
【2025年最新】主要アドネットワークを一覧で紹介!選定ポイントもあわせて解説

- 戸栗 頌平
Web広告を取り巻く環境について、直近の数年を振り返るだけでも「サードパーティCookieの廃止問題」「プライバシー規制(GDPRやCCPA)」「AppleのiOSでのトラッキング制限(ATT)」など複数の重大トピックが挙げられ、広告のターゲティング手法もそれに沿うように変化してきています。
今回は、さまざまなアドネットワークを具体的に挙げてご紹介します。各ネットワークを一つ一つ詳細に見ていくと、たとえば「ネイティブ広告で、読み手の文脈に合わせた配信方法ができる」「ゲームアプリ内で、ユーザー体験をできるだけ損なわない形で配信できる」など、新たな広告技術の数々が採り入れられていることが伺えます。
また、それぞれに異なる特徴を持つアドネットワークの中から「実行したい施策に対して、どれを選定するのが最適か?」という疑問に答えられるよう、選定・活用のポイントも記事終盤で解説します。
「アドネットワークならば、一通り理解しているつもりだ」という方も、「最新の動向を完全に追えているかどうか少し自信がない」という方も、本記事を最後までお読みいただければ幸いです。
アドネットワークとは
まずはアドネットワークの基本について簡単に解説します。
アドネットワークの定義と基本
アドネットワークは、広告枠の在庫を需要に応じてマッチング・一括販売するためのプラットフォームです。よく知られる例を挙げると「Google ネットワーク」などが該当します。
アドネットワークは、オンライン広告を出したい広告主と、広告枠を売りたいWebメディアやモバイルアプリなどの媒体をつなぐ役割を果たします。広告を出稿したい企業は一度の購入手続きでさまざまな広告枠を購入でき、媒体側も効率的に広告枠の空きを販売できる仕組みです。

