
アドネットワーク広告の活用例とは?最新事例7選について詳しく紹介

- 戸栗 頌平
Web広告市場が年々拡大を続けていることは既にご認識のとおりです。しかし、グローバル市場を見渡すと、今後10年でますますの成長が予測され、特に動画広告にはまだ伸びしろがあると考えられています。
このようなWeb広告市場の急速な拡大を支えるプラットフォームの1つとして「アドネットワーク」が挙げられます。アドネットワークは、日本国内で主に利用されているものに限定して見てもさまざまな種類が存在し、それぞれに異なる特徴を持っています。
本記事では、日本国内の主要なアドネットワークについて解説します。さらに、それらを活用してビジネスの成長につなげている国内企業の具体事例をまとめてご紹介します。
アドネットワークとは
まずはアドネットワークの定義をはじめ、基礎知識を簡単にご紹介します。
アドネットワークの定義と基本
「アドネットワーク」は、数多くのWeb広告枠の在庫を取り扱い、「Web広告を配信したい」と考える広告主の需要に応じてマッチングおよび一括販売をするためのプラットフォームです。
アドネットワークで取り扱っている「Web広告枠の在庫」とは、アドネットワークに加盟する多数の媒体が提供するものです。ここでいう媒体とは、Webメディアやモバイルアプリなどを指します。
つまりアドネットワークとは「Web広告を配信したい」と考える広告主と、「Web広告を掲載したい」と考える媒体を結びつける場所だといえます。広告主にとっては「広告を一括購入・配信できる入口」を意味し、媒体にとっては「広告枠の販売代行をしてくれる場所」となるのです。

アドネットワークの仕組み
アドネットワークの仕組みを簡潔に説明すると、下の表で示すようになります。この一連の流れはシステム上で素早く処理される仕組みとなっています。
| ① | 媒体 | アドネットワーク専用タグ(スクリプト)を運営するWebサイトやアプリ内に設置 |
| ② | アドネットワーク | 広告枠の在庫を「ユーザー属性」「コンテンツカテゴリ」などで分類 |
| ③ | 広告主 | アドネットワーク管理画面から配信したい広告について「予算」「期間」「ターゲティング」などを設定 |
| ④ | アドネットワーク | 広告主の希望に合う広告枠をマッチングし、広告の配信を実施 |
アドネットワークのメリット
広告主および媒体にとってのアドネットワークのメリットをまとめると、以下のようなポイントが挙げられます。
| 広告主側 | ・効率的に一括大量配信ができる・複数の広告をまとめて効果測定できる・アドネットワークの提携媒体の規模の大きさによって、トラフィックを確保できる |
| 媒体側 | ・広告枠在庫の管理および販売の負担を軽減できる |
たとえば、広告主がアドネットワークを使用しない場合、10件のWebサイトに広告を出すためには10件の個別契約やコミュニケーション・管理画面の把握が必要です。しかし、アドネットワークを活用すると一度の設定で済むため、広告運用担当者の作業時間を大幅に低減できます。
また、Googleが運営するGoogle ディスプレイ ネットワーク(GDN)のように、世界中の数百万もの媒体と提携しているアドネットワークを利用することで、膨大なユーザーへのリーチが見込めます。その結果、多くの広告のトラフィックの確保につなげられるでしょう。
加えて、媒体側はアドネットワークと提携することで、自社の広告枠の在庫管理の手間を低減できます。在庫販売もアドネットワークに任せられるため、媒体側としてはコンテンツ制作にリソースを振り向けられるなど、広告営業に関する労力の節約が期待できます。
アドネットワークのデメリット
アドネットワークは広告主側・媒体側の双方にメリットがある一方、デメリットもある点に注意が必要です。
| 広告主側 | ・広告掲載先の細かな指定はできない・利用するアドネットネットワークごとに提携媒体の傾向(強み・弱み)が異なる・広告パフォーマンス最適化に限界がある・広告配信成果の可視化について不透明な側面がある・アドネットワーク利用数が増えると管理・分析の手間が増大する |
たとえば、食材に関する企業の広告主がアドネットワークを利用する際、「食に関連するサイト」など大まかなコンテンツカテゴリによるマッチングはしやすいでしょう。しかしその一方で、「どのWebサイトに広告を配信するか」と個別に細かく指定できないケースが多く、配信ロジックも基本的にアドネットワーク側に「お任せ」となるのが実情です。つまり、広告主側によるコントロールは限定されていて、自社が望まないWebサイトやアプリに広告が配信されたり、望まない時間帯や曜日にも広告が配信されたりする可能性も否定できない点に留意が必要です。
