ROASの計算ツールを紹介!重要性や活用シーン、選定時のポイントを解説

戸栗 頌平

現在、貴社ではデジタル広告費に積極的に投資しておりますでしょうか? BtoB企業のマーケティング担当者311名を対象にした「キーマケLab(キーマケラボ)」の調査によると、約6割が2「025年度にデジタル広告の予算を増やす予定だ」と回答しています。その背景として、42.5%が「競合他社の広告出稿が増えていること」を理由に挙げています。

デジタル広告への投資が当たり前となった現在、「どの施策が成果を上げているのか」を正確に把握する必要性が高まっています。特にBtoB領域では、リードの獲得から商談・受注までのプロセスが長期化・複雑化しており、ROAS(費用対効果)を定量的に評価できる仕組みがなければ、戦略的な意思決定は困難です。

こうした状況下で便利なのが、ROASを自動で算出・可視化できるツールの活用です。広告費と売上データをリアルタイムで連携させることで、単なる数値の取得にとどまらず、施策の見直しや部門間の連携強化といった意思決定を支援する分析基盤として機能します。

本記事では、ROASの基本的な概念から、ROAS計算ツール導入の意義、具体的な活用シーン、さらにおすすめのツールまでを詳しく解説します。

ROASの定義と計算方法、重要性のおさらい

まずはあらためてROASの定義と計算方法、重要性について整理しましょう。

ROASの定義と計算方法

ROAS(Return Ohttps://shirofune.com/inhousemarketinglab/what-is-roas/n Advertising Spend:広告費用対効果)とは、投下した広告費に対して、どれだけの売上げを生み出せたかを示す指標です。計算式はシンプルで、「売上げ ÷ 広告費 × 100」で計算します。

例をみてみましょう。月に100万円をGoogle広告に投じウェビナーの集客を行いました。そのウェビナーを通じて最終的に600万円の売上げを獲得したとします。この場合、ROASは「600万円 ÷ 100万円 × 100」で600%となり、良好な結果に見えるかもしれません。

しかし、ROASは利益ではなく、売上げを測定する指標であるという点には注意が必要です。取り扱い製品やサービスの粗利率が低ければ、ROASが高くとも利益がほぼ残らないケースがあります。また、初回取引で終わってしまい、その後のリピートやアップセル/クロスセルが発生しなければ、顧客獲得コストを回収しきれない可能性も十分にあるでしょう。

つまり、ROASという指標はあくまで顧客との短期的な効果を示す数字に過ぎません。広告が生んだ長期的な売上げの質や波及効果までを見なければ、本当の費用対効果を評価したことにはならないのです。

ROASを分析・計算する重要性

それでは、なぜROASの分析と計算が重要なのでしょうか。ここでは、その4つの理由を見ていきます。

広告の成果と費用対効果を可視化できる

デジタル広告の重要性が増すなかで、BtoB企業においても広告予算は年々拡大しています。とくに製品単価が高く、商談プロセスも長期にわたるBtoBビジネスでは、1件のリード獲得にかけるコストが大きくなる傾向があります。そのため、「この広告投資が本当に成果につながっているのか」「無駄な出費になっていないか」を定量的に測定・管理することが不可欠です。

ROASはその答えを数値化する指標です。たとえば、広告施策をいくつか並行して実施しているとき、ROASを算出することで、どの広告が最も売上げに貢献しているかを客観的に比較できます。また、上司や経営層に施策の妥当性を説明する際にも、「○%のROASが出ているので、費用対効果は高い」と説得力をもって伝えられるでしょう。

広告は出稿して終わりではありません。むしろ、打ったあとに何が得られたのかを評価し、次の判断材料にすることで初めて、その意味が生まれます。ROASはその入口として、広告の成果を定量的に可視化する役割を担っています。

運用最適化の指標として活用できる

デジタル広告の強みは、リアルタイムで効果の測定と分析をし、迅速に最適化を行えることです。たとえば、リスティング広告やFacebook広告などの複数広告チャネルを同時に展開している場合、それぞれのROASを比較することで、どのチャネルが費用対効果に優れているかが一目でわかります。また、配信地域、ターゲティングの条件、デバイス別など、細かなセグメントごとにROASを分析することで、より精巧な広告運用を行えるようになるでしょう。