アドネットワークの仕組み
アドネットワークでは、さまざまな加盟サイトやアプリの広告枠在庫が、ユーザー属性やコンテンツカテゴリなどで分類されています。
広告主は、アドネットワークの管理画面上で広告枠の購入手続きをして、広告のクリエイティブ入稿や、広告を届けたいターゲットについて詳細(地域、年齢層、興味関心など)を設定します。
するとアドネットワーク上で、広告主が設定した内容に合う広告枠のマッチングが行われ、広告が配信されるという仕組みです。
広告主は個々の媒体と直接やり取りする手間なく、さまざまな広告枠への配信を実現できます。
アドネットワークのメリット
アドネットワークは広告主にとってさまざまなメリットがあります。
- 一括大量配信による効率化
- スケールによるトラフィック確保
- 複数の広告をまとめて効果測定
まず、さまざまな媒体と個別にやりとりする手間がなく、一度の手続きで複数媒体の広告枠を購入できる点です。「製品・サービスの認知獲得のため、短期間で大規模に露出施策を実施したい」といった場面で効率的に進められるでしょう。
たとえば、Googleが運営するGoogle ディスプレイ ネットワーク(GDN)を利用すると、世界中の数百万ものWebサイト・アプリに広告を配信できます。インターネット上の90%の人々にリーチ可能だといわれており、一度の出稿で大規模なトラフィックの獲得が期待できます。
さらに、複数の広告面へ出稿した場合でも、アドネットワークの管理画面からまとめて効果測定が可能です。あちこちの管理画面を確認してレポートをまとめる手間が省けるため、効率的です。
なお、媒体側のメリットとしては「空き広告枠の管理負担軽減」という点も。アドネットワークに加盟しておくことで空き広告枠を効率的に販売してもらえるため、媒体側は広告枠営業にリソースを投下するよりも、本来注力すべきコンテンツ制作などに力を振り向けられるでしょう。
アドネットワークのデメリット
複数のメリットの一方で、デメリットもいくつか理解しておく必要があります。
- 掲載先を細かく指定できない
- 透明性の課題
- ネットワークごとの違い
- 複数のアドネットワーク利用時の手間
- 最適化の限界
まず、出稿した広告がどのようなWebサイトやアプリに掲載されるか、細かくは指定できません。ユーザーから見て「製品・サービスとマッチしない広告だ」とネガティブな印象を持たれるリスクもあります。
また、広告成果についても「特定のWebサイト上でインプレッション数はどうだったか、CTRはどうだったか」と細かくはわからないため、「アドネットワークは透明性に欠ける」という印象を持つ広告主も少なくありません。
また、ひと口にアドネットワークといっても、後述するようにさまざまなネットワークが存在するため、どこを利用するかによって配信面の強み・弱みが分かれます。各ネットワークには「単価は安いが、無名のサイトの広告枠販売が多い」「Webサイトよりも、モバイルアプリの広告枠が多い」といった特徴があります。
よって、広告主側であらかじめ「どのような予算で、どのような媒体に出稿したいか」を明確に決めてからアドネットワークを選定する必要があるでしょう。また、検討の結果、複数のアドネットワークを利用することになった場合には、管理画面操作などの手間が増えて煩雑になると想定されます。
加えて、最適化の限界という課題もあります。広告主にオンライン広告運用の知見があって「経験を活かして細かくチューニングをしながら配信にトライしたい」と考えていても、アドネットワーク側のロジックに制限され、自在に調整をしにくい側面も。
なお、アドネットワークについてさらに詳細は別記事「アドネットワークとは?仕組み、他広告手法との違い、メリット、代表例などについてわかりやすく解説!」も、あわせてお読みください。
アドネットワークとDSP/SSPの違い
アドネットワークと、DSP(Demand Side Platform)はどう違うのでしょうか? また、SSP(Supply side platform)との違いは何でしょうか? わかりやすく解説します。
アドネットワークとDSPの違い
両者ともに、「媒体から広告枠を集約して販売を支援するプラットフォーム」という点では似ています。しかし、運用方法に違いがあるため、どちらを導入すべきかよく検討する必要があるでしょう。
アドネットワークが単一のネットワークであるのに対し、DSPは複数のアドネットワークに接続しています。そのため、DSPのほうがより大規模で広範囲な配信ができます。また、DSPは広告主が広告枠に対してRTB(リアルタイム入札)をできる点も特徴です。
加えて、広告主側で運用・チューニングがどこまで細かくできるか、透明性はどうかといった点でも違いが見られます。アドネットワークは広告主側であまり細かくチューニングできず、ネットワーク側に「おまかせ」になるのに対し、DSPは広告主側で高度な配信設定・調整・自社データ活用・データ分析などが可能です。ただしその分、広告主自身の広告運用ノウハウが問われます。
両者の違いに関してさらに詳細は別記事「アドネットワークとDSPの違いとは?基本知識から使い分け方まで丁寧に解説!」もあわせてお読みください。
アドネットワークとSSPの違い
SSP(Supply side platform)は媒体のためのプラットフォームで、広告枠を効率的に売りたいメディアが利用するためのシステムです。
しかし両者は「まったく別物」というよりは、近年では両者の境目が曖昧になりつつあります。たとえば「アドネットワークがSSPに接続していて在庫を仕入れる」「SSPが広告主と直接取引できるようになっている」といったケースも。
なお、この後の章で主要なアドネットワークをまとめて紹介しますが、途中で一部、SSPも含まれています。
2025年最新 主要なアドネットワーク一覧
ここからは、2025年時点で日本国内市場を中心に利用されている主要アドネットワークをカテゴリー別で紹介します。各サービスの概要と最新動向を押さえましょう。
大手プラットフォーム系アドネットワーク
まずは、Google、Yahooなどの大手プラットフォーム系のアドネットワークを紹介します。
- Google ディスプレイネットワーク (GDN)
- Yahoo!ディスプレイ広告 (YDA)
- LINE広告ネットワーク
- Meta Audience Network
Google ディスプレイネットワーク (GDN)

(出典:Google 広告)
Googleが提供する巨大な広告配信ネットワークです。
Google広告(旧AdWords)にアクセスする中で利用でき、世界200万以上のWebサイト・アプリに広告配信が可能。その到達範囲は全世界のインターネット利用者の90%以上に及ぶとされています。
テキスト・画像・動画などの広告フォーマットに対応し、興味関心・リマーケティングなどさまざまなターゲット設定ができます。Google 検索・YouTube・Gmailといった関連サービスに広告掲載できる点も強みです。
使いやすい管理画面から出稿でき、機械学習による入札最適化や成果計測の高度な機能も利用可能です。
Yahoo!ディスプレイ広告 (YDA)

