
アドエクスチェンジとは?DSP/SSPとの関係、メリット・デメリット、活用のポイントまでわかりやすく解説

- 菊池 満長
オンライン広告業務では、アドエクスチェンジ、アドネットワーク、DSP、SSPといった専門用語が頻繁に用いられますが、これらの概念を明確に理解していないという方も少なくありません。
オンライン広告取引の手法は、過去約20年間で目覚ましい進化を遂げてきました。当初は広告主と媒体側の直接取引が主流でしたが、やがて複数のメディアを一括購入できる「アドネットワーク」が登場。
そして現在では、広告枠をリアルタイムで売買する「アドエクスチェンジ」へと発展しています。この進化は現在も進行中であり、今後さらにその可能性は広がっていくでしょう。
本記事では、改めてアドエクスチェンジの基本から、仕組みやメリット・デメリット、活用のポイントまでわかりやすく解説します。また、主要なアドエクスチェンジプラットフォーム5種類についてもあわせて紹介しますので、最後までお読みください。
アドエクスチェンジとは
アドエクスチェンジ(Ad Exchange)とは、広告を出したい買い手(広告主)と広告枠を売りたい売り手(メディア)をつなぐ取引市場のことです。一般的にはアドエクスチェンジ提供業者(プラットフォーム)を指します。
アドエクスチェンジの定義・役割
アドエクスチェンジ(Ad Exchange)は、広告枠ごとのリアルタイムオークションの仕組みです。アドエクスチェンジプラットフォームには、複数のアドネットワークやDSP( 広告主側のプラットフォーム)、SSP(媒体側のプラットフォーム)が接続されており、リアルタイムで広告枠のオークションが行われます。
この仕組みによって、売り手は広告枠の収益を最大化でき、買い手側もユーザーに最適な広告を効率的に届けられます。
アドエクスチェンジ誕生・発展の背景
オンライン広告の取引の方法は、テクノロジーの進歩により着実に進化してきました。
当初、広告主は媒体社と直接契約するか、アドネットワーク経由でまとめて広告枠を購入していました。その後、デジタル広告の拡大やアドテクノロジーの進化とともに、リアルタイム入札(RTB)が可能な「アドエクスチェンジ」が主流になっています。
- 1990年後半~2000年前半:広告主と媒体側の直接取引
- 2000年代後半:複数メディアを一括購入できる「アドネットワーク」
- 2010年代後半:リアルタイム売買ができる「アドエクスチェンジ」
以下は経済産業省の「令和4年度デジタル取引環境整備事業」についての資料からの抜粋ですが、アドエクスチェンジの出現により膨大な広告枠がリアルタイムでオンライン上で売買されるようになりました。

(出典:令和4年度デジタル取引環境整備事業 – 経済産業省)
アドエクスチェンジの特徴
アドエクスチェンジの特徴は、リアルタイムでオークションが行われることです。
ユーザーがWebサイトを閲覧し、広告枠が読み込まれるその瞬間(インプレッションが発生するタイミング)に、瞬時に広告枠のオークションが開催されて、最高金額を表示した広告主に広告枠が提供されます。
また、中立性も特徴です。アドエクスチェンジプラットフォームには複数のDSP(Demand Side Platform:買う側のプラットフォーム)やSSP(Supply Side Platform:媒体側のプラットフォーム)が接続され、多数の広告主・媒体社が参加しています。
入札が始まると、価格だけでなく広告の品質も総合的に判断されて、掲載する広告が選定されます。ユーザー体験の低下を防ぐ仕組みも持っているのです。
この仕組みによって、広告主は最適な価格で入札でき、媒体社は最も高い価格で在庫を売却できます。
- 中立的なプラットフォーム
- リアルタイム入札(RTB)が可能
- 価格だけでなく広告品質も判断基準
アドネットワークとの違い
アドネットワークは、 複数のメディアの広告枠をまとめて買い取り、固定価格で販売する仕組みでした。広告主はアドネットワークに加盟している複数のメディアにまとめて広告を配信できますが、どのメディアに広告が配信されているかを詳細に把握しづらく、広告枠ごとの効果を評価しにくいという課題がありました。
一方、アドエクスチェンジは、個別インプレッション単位でオークションにかける形をとります。広告主は細かい条件や入札価格を設定しやすく、媒体社は在庫をより効率的にマネタイズできるようになりました。
| アドエクスチェンジ | アドネットワーク | |
| 入札単位と課金方式 | 「1インプレッションごと」※広告枠が閲覧されるそのタイミングでリアルタイム入札 | まとめて広告枠を仕入れ、一括販売。課金はクリック数や表示回数など、契約した単位で行われます。 |