また、同一広告チャネルでも同様です。ある広告キャンペーンのROASが300%、かたや他のキャンペーンのROASが150%の場合、両キャンペーンのクリエイティブやターゲティングなどを比較することで、成果につながる・つながらないパターンを発見できるかもしれません。

このようにROASは、単なる成果確認だけでなく、運用改善の起点として活用できるのです。広告運用においては、限られたリソースをいかに効果的に配分するかが重要です。ROASを軸に施策の取捨選択を行うことで、成果につながる施策に集中し、成果の薄い部分は改善または停止といった判断がしやすくなります。

ROIの計算との比較により広告全体の戦略立案が可能

ROI(Return On Investment:投資利益率)とは、広告費だけでなく人件費やシステム運用費なども含めた総投資に対して、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。ROASが「売上げ」に基づいて算出されるのに対し、ROIは「利益」に着目するため、実質的な収益性を評価するうえで有効です。

たとえば、ある広告のROASが800%でも、粗利率が20%であれば、最終的に得られる利益は限定的です。一方、ROASが300%でも粗利率が50%であれば、利益はより多く残る可能性があります。このように、ROASとROIの両方を活用することで、収益に貢献する施策を的確に見極められます。

また、広告以外のマーケティング施策との比較も重要です。展示会、ウェビナー、SEO、メールマーケティングなど、BtoBにおけるタッチポイントは多岐にわたります。クリエイティブサーベイ株式会社の調査によると、BtoBマーケターの抱える2番目に多い課題は「予算不足」でした。このような背景からも、限られたリソースの中でROIを基準に各施策の効果を比較し、最適な予算配分を行うことが求められます。

(出典:クリエイティブサーベイ株式会社)

BtoBビジネスでは、リード獲得から商談化、受注、さらにはアップセルやリピートに至るまで、顧客との関係が長期にわたる傾向があります。そのため、目先のROASにとらわれず、中長期的な視点で利益貢献度を捉えた戦略立案が不可欠です。

ROASの計算ツールとは

ROASの計算ツールとは、複数の広告から取得した広告費と売上データを自動的に取り込み、リアルタイムでROASを算出して可視化するソフトウェアです。

かつては広告データや利益などをExcelに手入力して算出する方法が主流でしたが、現在はAPI連携によりGoogle 広告やSNS広告などから費用データを、CRMから売上データを引き出し、ダッシュボード上で即座に確認できます。

ツールを使えば人為的ミスが排除されるだけでなく、分析に割く時間を大幅に節約できるため、広告運用担当者と経営層の迅速な意思決定を支援します。

ROASの計算ツールの導入が重要な理由

ROASの計算方法を理解したとしても、それを日常的に業務へ落とし込むのは簡単ではありません。手動でスプレッドシートを作成し、複数チャネルの広告費用と売上データを毎週集計していると、気づけば集計作業自体が目的化してしまうことがあります。

そんな非効率を脱し、数字を活かしたマーケティングに集中するためにこそ、ROASの計算ツールが重要なのです。ここでは、その導入が重要な4つの理由を詳しく見ていきましょう。

理由1:リアルタイムな可視化と迅速な意思決定

デジタル広告の世界では、状況が1日単位、場合によっては数時間単位で変化します。クリック単価の変動、競合の入札戦略、ターゲットの行動変容、こうした変数が複雑に絡み合う中で、広告の成果を「いま、どうなっているか」を正確に把握できるかどうかが、意思決定のスピードと精度を大きく左右します。

このとき役立つのが、ROASをリアルタイムまたは日次・週次で自動的に可視化できる分析ツールの導入です。

たとえばダッシュボード上で、各広告チャネルのROASがひと目で比較できるようになっていれば、「今週はSNS広告のパフォーマンスが落ちているため、リスティング広告に一部予算をシフトしよう」「このバナーはクリック率は高いがコンバージョンにつながっていないため、差し替えが必要だ」といった判断を、勘や経験則ではなく数字に基づいて下せるようになります。