(出典:【公式】Yahoo!広告の「ディスプレイ広告(運用型)」(バナー広告))
Yahoo! JAPANが運営するディスプレイ広告配信サービスです。
YDA経由でYahoo!トップページやYahoo!ニュース、関連サービス上に広告出稿することで国内ネットユーザー大多数にリーチ(月間ページビュー数:79億)できます。Yahoo!と提携する外部サイトやアプリにも配信可能で、GoogleのGDNに次ぐ規模のネットワークです。
広告主は、広告管理画面(Yahoo!広告ビジネスマネージャー)から入札やターゲティング設定を行います。Yahoo! JAPAN IDを使ったログインユーザーデータや検索データを活用した独自のターゲティングも可能です。
なお、Yahoo! JAPANはLINE株式会社と経営統合してZホールディングス傘下となっており、LINEの広告プラットフォームとの連携も進んでいます。
LINE広告ネットワーク

(出典:LINE広告)
メッセージアプリ「LINE」の広告プラットフォームで「LINE Ads Platform (LAP)」とも呼ばれ、LINEアプリ内のタイムライン、LINE NEWS、LINEマンガ、LINEブログ、LINEポイントなど高MAU(Monthly Active Users)のコンテンツ面にバナーや動画広告を出稿可能です。
LINEは日本で最も利用者の多いメッセージアプリで、国内ユーザー9,900万人以上に到達できる強力な媒体です。LAPは2025年現在、6,000社以上の広告主が利用しています。
特徴は、LINE上の豊富な属性データ(年齢・性別・興味関心など)を活用した精度の高いターゲティングが可能である点です。
また、LINE公式アカウントとの連携によるO2O施策や、チャットボット誘導などLINEならではのマーケティングも展開可能。
Yahoo! JAPANとの経営統合後、「LINEヤフー」としてID連携が進んでおり、Yahoo!広告とのデータ統合も強化されています。
Meta Audience Network

Meta社(旧Facebook社)の提供するアドネットワークで、Facebook広告の強力なターゲティング能力(年齢・興味・行動データなど)を活かしてFacebookやInstagramの広告を外部のモバイルアプリやサイトに配信できるサービスです。現在は主にアプリ内広告ネットワークとして運用されています。
特にゲームやユーティリティ系のスマホアプリ開発者が収益獲得のために導入するケースが多く、収益規模も大きいです。Meta社は詳細な内訳を公表していませんが、推計によればAudience Network単体で年間30億ドル規模の売上げを上げていたともいわれています。
ただし近年はiOSのプライバシー強化(IDFA規制)などでターゲティング精度が下がり、広告効果に逆風も。そうした中、MetaはAudience Networkをコンテキストターゲティング中心に切り替えるなど戦略変更を行い、引き続きモバイルアプリ領域で運用しています。
国内独立系アドネットワーク(Web/モバイル)
続いて、国内独立系アドネットワークを4つ紹介します。「独立系」とは、「親会社に所属していない」といった意味合いです。
- i-mobile アドネットワーク
- Zucks Ad Network
- Geniee SSP(ジーニー)
- CA Profit-X(プロフィットエックス)
i-mobile アドネットワーク

(出典:i-mobile Ad Network)
アイモバイルは日本発の大手独立系アドネットワーク企業で2007年設立と歴史が長く、モバイル広告からスタートして現在はパソコンを含め幅広い媒体をカバーする総合型の広告プラットフォームを提供しています。「日本最大級の広告プラットフォーム」と謳い、多くのメディアパートナーを抱えています。
豊富な広告フォーマット(テキスト・バナー・ネイティブ・動画)と、媒体社/広告主双方にとって使いやすい管理画面・レポート機能を備えている点が特徴です。
また、成果報酬型広告(クリック課金やコンバージョン課金)にも強みを持ち、中小規模の媒体や広告主でも導入しやすい柔軟な運用が可能です。審査の厳しい大手プラットフォームと比べ出稿ハードルが低いため、ローカルアプリのプロモーションなどにも利用されています。
Zucks Ad Network