また、アドネットワークによって「モバイルサイトに強い」「モバイルアプリに強い」「日本国内のWebサイトに強い」など提携媒体の傾向もさまざまです。よって、自社の広告配信の目的に合致したアドネットワークをあらかじめ精査して選択するプロセスが重要となります。
広告成果の可視化についても不透明な側面があるといえます。たとえば、「このWebサイトでインプレッション数はどうだったか」「CTRは何%だったか」などを知りたくても、伏せられているケースもあります。また、広告配信にかかる手数料についても明示されない場合もあるのです。
加えて、複数のアドネットワークを並行して利用する場合には、配信設定やレポート確認など複数の管理画面を見に行く必要があります。そのため、広告配信担当者の手間が増大する可能性もあります。
DSP(デマンドサイドプラットフォーム)との違い
アドネットワークと一見似ていて、互いの区別が曖昧になりやすいプラットフォームとして「DSP(デマンドサイドプラットフォーム)」が挙げられます。ここでは、両者の違いについてわかりやすく解説します。
簡潔にいうと「DSP=広告主向けの自動化ソフトウェア」は、「アドネットワーク=広告主と媒体を仲介する場所で、人的サポートも含むもの」だといえます。
| DSP(デマンドサイドプラットフォーム) | アドネットワーク |
| ・広告主向けのソフトウェア・媒体との個別交渉などの人的サポートはない・リアルタイム入札(RTB)によってインプレッション単位で広告枠の価格を競り落とす・広告主が入札戦略や配信先を細かく指定でき、透明性が高い | ・広告主と媒体の広告枠をマッチングして販売するためのプラットフォーム・在庫管理・ターゲティング設定など人的サポートを含む場合もある・媒体枠を束ねて一定の単価(CPMなど)で販売するケースが多い・配信先や配信結果、手数料などが不透明な場合もある |
アフィリエイト広告との違い
広告の手法の一例として「アフィリエイト広告」も挙げられます。これは「ブロガーなどのアフィリエイターに広告掲載を依頼し、自社の商品・サービスを紹介してもらうことで、購入・リード獲得など広告成果が発生した際には成果報酬を支払う」という手法です。
次表は、アドネットワークとアフィリエイト広告の特徴の違いを簡単にまとめたものです。
アドネットワークは「システムによる広告面の確保」が重要なポイントです。一方のアフィリエイト広告は、「アフィリエイター(人)が広告成果を挙げること」がポイントだといえ、両者は別物であることがわかります。
| アドネットワーク | アフィリエイト広告 | ||
| 軸・フォーカス | 広告枠在庫の有効活用による広告面の確保(インプレッションや広告配信そのもの) | 成果(購入やリード獲得) | |
| 主体 | システム | 人(アフィリエイター) |
なお、アドネットワークの基礎知識についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「アドネットワークとは?仕組み、他広告手法との違い、メリット、代表例などについてわかりやすく解説!」で深く掘り下げています。あわせてお読みください。
代表的なアドネットワーク広告サービス例
ここからは、日本国内でよく利用されている代表的なアドネットワークの一例と、それぞれの強みについてご紹介します。
- Google ディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!ディスプレイ広告 (YDA)
- LINE広告ネットワーク
- Meta Audience Network
Google ディスプレイネットワーク (GDN)

(出典:Google 広告)
Google ディスプレイネットワーク (GDN)は、Googleが提供するアドネットワークです。Google 広告でディスプレイ広告を選択することで利用可能です。
世界中の何百万というWebサイトやアプリと提携しているほか、GmailやYouTubeなどGoogleの関連サービス内にも広告を配信でき、莫大なユーザーへのリーチが見込めます。
この点がGDNの最大の強みであり、「広告施策でトラフィックを獲得し、ブランド認知獲得を図りたい」といった場面に適しているといえるでしょう。
Yahoo!ディスプレイ広告 (YDA)

(出典:【公式】Yahoo!広告の「ディスプレイ広告(運用型)」(バナー広告))
Yahoo!ディスプレイ広告 (YDA)は、Yahoo! JAPANが提供するアドネットワークです。
Yahoo!トップページやYahoo! ニュース、そのほかのYahoo! 関連サービス上に広告配信が可能です。特に、Yahoo! JAPANは日本国内でトップクラスにページビューが多いWebサイトだといわれており、そのPV数は「月間79億」とも報告されているほどです。つまり、日本国内のユーザーに大きくリーチしてブランド認知を獲得したい場面に向いていると考えられます。