とくにBtoBにおける広告は、クリック単価や商材単価が高く、1回の意思決定が事業インパクトに直結します。そのため、広告運用担当者やマーケティング責任者が、変化の兆しをいち早く察知し、迷わず打ち手を打てるかどうかが、競合に差をつけるポイントになるでしょう。

リアルタイムでROASを把握し、柔軟かつ迅速に対応できる組織は、広告予算の「使いどころ」と「やめどき」を見極める目を持っているといえます。そしてこの判断力こそが、デジタルマーケティングの成果を最大化するための基盤となるのです。

理由2:分析の効率化と人的ミスの削減

広告運用におけるデータ分析は、効果検証と改善に欠かせませんが、その前段階である集計作業に多くの工数がかかっていないでしょうか。とくにExcelやGoogleスプレッドシートを使って、複数の広告媒体から手作業でデータを抽出・統合している場合、煩雑な作業に追われるだけでなく、ミスのリスクも常に伴います。

たとえば、広告費の入力欄に「100,000」と入力すべきところを「1,000,000」と記入してしまえば、ROASは本来の10分の1になってしまいます。こうした単純な誤入力ひとつで、施策の評価を誤り、改善の方向性を見誤る可能性もあるのです。

ROASの計算ツールを導入すれば、これらの課題は一気に解消されます。広告媒体のプラットフォームはもちろん、さらにはCRMや受注管理システムなどと自動でデータ連携することで、広告費と売上データを正確に取り込み、リアルタイムで正確にROASを算出します。

手動で数時間かけていた集計作業が不要になれば、分析作業に割く時間は大幅に削減され、ミスの発生も最小限に抑えられます。なにより、担当者は作業に追われるのではなく、分析や改善提案といった、より戦略的で創造的な業務に集中できるようになるでしょう。

理由3:他のマーケティングデータとの連携による全体最適化

BtoBビジネスやSaaS、人材紹介業などにおいては、広告によって獲得したリードが即座に顧客へと転換されるわけではありません。問い合わせや資料請求といった最初のアクションを皮切りに、ナーチャリングや商談化、そして受注という複数のプロセスを経て、初めて売上げにつながるのが一般的な流れです。

また、化粧品や健康食品といったD2C領域では、初回購入よりもリピート購入が利益を押し上げる鍵となるため、広告が与えた長期的な影響まで含めて評価する必要があります。

こうしたビジネスモデルにおいて、ROASという単一の指標だけで広告施策の成否を判断するのは不十分です。たとえば、広告で多くのリードを獲得していても、その後の商談化率や受注率が低ければ、本質的な費用対効果は低いままです。逆に、少数のリードでも質が高く、スムーズに商談・受注に至るケースであれば、投資としては非常に効率的といえます。

そこで重要になるのが、ROASと他のマーケティングデータを統合的に分析するアプローチです。多くのROAS可視化ツールは、SalesforceHubSpotといったCRM/MAツールと連携可能で、広告施策で獲得したリードのその後の動きを追跡できます。これにより、たとえば「リスティング広告経由のリードは商談化率が高いが、SNS広告経由のリードは商談化率が低い」といった傾向が明らかになり、施策ごとの質的評価が可能になります。

さらに、MAツールにはウェビナーや展示会、DM(ダイレクトメール)といったオフライン施策やナーチャリング施策のデータが蓄積されているケースも多く、広告データとあわせて俯瞰的に効果を評価することが重要です。

また、ユーザーが広告だけで意思決定をするのは稀であり、実際にはオンラインとオフラインさまざまなチャネルで情報収集をして、購買プロセスを進めます。複雑な購買プロセスを正しく把握するためには、広告という「起点」だけでなく、ウェビナー、展示会、DMなどの「途中経過」も含めて分析することが重要です。