(出典:Zucks)
Zucks(ザックス)は2011年創業の日本のモバイル広告プラットフォームです。スマホアプリ向けの成果報酬型広告(主にCPIやCPA型)の分野で成長し、日本及びアジアのモバイルマーケットに強いネットワークとして知られています。
特徴は、スマホアプリのインストール広告やゲーム・電子商取引系のキャンペーンに強みを持つ点です。iOS/Android両者に対応し、多数の媒体にインセンティブ広告・非インセンティブ広告を配信可能。不正インストール検知システムなど独自の技術も導入しており、広告効果の質担保に努めています。
Geniee SSP(ジーニー)

(出典:GENIEE SSP | 株式会社ジーニー Geniee,Inc.)
Geniee(ジーニー)はヤフー出身者らが2010年に創業した日本のアドテク企業で、提供するGeniee SSPは国内有数のSSPとして多くの媒体社の在庫収益最大化を支援しています。
Webサイト・アプリのディスプレイ広告在庫を最適化し、Googleや各DSPからのリアルタイム入札や、Geniee独自のネットワーク広告も含めて、媒体収益を高めるために配信を行います。
強みは、高度な最適化技術と広告運用支援サービスです。AIによる収益予測や価格最適化、媒体ごとのカスタマイズ設定など、日本市場に特化した細やかなサービスで多くのオーディエンスを抱えるメディアを獲得。近年では東南アジア展開も進めており、グローバルSSPとしての地位も築きつつあります。
CA Profit-X(プロフィットエックス)

(出典:CA ProFit-X)
サイバーエージェント社が提供するスマートデバイス(スマートフォン)向けのネイティブ広告特化型SSPです。ニュースアプリやキュレーションメディアの台頭に合わせ、2014年頃にリリースされました。
インフィード型のネイティブ広告(記事一覧に溶け込む広告)の収益最適化に特化。在庫規模は非常に大きく、リリース当初から月間50億インプレッション超のインフィード広告を扱い国内最大級です。複数のネイティブ広告ネットワーク(サイバーエージェント傘下のAMoAd等)の在庫を束ね、媒体社はタグを一つ設置するだけでさまざまなネイティブ広告需要を取り込めるのが強みです。
国内のスマホニュースサイト・アプリの多くでProFit-X経由のネイティブ広告が収益源となっていると見られます。
ネイティブ広告系アドネットワーク(コンテンツレコメンド型)
続いて、ネイティブ広告系アドネットワークを4つ紹介します。ネイティブ広告(通常記事一覧に溶け込む形で表示される広告)の枠を束ねるアドネットワークです。
- Outbrain(アウトブレイン)
- Taboola(タブーラ)
- popIn Discovery(ポップイン)
- LOGLY lift(ログリー リフト)
Outbrain(アウトブレイン)

(出典:Outbrain)
米国発、世界的に展開するネイティブ広告プラットフォームです。日本でもYahoo!ニュースや主要ポータルに採用されてきました。グローバルで50以上の市場、8,000以上のパブリッシャーにサービス提供し、月間20億人超の消費者にリーチするという報告も。
ニュースサイトの記事下やサイドバーに表示される「あなたにおすすめの記事」枠を通じ、コンテンツとして広告を配信します。広告主は記事風のクリエイティブを用意してOutbrainネットワーク経由で広告配信することで、興味関心や文脈に合うユーザーを自社サイトに誘導可能です。
CTRはバナーより高い傾向があり、主にコンテンツマーケティングや記事タイアップ型のプロモーションに活用されます。
Taboola(タブーラ)