| 配信範囲 | 複数のアドネットワーク、DSP、SSPが接続されているので多様で幅広いメディア | プラットフォームが提携しているメディア限定。※専門性が高い場合もある |
| 市場健全性 | 広告品質スコアも考慮され健全性が高い | プラットフォームによっては広告の品質管理に課題あり |
DSP/SSPとの関係・PMPとの違い
アドエクスチェンジはDSP(広告主側)とSSP(媒体社側)をつなぐ役割を担います。
広告主はDSPを使ってあらかじめターゲットや入札予算を設定し、アドエクスチェンジに参加します。アドエクスチェンジはSSPから受け取った広告枠に対しDSP経由で入札リクエストを送り、DSPからの応答を集めてオークションを行う流れです。
これにより、媒体社は複数のDSPからの入札を一元的に受けられ、広告主は同一のキャンペーンで多様な媒体に配信できます。
一方、PMP(Private Marketplace)とは、プライベートな招待制オークションの枠です。
システムの仕組み自体はアドエクスチェンジと同様ですが、取引相手や条件(単価や配信量など)をあらかじめ合意した上で、限定された広告主間でオークションを行います。
PMPは仲介者(アドエクスチェンジ)の中で直接契約に近い条件を実現できるため、媒体社と広告主の双方にメリットがあります。
※詳細はDSPとSSPとは? 広告プラットフォームの基本、メリット・デメリット、選定時のポイントまでわかりやすく解説」の記事もご覧ください。
アドエクスチェンジの仕組み
アドエクスチェンジの取引は、 RTBオークションという仕組みにより自動化されています。ユーザーがサイトやアプリを開くと、わずか数百ミリ秒(1秒の半分以下)の間に、以下のプロセスが高速で処理されます。
【取引の流れ】
- 広告リクエストの送信
ユーザーがWebサイトを開くと、そのページの広告枠(インプレッション)が発生。SSPからアドエクスチェンジに通知 - 入札リクエストの送信
アドエクスチェンジが受け取った広告枠の情報(ユーザー属性や掲載面情報など)をもとにDSPに入札リクエストを送信
- 入札とオークションの実施
各DSPは設定された条件にもとづき入札価格を決定し応答→アドエクスチェンジは最高入札額や広告品質を考慮し最適な広告を選定 - 広告配信
オークションに買った広告主の広告がユーザーのブラウザに表示
このように、アドエクスチェンジはユーザーがWebサイトを閲覧するまさにその瞬間に入札オークションが行われ、最も価値のある広告を自動で選んで表示する仕組みです。
アドエクスチェンジのメリット
アドエクスチェンジのメリットを紹介します。
メリット1. 取引の自動化・効率化ができる
アドエクスチェンジは、最適な広告媒体を選んで広告を発注するという広告主側の仕事と、広告により収益を最大化したいという媒体側の間にたって取引を自動化します。手動での作業や交渉がなくなるため、双方にとって業務が格段に効率化される点が最大のメリットです。
たとえば、世界でも欧州はデジタル広告業界において先進的な市場として知られ、厳格な規制(例: GDPR)や技術革新を通じて、プログラマティック広告の標準化と効率化をリードしています。
この分野で権威ある団体であるIABヨーロッパ委員会も、「プログラマティックは効率・規模・パフォーマンスを向上させ、ROI最大化につながる」点がメリットと述べています。
メリット2. 取引の透明性が向上する
アドエクスチェンジを介しての取引では、取引履歴やインプレッションごとのデータが詳細に記録されるため、広告主はコストや効果を細かく分析できます。
アドネットワークの場合は、メディアに広告が配信されているかを詳細に把握しづらく、広告効果を分析しづらい点がありました。一方でアドエクスチェンジはそのようなことがなく、広告が掲載された媒体、媒体がすべて把握できるので取引の透明性が向上します。
そのため、数値をもとにデータドリブンな広告配信の最適化が可能です。
メリット3. 配信面の広さと柔軟性の高さ
また、アドエクスチェンジには複数のSSPが接続されているため、広告主は小規模~大規模までほぼ全ての広告枠・フォーマットにアクセス可能となります。
アドエクスチェンジを介せば、国内外のWebサイトだけでなく動画やConnected TV(CTV)、音声広告、デジタルサイネージなど多様なチャネルでプログラマティック取引が可能です。そのため、これまで到達困難だった視聴者層への広告配信も自動化できます。
メリット4. 広告枠を最大活用できる
媒体側にとっては広告枠を最大活用できるメリットがあります。多数の広告主を対象とした自動リアルタイムオークションにより、これまで空き在庫になっていた広告枠が販売できる可能性が広がります。