MAツールに蓄積されたデータと広告データを組み合わせて俯瞰的に分析することで、どの施策が最終的な成果に貢献しているのかを明らかにし、マーケティング全体の精度と費用対効果を高める判断が可能になります。このように多様な接点の効果を並列で確認しながら全体最適化に取り組むことで、リード獲得から受注までの一連のプロセスを切り離すことなく、統合的かつ戦略的に改善していくことが可能です。

理由4:組織全体での共通言語化と透明性の向上

広告やマーケティング施策の効果を社内で共有する際、温度感が合わないといった壁に直面した経験はないでしょうか。とくに営業部門や経営層とのコミュニケーションにおいて、定性的な説明だけでは施策の意図や成果が十分に理解されず、意思決定のスピードが鈍化してしまうことも少なくありません。

この点で、ROASのような明確な定量指標を日常的に使うことは、大きな意味を持ちます。たとえば、「この広告はうまくいっています」と言うよりも、「この施策はROASが750%で、目標の500%を大きく上回っています」と伝える方が、社内の理解と納得を得やすくなります。数字を軸にした共通言語があれば、部門をまたいだ議論もより建設的に進み、次のアクションへの合意形成もスムーズになるでしょう。

さらに、ROASの可視化を日常的な業務に組み込むことで、数字で広告判断をするカルチャーが自然と根づいていきます。とくに、経営層がマーケティングの成果を評価する際にも、ROASはシンプルかつ説得力のある判断材料となります。広告費がコストではなく投資であることを示しやすくなり、予算獲得や施策提案の際の説得力が大きく高まります。

ROASの計算ツールはどのようなシーンで活用するのか?

ROASという指標は単に計算して終わりではなく、その結果をどのように現場の判断や戦略に落とし込むかが問われます。特に複数チャネルをまたいだ広告運用や、キャンペーンごとの効果検証を行う際には、ツールを活用することで得られるメリットは大きくなります。ここでは、実際のマーケティング現場においてROASの計算ツールがどのようなシーンで役立つのか、代表的な5つのケースをご紹介します。

複数チャネルの広告効果を一元的に管理・比較する場合

現代のデジタルマーケティングにおいて、1つの広告チャネルだけで集客やリード獲得を完結させるのではなく、リスティング広告、SNS広告、ディスプレイ広告、動画広告など、複数のチャネルを組み合わせて運用するのが一般的です。こうしたマルチチャネル環境下では、それぞれのチャネルがどれだけ費用対効果に優れているのかを的確に把握し、適切なリソース配分を行う必要があります。

しかし、実際の運用現場では、各チャネルの広告成果をバラバラに管理しているケースも多く、集計・分析に膨大な時間がかかるだけでなく、比較評価が困難になることも少なくありません。さらに、広告の成果がチャネルごとに異なるタイミングで現れるため、リアルタイムでの状況把握や素早い意思決定も難しくなります。

こうした課題を解消する手段として有効なのが、ROASの計算ツールです。各チャネルの広告費・売上データを自動的に集約し、ひとつのダッシュボード上で一元的に可視化することで、パフォーマンスの高い媒体やキャンペーンを把握し、優先的に予算を投下できるようになります。

特にBtoB領域では、単にリードの数を追うのではなく、広告経由のリードが受注につながるかどうかといったリードの質が重要です。媒体ごとに異なる傾向を数値で可視化できれば、たとえば「ディスプレイ広告はリード単価は安いが受注率が低い」「リスティング広告は獲得単価は高いが成約率が高く、最終的なROIが高い」といった判断が可能になり、より戦略的な運用が実現します。

広告予算の最適配分をリアルタイムで検討する場合

期間限定のキャンペーン、新商品のローンチ、大型展示会との連動施策、さらには四半期末の駆け込み予算消化など、短期間で集中的に広告投資を行い、最大の成果を上げる必要があるシーンでは、リアルタイムの効果把握と即時の意思決定が極めて重要です。

こうした場面でROASの可視化ツールを導入すれば、配信中の広告のパフォーマンスを日次、場合によっては時間単位でモニタリングできるため、各広告施策のパフォーマンスを即座に把握できます。そのため、効果の高いチャネルやクリエイティブに対して迅速に予算を再配分し、無駄なコストを削減しながら成果の最大化を図れるでしょう。