(出典:Taboola)
Outbrainと双璧をなす大手プラットフォームで、こちらもニュースサイト等で「この記事もおすすめ」の形でネイティブ広告を配信します。
提携メディア数・広告配信規模ともに業界最大級で、世界9,000以上のパブリッシャーサイト上で日間5億人規模のユーザーにリーチしているとされています。特に2023年からはYahoo!(米国版)の独占ネイティブ広告パートナーとなり、Yahoo!が持つ月間約9億人のユーザーにアクセス可能となりました。
技術的特徴として、コンテンツの文脈分析と、ユーザーの嗜好データに基づく高精度なレコメンドエンジンが挙げられます。また、EC商品紹介など多様なコンテンツ広告も配信可能。
入札取引は基本CPCモデルで行われ、広告主はダッシュボードで詳細なパフォーマンス分析もできます。
日本でも日経や東洋経済オンラインなど多数のメディアに導入され、高品質なリード獲得手法として定着しています。
popIn Discovery(ポップイン)

(出典:popIn)
日本発のコンテンツレコメンドウィジェット提供会社で、「popIn Discovery」というサービス名で媒体社にネイティブ広告枠を提供しています。記事下の関連記事枠を通じて記事コンテンツや広告コンテンツを混在表示させる仕組みです。
東京大学発のスタートアップとして2011年に設立、2015年には中国のBaidu(百度)社に買収されグループ企業となりました(以降も日本法人として独立経営されています)。日本国内では朝日新聞デジタルや一部ポータルに採用され、また台湾・韓国などアジア地域にも展開。
強みは独自開発のアルゴリズムで、ユーザーの閲読履歴やページ文脈に応じて最適なレコメンドを行う点です。読み手にマッチした内容を配信できるため、クリック率や質の高い流入が期待できます。
Baiduグループ入りしたことで中国発のAI技術活用や、中国向けコンテンツ配信なども可能になっており、日本国外からの日本市場への広告出稿ニーズにも対応しています。
LOGLY Ads Context(旧LOGLY lift)

(出典:LOGLY Ads Context(旧LOGLY lift))
日本初のネイティブ広告プラットフォームとして2013年頃に登場、国内ネイティブ広告分野を牽引する存在のひとつです。レコメンドウィジェット型とインフィード型の両形式に対応しています。
多くの媒体社と提携しており、月間300億インプレッション以上の在庫を保有。
自然言語処理技術に強みを持ち、記事内容と広告内容の関連性を高めるマッチング技術「文脈解析」によって高いエンゲージメントの実現が可能です。また、媒体ごとのUIに合わせたウィジェットを提供し、ユーザー体験を損ねない形で広告収益を得られる点が支持されています。
Cookie非依存のターゲティング技術(特許取得済の「SYNAPSE D-engine」)や、不適切コンテンツフィルタなど、昨今のプライバシー要件・ブランドセーフティ要件にも対応した機能強化を進めています。
アプリ・動画広告向けアドネットワーク
モバイルアプリに特化したアドネットワークを4つ紹介します。
- Google AdMob
- AppLovin (MAX)
- ironSource(アイアンソース)
- Unity Ads
Google AdMob

(出典:Google AdMob)
Googleが提供するモバイルアプリ向け広告ネットワークで、世界で最も普及しているプラットフォームです。世界中の広告主(100万を超えるGoogle広告主)が入札に参加し、高い充填率と収益を実現します。
AdMob SDK(開発キット)をアプリに組み込むことで、開発者は自分のアプリ内にGoogle広告を表示して収益化できます。Android・iOS問わず導入でき、バナー広告、全画面広告、動画リワード広告など多彩なフォーマットをサポート。他社ネットワークのSDKと連携して、最適な配信源の自動選択も可能です。
全世界のAndroidトップ1000アプリの81%がAdMobを利用し、登録されているモバイルアプリ数は100万本以上、日本国内でも多くのアプリ開発者が導入し、個人開発から大手ゲーム会社まで幅広く利用されています。
Googleによる統合管理画面で、収益やインプレッションの分析ができる使い勝手の良さも支持されているポイントです。
AppLovin (MAX)

(出典:MAX | JA | AppLovin)
米国発のモバイルマーケティング会社が提供する広告ネットワークです。
提供元企業はモバイルゲーム分野における巨大なプレイヤーであり、自社でゲーム開発・配信もしつつ、広告プラットフォームとして他社ゲームの収益化も支援に取り組んできた結果、年間150億ドル規模の広告出稿額を処理しうる市場有数のインフラへと成長しました。
インタースティシャル(全面広告)やリワード動画広告で、高い収益を提供できる点が強みです。
ironSource(アイアンソース)

