな差があるわけではないものの、「何を重視するか」で適切なツールが変わります。
毎週の定型業務を少しでも楽にしたいなら、シンプルで自動化に特化したツールが有効です。一方、レポートの見栄えや伝わりやすさまで意識する必要がある場面では、デザイン性や柔軟な出力設定に対応したツールの方が向いているでしょう。
<広告レポート作成ツールの比較表>
| Lisket | アドレポ | |
| 対応媒体 | Google広告Yahoo!広告Facebook広告(Meta)LINE広告Twitter広告(X) | Google広告Yahoo!広告Meta広告(Facebook/Instagram)Twitter広告(X)LINE広告TikTok広告CriteoIndeedなど 多数媒体(30媒体以上)対応 |
| 主な機能 | 広告入稿・キーワード登録の一括支援複数媒体に対応したレポート自動生成アカウント横断でのパフォーマンス管理 | 広告レポートの自動作成複数媒体のデータを統合して可視化成果指標(KPI)の自動計算・共有 |
| UI・使いやすさ | シンプルUIで操作直感的、初期設定も簡単 | 多機能でカスタム性が高いが設定はやや多め |
(参考:Lisket/アドレポの情報を基に、当社にて作成。)
広告の効果測定ツール
広告運用において、「どの施策がどれだけ成果を出したか」を正確に把握する必要がありますので、広告の効果測定ツールも長期目線では重要なツールです。
ここからは、国内で多くの企業が導入している「ADEBiS」と、世界標準の分析ツール「Google Analytics」を紹介し、それぞれの強みと選び方を解説します。
ADEBiS

(出典:ADEBiS)
ADEBiS(アドエビス)は、Web広告の接触からコンバージョン、さらには実際の契約やLTVまでを可視化できる広告効果測定プラットフォームです。
分析機能としては、広告ごとの貢献度を把握できる「コンバージョンフロー」や、改善すべき施策を抽出する「コストアロケーション分析」、進捗を視覚的に確認できる「ダッシュボード」などが用意されています。
導入支援や運用サポートも充実しており、広告代理店や事業会社のデジタルマーケティング部門が、成果に基づいた判断と改善を高速で回すために活用可能です。
Google Analytics

(出典:Google Analytics)
ご存じGoogle Analyticsは、世界中の企業・サイトで利用されているWeb解析ツールで、2023年からはGA4(Google Analytics 4)への完全移行が完了しています。
イベントベースでのデータ収集や、ユーザー単位の行動把握が可能となり、広告流入だけでなくWebサイト全体の訪問傾向、ページごとの滞在・離脱、デバイス別行動の違いなど、包括的なユーザー分析ができます。
多機能ゆえに習熟には時間がかかりますが、「広告効果とあわせて、SEOやUX改善にも取り組みたい」「費用をかけずに汎用的なWeb解析環境を構築したい」と考える企業にとって強力なツールです。Google広告との親和性も高いので、広告運用とサイト改善を同時に進めたい場面で特に力を発揮するでしょう。
比較のポイント
広告効果測定ツールは、すべての施策を数値で振り返るための「指標の土台」となる存在です。選定時には、単にCV数を追うのか、それとも間接効果やLTVまで分析したいのか、目的の深さを明確にする必要があります。
Web広告の全体ROIを精緻に把握したい場合と、広告以外のWebサイト改善まで一括で見たい場合とでは、選ぶべきツールが変わります。用途と測定範囲のバランスを踏まえた選定を行いましょう。
<広告の効果測定ツールの比較表>
| AD EBiS | Google Analytics | |
| 対応媒体 | Google広告Yahoo!広告Facebook広告(Meta)LINE広告X広告(Twitter)TVCMなどオフライン広告も含めて計測可能 | 直接広告媒体に依存せず、ウェブトラフィック全体(オーガニック/広告/SNS/メールなど)のアクセスログを計測(Google広告との連携が強力) |
| 主な機能 | アシスト効果を含めたコンバージョン分析広告ROI・LTV分析1st/3rdパーティデータ連携と統合分析 | ウェブサイト訪問者の行動データ分析広告や流入チャネルごとのコンバージョン測定SEO・UX改善への活用 |
| UI・使いやすさ | 日本語UIで操作しやすい | 多機能だが無料で使え、初心者〜上級者まで対応 |
(参考:ADEBiS/Google Analyticsの情報を基に、当社にて作成。)
まとめ
広告運用自動化ツールは、複雑化するWeb広告運用の現場において「作業負荷の削減」「リアルタイム最適化」「複数チャネルの統合管理」を可能にする便利なソリューションです。
もはや大手代理店や先進的なマーケターだけのものではなく、中小企業やインハウスマーケターにとっても必須の武器となりつつあります。
一方で、導入すれば全て解決するわけではありません。本記事でも触れた通り、不正確なデータや杜撰なルール設計、ツールへの依存しすぎは、むしろ運用効率を下げる原因になり得ます。
特にAPIの仕様変更やサポート終了など、外部要因によるリスクもあるため、「ツール任せにしない運用設計」を目指しましょう。

大手ネット広告代理店に新卒で2006年に入社し、一貫して広告運用に従事。
緻密な広告運用をアルゴリズム化し、誰もが高い広告効果を得られるようShirofuneを2014年に立ち上げ。
2016年7月に国内No.1を獲得し、2022年までに国内シェア91%を獲得。
2023年から海外展開をスタートし、現在までに米大手EC企業や広告代理店への導入実績。
2025年3月に米国広告業界で最古かつ最大級の業界団体である全米広告主協会からMarketing Technology Innovator AwardsのGoldを受賞。