特に短期決戦型のプロモーションでは、1日の遅れが結果に大きな差を生むため、こうしたリアルタイムな最適化こそが機会損失を防ぎ、限られた広告費を攻めの投資へと変えられるようになります。

広告運用の成果を組織内・外部ステークホルダーにレポートする場合

広告施策の成果は、マーケティング部門だけで完結するものではありません。社内では経営層や営業部門との連携が必要ですし、社外では広告代理店や制作会社、外部パートナーとの連携も求められます。こうした関係者に対して施策の成果を報告する際、「どれだけの費用を使って、どれだけの売上げにつながったか」を明確に示すことは重要です。

その点でROASは、単なる定量指標にとどまらず、説得力のある報告の軸として活用できます。たとえば、「ROASが800%なので、1円あたり8円の売上げを生んでいる」という表現は、マーケティングに詳しくない相手にも直感的に伝わりやすく、レポートの納得度を大きく高めてくれます。また、数字をベースに話すことで、主観的な評価を避け、誤解や対立の余地を減らせます。

多くのROAS可視化ツールには、グラフやチャート形式で成果を視覚化する機能が搭載されており、そのままプレゼン資料や経営会議資料としても活用可能です。定例レポートの効率化はもちろん、緊急報告や年次報告といった重要なタイミングでも、データに裏付けられた発信ができるようになります。

A/Bテストや新しい広告チャネル導入時の効果検証に用いる場合

広告運用において、効果的な打ち手を見極めるためには、仮説に基づいたテストと検証の繰り返しが不可欠です。特に複数のクリエイティブや配信フォーマットを並行して試すA/Bテストや、新たな広告チャネルを導入する際には、判断基準をどこに置くかが成果を左右します。

このようなシーンで頼りになるのが、ROASという定量指標です。たとえば、同一の訴求内容でも、A案とB案のバナー画像によってクリック率やコンバージョン率が変わるケースは多々あります。その際、単に反応の良し悪しを見るだけでなく、広告費に対してどれだけ売上げを生んだかという視点で比較すれば、投資すべきクリエイティブはどちらかが明確になるでしょう。

また、新たな広告チャネルを試験的に導入した場合でも、既存チャネルとのROAS比較を行うことで、今後の拡張価値を客観的に判断できます。なんとなく効果がありそうという印象論ではなく、数字に基づく評価により、効果が高い施策へと優先的にリソースを配分し、広告運用の精度を継続的に高めていくことが可能になります。

このような判断を迅速かつ正確に行うために、ROAS計算ツールが役立つわけです。

BtoBの長期的な商談獲得プロセスを数値化する場合

BtoBビジネスにおいては、広告から即座に受注に至るケースは稀であり、リード獲得からナーチャリング、商談化、そして最終的な受注に至るまで、通常は数カ月単位の時間を要します。こうしたプロセスの中で広告の費用対効果を適切に評価するには、単月の数字だけに頼るのではなく、長期的な視点での効果測定が必要となります。

ここで有効になるのが、ROASを継続的にトラッキングできるROAS計算ツールの存在です。ROAS計算ツールの中には、広告の出稿と同時に広告配信媒体から自動で広告費と成果データを取り込み、CRMやSFA(たとえばSalesforceHubSpot)と連携させることで、「どのリードがその後、商談・受注に至ったのか」を可視化できます。

たとえば、初期の時点ではROASが100%未満で費用倒れに見えた広告が、数カ月後に受注につながり、結果的に500%以上のROASを記録するケースもあります。こうした時差のある成果を正確に捉えられるのは、手動の集計や短期指標だけでは困難でしょう。

さらに、ツールによってはROASの推移を週次や月次でグラフ化し、商談化率や受注率と合わせてモニタリングして、たとえば「ディスプレイ広告は短期的な成果は薄いが、質の高いリードを安定的に生んでおり、半年後の受注率が高い」といったインサイトを得られます。