(出典:IronSource Adsでアプリビジネスを強化しよう)
イスラエル発祥のモバイル広告ネットワーク・収益化プラットフォームです。特にゲームアプリ向けのリワード動画広告(プレイ動画視聴で報酬)を普及させたことで有名で、多くのモバイルゲーム開発者が収益源として導入してきました。
モバイルゲーム分野で強力な広告需要を持ち、グローバルに展開するネットワークです。
2022年11月には、米Unity社(ゲーム開発エンジン大手。後述)と合併。その後は、広告以外に分析・ユーザー獲得・ゲーム運営面での統合ソリューション提供も進んでいます。
Unity Ads

(出典:Unity Ads マネタイズ&UAプラットフォーム)
ゲーム開発エンジン大手の米・Unity社が提供するゲーム内広告ネットワークです。
Unityエンジンを使うモバイルゲームに簡単に組み込めて、主に動画広告(リワード動画や動画インタースティシャル)を配信。2010年代半ばからUnityエンジン採用ゲームの収益化手段として広まり、個人開発者から大手まで幅広く利用されてきました。
強みは、ゲーム内のプレイヤー体験を損ねにくい広告実装ができる点です。たとえばプレイヤーが自発的に視聴する報酬型動画(ゲーム内アイテムやコンティニューと引き換えに広告視聴)を簡単に導入でき、開発者は収益化とユーザー満足度の両立を図れるでしょう。
また、Unityのゲーミングデータを活用した的確なターゲティングや、プレイヤー行動に合わせた広告タイミング設計など、エンジンプラットフォーマーならではのメリットも。
前述の通り、ironSourceと合併したことでゲーム開発者はUnity Ads経由でさらに多彩な広告ソースを活用し収益最大化を図れるようになっています。
アドネットワーク選定・活用のポイント
前章までで数多くのアドネットワークを紹介してきました。ここからは、ネットワーク選定と活用のポイントについてお伝えします。
- 目的とKPIの定義
- 予算規模
- 複数ネットワーク併用時の統合管理
- ブランドセーフティと掲載面の管理
- 最新トレンドとアップデートのチェック
目的とKPIの定義
まずは広告配信のゴールと、主要KPIを明確に定義しましょう。
たとえば「購入数」「コンバージョン率」「CPA」など何をもって成功と見なすかを事前に決めておかなくては施策評価がブレてしまい、「クリック数」や「インプレッション数」といった捉えやすい指標に一喜一憂しがちで、ビジネス成果に直結しない恐れも。
よって、「○月までにサイト購入◯件達成」のように具体的な数値目標を掲げることが推奨されます。その上で、適切なKPI(たとえば目標達成に必要なCVRや流入数など)を検討し、アドネットワークの配信設定・入札戦略もそれに沿って調整します。
キャンペーン目的とKPIが明確であれば、ネットワーク選択や最適化の指針も定まり、成果検証もしやすくなるでしょう。
予算規模
予算規模もネットワーク選定に大きく影響します。
潤沢な場合には、GoogleやYahoo!などリーチ最大級のネットワークも選べるでしょう。一方、限られた予算の場合には、よりROI効率の良いチャネルや、「少額から開始して徐々にスケールさせる」など小回りの利くネットワークを優先する方が賢明だと考えられます。
また予算が大きい場合でも、むやみに一つのネットワークに偏らせず、一部をトライアル枠として新興のネットワークで実験するなど柔軟な配分も有効です。「予算に余裕があるからこそ新チャネル開拓の余地がある」といった考え方もできるでしょう。
いずれにせよ、チャネルごとの必要投資額と見込ROIを比較検討し、予算を適切に配分することが大切です。大規模予算では複数チャネル併用による相乗効果も狙えますし、小規模予算では絞り込みによる集中投下で成果最大化を図る戦略となります。
複数ネットワーク併用時の統合管理
施策によっては、複数のアドネットワークやDSPを同時併用することもあります。その際に課題となるのが、配信の重複や管理の煩雑さです。
異なるネットワークで同じユーザーに何度も広告が出過ぎて露出過多になったり、別々の管理画面で効果測定するうちに全体像を見失ったりする恐れも考えられるでしょう。