なお、Yahoo! JAPANとLINEの経営統合が進んでいる背景から、次にご紹介する「LINE広告ネットワーク」との連携も次第に強化されつつあります。
LINE広告ネットワーク

(出典:LINE広告)
LINE広告ネットワークは、メッセージアプリ「LINE」のアドネットワークです。
LINEは国内でもっとも利用されているメッセージアプリで、その国内ユーザー数は9900万人にのぼると公式発表されています。このLINE広告ネットワークを利用することで、アクティブユーザーの多い「LINEアプリ内のタイムライン」「LINE NEWS」「LINEマンガ」「LINEブログ」「LINEポイント」といった配信面に広告出稿ができ、数多くのユーザーへのリーチが期待できます。
また、LINEのアプリ経由で獲得されたユーザーの属性データ(年齢・性別・興味関心など)を活用して高精度なターゲティングができる点も強みでしょう。前述した通り、Yahoo! JAPANとの経営統合によりID連携も進んでいるため、Yahoo! 側のユーザーデータも活かした広告配信が可能という点も魅力です。
Meta Audience Network

Meta Audience Networkは、FacebookやInstagramを運営するMeta社のアドネットワークです。
FacebookやInstagram広告は、ユーザー属性や興味関心に合った高精度なターゲティングが強みであり、その仕組みを活用可能です。
特に、モバイルアプリへの広告配信に強いといわれており、Meta Audience Networkと連携しているモバイルアプリの利用者にも広告のリーチを広げることができます。世界中の数多くのアプリ開発者がMeta Audience Networkを利用してアプリ収益化を実現していることから、「Facebook広告だけを出す」よりも、「Meta Audience Networkを利用してモバイルアプリにも広告配信をする」といった活用をしたほうが、コンバージョン率が上がったという報告もあります。その差は「8倍」であるというデータもあるほどです。
よって、モバイルアプリ内にも広告配信をしたい場合に検討すべき有力なアドネットワークの1つであるといえるでしょう。
なお、アドネットワークはここでご紹介した例の他にも数多く存在します。詳細は別記事「【2025年最新】主要アドネットワークを一覧で紹介!選定ポイントもあわせて解説」でご紹介していますので、あわせてお読みください。
アドネットワーク広告の活用例
ここからは、アドネットワークを活用して実際に広告配信に取り組んだ国内企業の事例をまとめてご紹介します。
- GDNを活用した成功事例
- YDNを活用した成功事例
- LINE広告ネットワークを活用した成功事例
事例1:GDN活用、取り組み2ヶ月で売上が顕著に拡大
地域密着型のスポーツクラブで、地域内で農業にも取り組んでいる組織(組織規模不明)では、生産した農産物について認知獲得を図りたいという課題を抱えていました。
そこで、GDNを活用して広告配信の取り組みを実施。KPIは「購入者数」と設定しました。
配信後わずか2か月で、月あたりの平均購入者数が前年の指定期間と比較して184%になったという顕著な結果が現れました。
参考:P-MAX と検索広告を活用し、Google の AI の力で「認知」を広げ、月平均購入者数 184% を達成した沖縄SVアグリ
事例2:GDN活用、全国の潜在顧客への的確なリーチで売上約1.5倍に
ある建築資材メーカー(従業員数120名)では、オリジナルの建築資材製品の開発・販売に取り組んでいます。潜在顧客となる工務店は全国各地に2万社以上ありますが、営業リソースが足りず潜在顧客に対してそもそもリーチできていないという課題を抱えていました。
そこで、全国各地のユーザーと接点を持つことができる Google広告の自社運用を開始。KPIは「オリジナル製品の売上」「オリジナル製品の採用企業数の伸び率」「EC会員登録増加数」としました。
取り組み開始から2年で売上約1.5倍、製品を採用してくれた企業の伸び率約1.5倍、EC会員600件増加を達成できました。
参考:ユーザーへの的確なリーチにより 148% の売上を達成した奥地建産
事例3:YDN活用、toB向け福利厚生サービスの資料請求数やCPAなどが大きく改善
toB向けの福利厚生サービスを提供する企業(従業員数150名)では、「サービス資料請求数を増やしたい」という目標を掲げていました。
この会社では、「幅広い年齢層のユーザーを抱えているプラットフォームであること」「企業内の決裁者、役職者の目にも留まりやすいと期待できること」といった想定から、YDNの利用を決めました。
KPIは「CPA」「商談数」「受注件数」と設定。