つまり、ROAS計算ツールは単なる数字の可視化装置ではなく、中長期の投資対効果を見極めるための分析基盤として機能します。そして、それが戦略的な広告運用や、将来を見据えたマーケティング投資判断を支えることになるのです。

ROASの計算ツールを選定する際に確認するポイント

ROASを可視化できると謳うツールは数多く存在しますが、それぞれが持つ機能や連携性、使いやすさ、価格体系には大きな違いがあります。以下では、ROAS計算ツールを選定する際に必ずチェックすべき5つの観点について詳しく解説します。

ポイント1:取得・連携できるデータソースの範囲

ROASを正確に算出するためには、広告プラットフォームと売上データの両方をスムーズに取得できることが必須です。

Google 広告、Facebook広告、LinkedIn広告といった主要媒体に対応しているかどうかをまず確認しましょう。さらにBtoB企業の場合、商談化や受注までのプロセスが重要になるため、SalesforceやHubSpotといったMA・CRMツールと連携し、リードごとの進捗も踏まえた分析が行えるかも重要な選定基準です。

これらの連携ができなければ、ROASの数値は表面的なもので終わってしまいます。

ポイント2:分析機能とレポーティングの柔軟性

日次、週次、月次などの頻度でデータが更新され、自動でダッシュボードやレポートが作成されるかを確認する必要があります。とくにキャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位など、粒度の異なるレベルでの比較ができることが理想です。

また、自社のKPIに合わせてダッシュボードの項目やレイアウトを自由にカスタマイズできるかどうかも、長期運用を見据えるうえでの重要なチェックポイントです。社内で使う数値と経営層に提示する数値が異なる場合には、出力形式の柔軟性も欠かせません。

ポイント3:使いやすさ(UI/UX)と導入支援体制

ツールが高機能であっても、操作が難しければ社内での浸透は進みません。マーケティング担当者から経営層まで、誰でも直感的に操作できるインターフェースかどうかを確認しましょう。また、ツール提供元による導入時のトレーニングやマニュアルの整備、問い合わせ対応のスピードも見逃せません。導入後のサポートが不十分だと、十分に活用できず、宝の持ち腐れになってしまう恐れがあるためです。

ポイント4:カスタマイズやスケーラビリティの対応度

現在の事業規模に合っているかだけでなく、将来的に広告チャネルが増えたり、データ連携先が拡張されたりした場合に対応できる柔軟性も重要です。たとえば、今はGoogle広告とFacebook広告しか使っていなくても、今後LinkedIn広告やAmazon広告を始める予定があるなら、それらに対応できる設計になっているかを確認しましょう。

また、社内システムやBIツールとのAPI連携が可能かどうかも、導入後の拡張性を左右する要素です。

ポイント5:費用対効果・コスト構造

ツールの価格体系が自社の広告費規模と合っているかどうかも見逃せません。サブスクリプション型、従量課金型など料金体系にはさまざまなパターンがあり、たとえば数十万円規模の広告費しか使わない企業が、月額数万円のツールを導入するのは過剰投資になりかねません。

また、導入コストに見合うだけのリターン(時間削減、分析精度向上、意思決定の迅速化など)が見込めるかどうかも冷静に判断する必要があります。無料トライアル期間やデモ版を活用し、自社にとって最適なコストパフォーマンスを得られるかどうかを見極めましょう。

ROASの計算・分析に役立つツールを紹介

市場には数多くのROAS分析ツールが存在し、それぞれが異なる機能や強みを持っています。ここでは、代表的なROAS計算・分析ツールを6つ厳選してご紹介します。なお、記載している内容は2025年4月時点の情報に基づいており、最新の価格や機能については、必ず各サービス提供元の公式サイトをご確認ください。

Google Analytics 4(GA4)

(出典:Google)

GA4(Google Analytics 4)とは、Googleが提供する無料のウェブ解析ツールです。Google 広告との親和性が高く、広告施策とサイト上でのユーザー行動をひも付けて、イベントベースで詳細に分析できます。