その対策として、アドサーバーやトラッキングツールを使った統合管理が推奨されます。たとえば、広告主側でサードパーティのアドサーバーを用いてタグを発行し、各ネットワーク経由のインプレッションやクリックを一元管理することで、配信頻度の調整や重複除去が可能です。
複数ネットワークを併用する際には、その調整役となるプラットフォームやルールを決め、全体最適を図ることが重要です。日次の配信結果を統合レポートで把握し、予算配分や入札価格を各ネットワーク間で調節する運用が求められます。こうした統合管理なしに場当たり的に使うと、効果測定や最適化が困難になるため注意しましょう。
ブランドセーフティと掲載面の管理
ブランドセーフティとは、自社のブランドイメージを損なわないようにする取り組みです。広告が不適切なコンテンツや低品質なサイトに掲載されてブランドイメージが低下する、といったことも時には考えられます。アドネットワーク利用時には掲載面を完全にはコントロールしにくいため、特に留意が必要です。
対策の第一歩は、信頼できるネットワークを選ぶことです。実績があり審査基準のしっかりしたネットワーク(大手プラットフォーマー系や、有名媒体のみで構成されたプレミアムネットワーク等)は比較的安心だと考えられます。
加えて、広告主側でも、出稿時に除外サイトや除外カテゴリーの指定ができる場合は積極的に活用しましょう。たとえば「アダルト・ギャンブル系サイトには配信しない」設定や、キーワードフィルタによる不適切コンテンツ回避などです。
アドネットワークによっては媒体名が開示されず、レポートに「匿名サイト○○」等と表示される場合も。その場合でも、ネット上の評判や提供リストから推測して安全性を評価する、もしくは媒体開示してくれるネットワークに切り替える、といった判断が必要となるでしょう。
広告効果も大事ですが、ブランド毀損リスクは長期的信用に関わるため、安易に低品質な在庫で安価な配信を稼ごうとしないことが肝要です。企業イメージを守りつつ成果を出すため、掲載面の品質管理にも目を光らせましょう。
最新トレンドとアップデートのチェック
広告技術や業界環境の変化など、常に最新情報にアンテナを張りアップデートに対応する姿勢が重要です。
たとえば、サードパーティCookieの廃止問題や、プライバシー規制(GDPRやCCPA)への対応は、アドネットワーク各社のターゲティング手法に影響を与えています。また、AppleのiOSでのトラッキング制限(ATT)はモバイル広告ネットワークの収益構造に大きな変化をもたらしました。
こうした環境変化に合わせて、各ネットワークもコンテキストターゲティングへのシフトや、独自データプラットフォームの構築、新しい広告フォーマット(例: コネクテッドTV広告や、音声広告)への対応など進化を遂げています。
よって、広告主として定期的に業界動向をウォッチし、自社のメディアプランに活かすことが大切です。新興のネットワークやプラットフォーム(TikTokやリテールメディアネットワークなど)が台頭してきた際には、先行者メリットを得る目的でテスト運用してみるのもよいでしょう。
「変化はチャンス」と捉え、広告技術における最新トレンドをキャッチして柔軟にプランを改善し続けることが、アドネットワーク活用の効果を最大化する秘訣だといえます。
まとめ
本記事では、具体的なアドネットワークをさまざまに挙げながら、各ネットワークの特徴についてご紹介しました。
一つ一つを比較していくと「ネイティブ広告に強い」「モバイルアプリに強い」などそれぞれに特徴が見られます。本記事の終盤でお伝えした選定・活用のポイントとあわせて、ネットワーク比較・選定の参考にしていただければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
豪州ビジネス大学院国際ビジネス修士課程卒業。複数企業と起業を経てBtoB専業マーケティング代理店へ。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期を牽引。現在、日本のBtoBマーケティングの支援事業を行う株式会社LEAPTにて代表取締役。また、株式会社Shirofuneの外部マーケティング責任者を兼任。