従来取りこぼしていた取引機会も含め、すべてのインプレッションを収益源にできる点が魅力。結果として、CPM(インプレッション単価)の最大化や在庫の無駄削減が期待できます。
アドエクスチェンジのデメリット・注意点
アドエクスチェンジのデメリットや注意点を解説します。
入札価格の高騰リスク
アドエクスチェンジは、たくさんの広告主が参加するオークション形式です。オークションという仕組みはどんなジャンルでも、競争が激化すると価格が高騰するリスクがあります。
特定の広告枠(たとえば、多くの人が見る人気のWebサイトや、購買意欲の高いユーザーが集まる媒体)には、入札が殺到します。入札する人が増えれば増えるほど、広告費は高くなります。
広告主は、予算管理や費用対効果をしっかり監視していないと、予想以上に広告費を使ってしまう可能性があるのです。
広告配信の不正トラフィック(アドフラウド)リスク
アドエクスチェンジの取引が自動化されているからこそ、アドフラウド(広告不正)が発生しやすいという課題もあります。
広告不正を行う業者も、最新のテクノロジーを使い、巧妙な手口でシステムに入り込もうとします。RTBオークションはリアルタイムで複雑な配信網だからこそ、不正トラフィックが入り込みやすく気づかれにくいことが課題です。
不正トラフィックは広告費の浪費だけでなく、ユーザー体験を低下させ、正確な効果測定を阻害します。アドエクスチェンジに参加する広告主、媒体側、プラットフォームそれぞれが、第三者機関の認証を受けることや、専門のアドフラウド対策ツールを導入し、デジタル広告エコシステム全体の健全性を保つ必要があります。

(出典:デジタル広告の課題とJICDAQ ~掲載品質確保に向けた取組み~総務省)
ブランドセーフティの課題
ブランドセーフティとは、ブランドのイメージを毀損しないための対策です。特に大手企業や優良企業の広告主にとっては重要であり、2024年のある調査によると広告関係者の約60%がプログラマティックにおいてブランドセーフティを懸念している結果が報告されています。
アドエクスチェンジには、数多くの媒体の膨大な広告枠があるため、ときに意図しないコンテンツに広告が表示される懸念があります。たとえば暴力的なコンテンツなどの多い媒体に広告が掲載されると、ブランドのイメージが毀損されるリスクがあります。
オークションでは入札価格だけでなく広告品質も考慮されますが、その規準やアルゴリズムはプラットフォーム独自の基準であるため、広告主が完全にコントロールできません。
そのため、広告主は対象外キーワードやブロックリストの提示、ブランドセーフティツールの活用などで対応を強化すべきです。
プライバシー規制への対応
近年、ユーザー側のプライバシーへの懸念は高まるばかりです。また、ヨーロッパのGDPRやアメリカのCCPAなど、個人情報を守るためのルールが世界中で厳しくなりました。
たとえば、Cookieの利用が難しくなります。特にWebサイトをまたいでユーザーを追跡するのに使われていた「サードパーティCookie」が、Chromeなどの主要なブラウザで使えなくなっていく可能性が高まっています。
アドエクスチェンジは、これまでこうしたユーザーデータを使って最適な広告を配信してきました。そのため、今後はこれまで通りの広告効果を出せるかが課題です。
今後はCookieを使わない新しい技術(代替IDやページの文脈に合わせたターゲティングなど)に対応していく必要があります。社会のトレンドを踏まえればアドエクスチェンジの仕組みが変わる必要があるでしょう。
課金方式の制約
広告主にとってのアドエクスチェンジの課題のひとつは、「広告費用」についての考え方です。アドエクスチェンジでは主にCPM(インプレッション課金)が用いられます。つまり、広告の表示回数で費用が決まります。
一方、広告主の中には、表示よりもCPC(クリック数ごとの料金)やCPA(商品購入や資料請求などの成果ごとの料金)で費用を計算したいと考えている人もいるでしょう。このような成果報酬型のキャンペーンでは、費用対効果の管理が難しくなることがあります。
アドエクスチェンジでは、すべての取引が「表示回数」に換算されて比較されます。そのため、広告主が「クリック数」や「成果」を重視している場合、思ったような効果が出なかったり、費用対効果の管理が難しくなったりすることがあるのです。
大手アドエクスチェンジプラットフォーム5選
大手のアドエクスチェンジプラットフォームを5種類紹介します。いずれもプログラマティック取引が可能でRTB入札ができますが、規模や多様性に強い大手プラットフォームもあれば、広告品質に強みがあったり、動画に強かったりとそれぞれに特徴があります。