GA4では、従来のセッションベースの計測から一歩進んで、ユーザー単位での行動追跡が可能です。これにより、BtoB領域でよくある「広告→資料請求→ホワイトペーパー閲覧→比較検討→問い合わせ」といった間接的な売上貢献行動も、漏れなく可視化できます。

たとえば、資料請求やPDFのダウンロード、セミナー申し込みといった中間コンバージョンを「イベント」として設定すれば、売上げ以外の貢献度も定量的に捉えることが可能です。

さらに、GA4上では目標(コンバージョンイベント)や収益データを柔軟に設定できるため、広告経由で得られた成果の数値をそのままROAS計算に活用できます。ECやDtoCだけでなく、リード獲得型のBtoBマーケティングにおいても、リードの質や資料請求から商談化までの動線が数字で見えるようになる点は大きなメリットです。

ROASを戦略的に活用するには、「広告費の投入 → サイト上の行動 →成果(売上げ・リード)」という一連のプロセスを正しく計測し、分析する環境が不可欠です。その点でGA4は、ROAS可視化のためのデータ基盤として非常に優れた選択肢だといえるでしょう。

Excel / スプレッドシート

(出典:Microsoft)

コストをかけずにROASを計算したい場合、ExcelGoogleスプレッドシートが有効な選択肢となるでしょう。あらかじめテンプレートを作成しておけば、広告費、クリック単価、コンバージョン率、平均客単価などを入力するだけで、自動的にROASや関連指標が算出されるように設定できます。

この方法の最大のメリットは、初期費用ゼロで導入でき、自由度が高いという点です。たとえば、複数の配信チャネルやキャンペーン別にシミュレーションを行う場合にも柔軟に対応でき、社内向けの簡易レポートや報告資料の作成にも適しています。

ただし、基本的に手動入力が前提となるため、媒体ごとのデータを都度手で入力・集計する必要があります。データ量が増えるとミスのリスクが高まり、運用工数も膨らむため、中〜大規模な広告運用には不向きです。また、広告媒体やCRMとの自動連携も原則できないため、他ツールとの統合管理には限界があります。

そのため、Excel / Googleスプレッドシートはスモールスタートや試験導入フェーズに適しており、将来的に広告費が拡大した段階では、より自動化されたROAS計算ツールへの移行を視野に入れるべきでしょう。もしくはROAS計算用の無料テンプレートを見つけ、自社運用スタイルに併せてカスタマイズするのもおすすめです。

簡易ROAS計算ツール

(出典:Omni Calculator)

手軽にROASの試算を行いたいときには、HubSpotOmni Calculatorが提供する無料のROAS計算ツールも有効な選択肢です。広告費、クリック単価、コンバージョン率、平均購入単価といった基本情報を入力するだけで、目標ROASや想定売上が瞬時に計算されるため、特に予算シミュレーションや施策立案の初期段階において重宝します。

操作も非常にシンプルで、ExcelやGA4などの設定に不慣れなメンバーでも直感的に利用できるのが魅力です。たとえば、クライアントや上司に「このROASを達成するにはどのくらいのコンバージョン率が必要か」と説明したいときなどにも、即席の計算ツールとして活用できます。

(出典:HubSpot)

ただし、こうしたツールはあくまで補助的な用途を想定しているため、履歴の保存機能や複数チャネルの一元管理、データ連携といった本格的な運用機能は備えていません。また、多くは通貨単位がドル前提となっており、日本円での実運用にはやや使いづらさが残る点もあります。

そのため、継続的なROASトラッキングや組織的な運用を行うには不十分であり、本格的な可視化が必要になったタイミングでは、より高機能な有料ツールや自動化された分析基盤への移行を検討すべきです。

Marketing Cloud Account Engagement

(出典:Salesforce)

Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceが提供するMAツールです。Salesforce CRMとの連携が前提に設計されているため、広告で獲得したリードがどのように育成され、商談、受注へと進んでいくのかという一連のプロセスを、広告投資から収益化までの視点で一元的に追跡することが可能です。