資料請求数は、YDN利用開始前と比較して約9倍にまで伸長、CPA約48%改善、商談数140%増加、受注件数160%増加という成果につながりました。
参考:BtoB企業KOMPEITO、ディスプレイ広告のスマートターゲティングで資料請求数9倍、受注件数160%増
事例4:YDN活用、個人投資家からの好意度・投資意向が急上昇
大手防災機器メーカー(従業員数 単独1573名、連結2383名)では個人投資家向けの施策としてYDNを活用した広告施策に取り組みました。
この企業では「個人投資家の興味関心・好意・投資意向度を向上させたい」「IRページへの流入数を増やしたい」 「市場での認知度や企業価値を高めたい」「投資銘柄として検討してもらいたい」といった目的を掲げていました。
KPIは「IRページへの流入数」「好意度・投資意向(別途調査による)」と設定。
Yahoo!ファイナンスがコンテンツ企画・制作を行うタイアップ記事を掲載し、ディスプレイ広告でタイアップ記事に誘導。記事内のテキストリンクより同社のIRページへ誘導するという施策を実行しました。
結果、タイアップ記事閲覧後の調査において、70%が同社に興味・関心を持ち、41%が投資意向ありと回答。また、タイアップ記事閲覧者は非閲覧者と比べて、IRページへの流入数が170倍だったという成果を出せました。
参考:Yahoo!ファイナンスのタイアップ記事で企業価値を訴求!IRページへの流入率が記事非閲覧者の170倍に
事例5:LINE広告を活用、3か月でCV数が6倍に
ある健康食品のEC企業(従業員数150名)は、健康食品通販でLINE広告を活用。他媒体で成果のあったクリエイティブやアニメーション広告を導入し、LP改善や類似オーディエンス活用で配信精度を高めました。
その結果、新規獲得件数はわずか3か月で約6倍に増加、月間6500件を突破し、広告予算の8割をLINEに配分するまでに成長しました。今でも1日あたり200〜300件の新規獲得を実現しており、CPAも許容範囲内の1万1000円程度に抑えられているなど、他媒体よりも1000円ほど安価に獲得できています。
参考:コンバージョン数が約6倍にV字回復!健康食品ECにおけるLINE広告活用の“勝ち筋”とは
事例6:LINE広告を活用、店舗周辺の居住ユーザーをLINEの友だちとして大規模に獲得
地域密着型のホームセンター(従業員数1500名)では、LINE公式アカウントの友だち数の拡大を目的としてLINE広告ネットワークの利用を試みました。
店舗のリニューアルにあわせて、近隣に居住するユーザーにターゲティングして広告を配信。
取り組み開始から3年弱でLINE公式アカウントの友だち数が30万人を突破しました。結果的に単価130〜200円ほどで友だち数を増やすことができ、高LTVのロイヤルカスタマーとの接点を構築することに成功。副次的な効果として店舗からのお知らせを告知するチラシの役割も果たしています。
参考:友だちは「高LTVのロイヤルカスタマー」。友だち30万人を集めたグッデイのLINE広告活用
事例7:地方自治体広告にLINE広告を活用、ふるさと納税寄付金額が前年比1.5倍に
ある地方自治体(職員数約1300人)では「ふるさと納税の寄付金を増やすこと」を目的に、LINE広告ネットワークの利用をはじめました。
複数の返礼品の画像を表示できるカルーセル型の広告フォーマットを活用し、他媒体より約5倍高いCTRを記録。
取り組みの結果、寄付金額が前年比1.5倍にまで引き上がるという成果につながりました。
参考:クリック率が他媒体の約5倍!ふるさと納税のPRを成功させた鎌倉市のLINE広告活用
まとめ
本記事では、日本国内におけるアドネットワークの最新活用事例をまとめてご紹介しました。
アドネットワークにもさまざまな種類があり、一つ一つ特徴が異なっていることが事例からうかがえます。たとえば、地域性に縛られず幅広いオーディエンスからの認知を獲得したいならGDN、年齢層が高めのユーザーも含めてリーチしたい場合にはYDNが有効、地域密着型で事業拠点周辺の潜在顧客にリーチしたいのであればLINE広告ネットワークが有効、といった傾向が見られました。
本記事でご紹介した事例もぜひ参考にしていただきながら、適切なアドネットワーク選定の参考にしてもらえれば幸いです。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
豪州ビジネス大学院国際ビジネス修士課程卒業。複数企業と起業を経てBtoB専業マーケティング代理店へ。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期を牽引。現在、日本のBtoBマーケティングの支援事業を行う株式会社LEAPTにて代表取締役。また、株式会社Shirofuneの外部マーケティング責任者を兼任。