Google Ad Exchange(Google Ad Manager)

(出典:Google アドマネージャー公式サイト)
提供元企業:Google
Google Ad Exchange(AdX)は、Googleが提供する「広告取引市場」であり、広告枠をリアルタイムでオークションにかける「リアルタイム入札(RTB)」ができるプラットフォームです。
広告枠を供給するパブリッシャー(メディア)と、広告枠を売買する広告主や広告代理店が広告枠を取引に活用します。
単体のサービスではなく、Google Ad Managerの主要機能として統合されています。これにより、パブリッシャーは純広告や他のネットワーク広告と並行してAdXの入札に参加させ、最も単価の高い広告を自動的に配信することで収益を最大化できます。
業界内では、Googleの強固な広告エコシステムを支える中核であり、多くのパブリッシャーと広告主を結びつける重要な役割を担っています。
Yahoo! Ad Exchange(旧ヤフーDSP/ADX)

提供元企業:LINEヤフー株式会社(旧ヤフー株式会社)
Yahoo! Ad Exchangeは「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」の機能として提供されています。Yahoo!ニュースなど自社媒体をはじめ膨大な数の提携パートナーサイト、広告主や広告代理店が参加しており、リアルタイムで広告枠のオークションが行われているプラットフォームです。
もともと、Yahoo! JAPANの強力なユーザー基盤(検索履歴や行動履歴)を活用した独自のターゲティングが強みでしたが、合併後はLINEのデータも加わりさらに強化されています。
Yahoo! JAPANの強力なユーザーデータ(検索履歴や行動履歴)を活用した独自のターゲティングに強みを持っています。現在はLINEのデータも加わり、国内最大級のユーザーデータを基にした広告配信が可能になっています。
Google Ad Managerや他の多くのDSPやSSPと連携して機能する広範でオープンなエコシステムでもあります。
OpenX

(提供元企業:OpenX)
OpenXも媒体とバイヤー(広告主・代理店)を結ぶ、リアルタイムオークションのプラットフォームです。特に「広告の品質」を重視していることで知られており、アドフラウド(広告不正)対策に力を入れていることを強みとしています。
2025年には、AdExchanger Awardsの「マーケティングキャンペーンにおけるプログラマティック広告の総合的活用」部門の最終候補にも選出されています。
Webサイトやアプリの運営者が広告枠を販売し、収益を最大化するためのツールを提供。ヘッダービディングにも積極的に対応しています。OpenXのプラットフォームには、世界中の優良な媒体が多数参加しているため、多くの広告主や代理店が参加しています。
Xandr(旧AppNexus)

(出典:Xandr Platform のドキュメント | Microsoft Learn)
提供元企業:Microsoft Corporation
Xandrは、もともと「AppNexus」という独立した企業のアドエクスチェンジプラットフォームでしたが、AT&Tに買収された後2021年にMicrosoftに買収されました。現在は、「DSP」「SSP」「アドエクスチェンジ」といった複数の機能を統合した包括的な広告プラットフォームとして展開されています。
主な機能:
- デマンドサイドプラットフォーム(DSP): 広告主が広告在庫を買い付けるための機能。
- サプライサイドプラットフォーム(SSP): パブリッシャーが広告枠を販売するための機能。
- アドエクスチェンジ機能: 上記のDSPとSSPをつなぎ、リアルタイムで広告取引を行うオークション機能。
Microsoftの検索エンジン「Bing」や「Xbox」、「Netflix」の広告枠など、独自のプレミアムが強化されたエコシステムを保有している点も特徴です。
Magnite(旧Rubicon Project + Telaria)

(出典:Magnite, Inc)
提供元企業:Magnite, Inc
Magniteは、動画広告、特にコネクテッドTV(CTV)の広告取引に強いアドエクスチェンジプラットフォームです。Magniteは、2020年にRubicon ProjectとTelariaという2つの主要なアドテク企業が合併して誕生しました。