具体的には、広告から流入したユーザーが資料請求、ナーチャリングメールの反応、営業接触、商談成立といった複数のタッチポイントを経て、最終的に売上げに至るまでの行動データを詳細に記録・可視化できます。そのため、「どの広告チャネルが最終的な売上げに貢献しているか」「どのリードソースが商談化率・受注率が高いか」といった中長期的な広告効果の分析が可能になります。

また、Salesforceのダッシュボード上で、商談単位でのROIやROASを視覚的に表示できるため、マーケティング部門だけでなく営業部門との情報共有・意思決定もスムーズになります。

Salesforceをすでに導入している企業にとっては、システム連携の手間が少なく、即座に成果分析が行えるという点でも相性の良いツールです。

HubSpot

(出典:HubSpot)

HubSpotのMarketing Hubは、CRMとMAを統合したプラットフォームです。インバウンドマーケティングの実践に必要な機能を網羅しており、広告運用から成果の可視化までを一貫して管理できます。ROASやROIといった広告効果の指標は標準機能として搭載されており、複雑な設定を行わなくても、広告と成果の関連性をダッシュボード上で確認できます。

Marketing Cloud Account Engagementと同様に、リードの獲得から育成、商談、受注、さらにアップセルやリピートに至るまで、顧客ライフサイクル全体をひとつのシステムで完結させることが可能です。そのため、どの広告が有望な顧客を獲得しているのかを中長期的に評価でき、広告投資の判断精度が求められるBtoB企業にとって有効なツールとなります。

さらに、Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告など主要な媒体とネイティブに連携でき、広告費の記録と成果データの紐付けもスムーズに行えます。広告経由で獲得したリードが営業プロセスを経て受注に至るまでの流れを追跡できるため、マーケティングと営業の連携が強い組織ほど高い効果を得られます。

なお、Marketing Cloud Account Engagementはより高度なレポート機能を備えていますが、HubSpotは中小企業でも導入しやすい価格帯と直感的な操作性を兼ね備えている点が強みです。

Marketo Engage

(出典:Adobe)

Adobe Marketo Engageとは、Adobeが提供する高度なMAツールで、特に大規模なBtoBマーケティング環境に最適化された設計が特長です。とくにABM(アカウントベースドマーケティング)への対応力が高く、広告から得られたリードが特定のターゲットアカウントにどう貢献したかを詳細にトラッキング・評価できます。

ROASやROIの自動計算機能に加えて、広告施策ごとの比較分析や、キャンペーン別・セグメント別のパフォーマンスレポート出力も可能であり、複数施策を同時に管理する現場において、精緻な意思決定をデータで強力に後押しします。

また、Salesforceなどの主要CRMとの連携はもちろん、Adobe AnalyticsやTableauなどのBIツールとの統合にも対応しており、「広告→リード→商談→売上げ」といった一連の成果フローを企業全体のデータ基盤の中に取り込むことが可能です。そのため、単なる広告効果の可視化を超えて、経営層レベルでのデータ活用や事業KPIとの統合評価にもつなげられるでしょう。

Marketo Engageは、複数の広告チャネル・キャンペーンをまたぐ全体最適を目指すマーケティングチームにとって、ROAS分析を軸とした戦略的運用を実現する強力なツールとなります。

まとめ

ROASは、広告費がどれだけ売上げに結びついたかを端的に示す極めて重要な指標です。特にBtoBのマーケティングにおいては、単なるクリック数やインプレッション数だけでは語れない「実際に成果を出す広告運用」を行う上で、ROASの正しい理解と継続的な活用が欠かせません。

今後、広告運用の競争はますます激化し、「どれだけ多く出すか」ではなく「どれだけ効果的に使えるか」が問われる時代に突入していきます。ROASという共通言語を企業に根づかせ、判断と実行のスピードを高めることで、限られた予算のなかでも成果を最大化する道が見えてきます。

貴社の広告施策は、今どれだけの効果を生み出していますか? その問いに、数字で、正確に、即答できる体制をつくることが、データドリブンなマーケティングの第一歩です。そしてその一歩を支えるのが、ROASの見える化であり、ROAS計算ツールなのです。

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