もともと、Telariaが動画広告とCTV(インターネット接続テレビ)に特化したプラットフォームだったため、Magniteは現在、特にテレビ広告のプログラマティック化において業界をリードするプラットフォームとしての位置を築いています。
ストリーミング、オンライン動画、デジタル屋外広告、ディスプレイ、オーディオなどのプレミアムな動画広告枠のリアルタイムオークションが行われています。
テレビ局や大手動画配信サービスなどが提供するプレミアムな広告枠を扱っているので、広告主にとっては高品質な媒体に展開できる点がメリットです。また、媒体側にとってはさまざまなデバイスの動画広告フォーマットに対応しているため、あらゆる動画在庫を効率的に販売できます。
アドエクスチェンジ活用のポイント
広告主がアドエクスチェンジプラットフォームを活用する際のポイントを解説します。
ポイント1. DSP・代理店経由で利用する
アドエクスチェンジは仕組みが高度なため、広告主はDSPや広告代理店を通じて利用するのが一般的です。
DSPにも海外のグローバルなプラットフォームと、国内のIT企業や広告会社が提供するプラットフォームに大きく分けられます。DSPを使えば一度に複数のアドエクスチェンジに接続でき、ターゲティング・入札戦略を最適化できます。
さらに、頼りになるのが広告代理店です。大手広告代理店は、ただ広告を運用するだけでなく、戦略立案からアシストします。そのうえ、複数プラットフォームの横断的な運用を行い、最も効率的な広告配信を実現可能です。
ポイント2. 最適なターゲット・媒体を選定する
アドエクスチェンジでは膨大な広告枠があり、それぞれの媒体が抱える膨大なオーディエンスデータが利用可能です。そのため、このその中のどのような属性のユーザーに広告を配信したいのか、地域・年齢・興味関心などのセグメントを組み合わせ、ターゲットの顧客像を絞りこむ必要があります。
ターゲットによっては、これまであまりアプローチできなかったCTVや動画、音声メディアなど新たな媒体への配信も検討し、オムニチャネルでリーチを拡大することも検討しましょう。
ポイント3. 入札設定を工夫する
広告費を使いすぎないように、入札のやり方を工夫することも大切です。前述のようにアドエクスチェンジで「1000回表示するごとにいくら(CPM)」という単位で取引されています。
そのため、目標CPA(1件の成果あたりの広告費)を達成するためには、CPMに換算してキャンペーン目標に応じて入札戦略(入札単価や予算配分)を調整します。たとえば、「この金額以上は入札しない」という「上限金額」を決めることが大切です。
また、各アドエクスチェンジには「ビッドスキーム(第一価格と第二価格)」や「フロア価格」がありますので、それも踏まえて入札価格をコントロールしましょう。多くのプラットフォームには、この設定をAIが計算する自動入札機能がありますので、うまく活用しましょう。
- 第一価格オークション:入札した金額がそのまま広告費になる
- 第二価格オークション:最高入札額を提示した人が、2番目に高い入札額+わずかな金額で広告枠を手に入れる
- フロア価格:入札最低価格
ポイント4. 測定・レポートを習慣化する
アドエクスチェンジやDSPは、広告が何回表示されたか(インプレッション数)、何回クリックされたか(クリック率)、どのくらい見られたか(ビューアビリティ)、最終的な成果(コンバージョン)など、詳細なデータを自動で記録しています。これを定期的にモニタリングすることを習慣化しましょう。
前に説明したように、アドエクスチェンジは自動で公平な取引をしてくれますが、広告費が高騰したり、不正なトラフィックが入り込んだりするリスクがあります。
幸い、提供されるデータはとても詳細なので、これらのデータを定期的に確認し「なぜこの広告の費用は高いのか?」「クリックは多いのに、なぜ成果が出ないのか?」といった疑問を分析・検証することで、広告のムダをなくしより良い成果を出せるようになります。この点は、これまでの広告業務と変わりありません。
広告業界の団体(IAB)も、プログラマティック広告におても、広告を配信する前(プリビッド)から配信後(ポストビッド)まで、一貫してデータを分析し、改善を続けることが費用対効果を高める鍵だと強調しています。
今後の広告業界の動向
今後の広告業界のトレンドと、広告主が理解しておくべきことについて解説します。
クッキーレス時代への対応
広告主にとって大手プラットフォームのクッキーレスは大きな懸念事項です。 Googleは、2024年7月にChromeブラウザでのサードパーティCookieの段階的廃止を当面の間見送ると発表しましたが、ユーザーのプライバシー意識の高まりを考えれば、今後も強化されていく可能性があります。
クッキーレス時代を予想して、世界の多くの企業が準備している状態です。媒体側はファーストパーティデータ(自社の会員情報やサイト内での行動履歴など)の収集に力を入れ始めています。また、 広告業界全体で個人を特定せずにユーザーを識別する新しい技術(代替IDなど)の開発が進んでいます。
アドエクスチェンジも、プライバシーに配慮したターゲティング手法や、業界全体で共通して使える統合ID(例: Unified ID)などを採用し、クッキーレスの時代に対応した取引の場へと進化を続けています。
ヘッダービディングの普及
これまでの広告の取引は、アドエクスチェンジやアドネットワークが、順番に広告枠の買い手を探すことが一般的でした。しかし、最近はヘッダービディングといって、Webサイトのヘッダー(ページの読み込みが始まる部分)で、複数のDSPやアドエクスチェンジに声をかけて一斉に入札させる方式が主流となっています。
- アドエクスチェンジ:広告枠をリアルタイムで売買するプラットフォーム。
- ヘッダービディング:複数のアドエクスチェンジに一斉に広告枠の入札させる仕組み
ヘッダービディングは複数の買い手が同時に競り合うため、媒体側は最も高い金額で広告枠を売ることができ、買い手からすると、より公平で透明性の高いオークションに参加できます。
さらに、GoogleのOpen Biddingのように入札処理をウェブサイトのサーバー側で行うサーバーサイド・ヘッダービディングが登場しており、アドエクスチェンジ経由で取引される広告は、より高品質で、表示が速く、収益性が高いものになっていくと期待されています。
CTV・動画広告の台頭
インターネット接続型テレビ(CTV)や動画広告の需要は急成長しています。多くのアドエクスチェンジが、多くのアドエクスチェンジが動画広告の取引に対応するようになり動画フォーマットをサポートしています。
アドエクスチェンジを介して動画広告を配信する最大のメリットは、従来のオンライン動画広告だけでなく、テレビ画面を含めた数多くの高品質な広告枠にリーチできることです。
映像の魅力はその没入感にあります。ユーザーに魅力あるクリエイティブを届けられるよう動画クリエイティブ最適化や入札戦略を検討することが、今後の広告キャンペーンの成功に直結するでしょう。
データ連携とアナリティクス
ビッグデータ活用の時代は、複数のデータソース(オンライン・オフライン統合データ、DMP保有データ等)を活用した高度なターゲティングが重要です。
たとえば、すでに小売業などではWebサイトでの行動履歴、店舗での購入データ(オフラインデータ)や、DMP(データ管理プラットフォーム)に蓄積された顧客データなど、さまざまな種類のデータを一つにまとめて活用されています。
これにより、「オンラインで商品を見た人が、実際に店舗で買った」といった、より深い顧客の行動を理解できるようになります。
今後は業界を問わず、AIを活用して広告キャンペーンの前後データを統合的に分析し、機械学習による予測モデルなどを組み合わせることで「どんなお客さんに、いつ、どんな広告を見せれば一番成果が出るか」を予測してくれる時代が到来するでしょう。
多くのデータと組み合わせて、広告の効果を最大限に高めていく時代に入っていますので、広告の運用担当者は、データの分析と活用についても学んでいくことが重要です。
「ハードルが高い」と感じるかもしれませんが、まずはGoogle Analyticsのデータ分析から始めたり、既存の顧客リストを広告に活用したりするなど、できるところからデータ活用に取り組んでいきましょう。
まとめ
アドエクスチェンジ(Ad Exchange)は、広告の売り手と買い手がオンライン上で、リアルタイムなオークションによって取引できる仕組みです。従来の「アドネットワーク」を介した取引より透明性が高まり、売買のプロセスも格段に効率化されました。
アドエクスチェンジの仕組みを理解し、アドエクスチェンジプラットフォームごとの特徴を理解して、時間とコストを大幅に節約しながら、最適なタイミングで自社の広告を見込み客に届けられるようになりましょう。

大手ネット広告代理店に新卒で2006年に入社し、一貫して広告運用に従事。
緻密な広告運用をアルゴリズム化し、誰もが高い広告効果を得られるようShirofuneを2014年に立ち上げ。
2016年7月に国内No.1を獲得し、2022年までに国内シェア91%を獲得。
2023年から海外展開をスタートし、現在までに米大手EC企業や広告代理店への導入実績。
2025年3月に米国広告業界で最古かつ最大級の業界団体である全米広告主協会からMarketing Technology Innovator AwardsのGoldを受賞。





